「通例複数」の意味には二通りあります。ひとつは、tatterのように、単数形は古くは使われたが、現代では使われることがほとんどないもの。辞書によっては複数名詞(plural noun)に分類されている。 もうひとつは、a potato chipのように、単数も特殊な状況では可能だが、通常は複数で存在する、という場合です。(a pair of) handcuffs, socks, greaves(よろいのすねあて)などのペアとなっているものも、通例は複数です。a handcuff, a sock, a greaveの片方だけの状況もあることになります。 |
It had gone; no trace was left, not a tatter of cloth, not a spot of blood, nothing.
The Night Riders Ridgwell Cullum (1913)
(http://www.dictionary.com/browse/tatter)
出版年は1913年ですので、歴史的に見るととても古いものですから、現代英語ではあまり使われないのかもしれません。英英辞典がこれをplural nounとしているということは、おそらくコーパスでも新しい例は見つからないでしょう。
日本語で言えばa tatter of cloth「布切れ一縷」とでもなります。一縷は「一縷の望み」では文語的に使われますが、現代では布などには使われなくなっているように思います。
tatterも歴史的に使われているのですから、現代でもあえて使おうと思えば使えるはずです。でも、古くてobsoleteになりつつある用法よりは、a piece of clothとかa shred of clothなどの用例の方が使われやすいのだと思います。
(参考までに、
Rocket Man(War of the Rocket Men)と揶揄された仕返しに、北朝鮮がTrump大統領をけなした語は、 dotard(老いぼれ/耄碌した人/耄碌じじい)ですが、この記事によると、The New York Timesに1980年から10回の用例があるそうです。10回しかなかった、と言った方が適切で、そのくらい使われなくなった言葉が使われたので、英語の通常使用者もびっくりしたとのこと。古いKorean-English Dictionaryが使われたかもしれない、ということも書かれています。でも歴史的に使われたことがある語句はこうして復活する可能性があります。日本語でもかなりきつい「この〜!」というような語感です。They are giving each other tit-for-tat. It’s verbal tit-for-tat, but it can lead to an all-out war.)
結論的には、現代では、やはり、もっぱら、in tattersのような複数形のイディオムとして使われているのでしょう。
My life has been in tatters.
私の人生はもうずっとぼろぼろ。
My financial conditions are totally in tatters.
私の財政状況はずたずたというところだね。