2007/07/18 Version 5.3


全カリ 立教生の学び方

社会学科 村瀬洋一


  ★立教V−Campus  授業支援システムVコーラスも活用します。V−Campusページより、まずスピリット(各自のポータルページ)にログイン(画面左上のログインをクリック)して、画面中のCHORUSをクリックしてください。パスワードを忘れた場合は、学生証を持って8号館4階カウンターへ行けば無料発行されます。


 データ分析実習の資料  ★データはここをクリック★

    東大SSJデータアーカイブ(調査データファイルの検索と入手)


 ディベート大会映像    映像ファイルはここをクリック(イントラネット上ファイル 学内のみ)


   ◆クロス集計の解説資料PDF  ここをクリック

   ◆グラフ作成の解説資料PDF  ここをクリック

   ◆SPSS基礎の解説資料PDF  ここをクリック


   ◆SPSSの手順 基礎の基礎PDF(最後の時間の内容)  ここをクリック


注意点
・ネット上の情報やネット百科事典、掲示板やブログなどは、でたらめな情報やガセネタも多いので注意。それらからの引用はしないこと。文献や情報は、必ずネット以外に、図書館で探してください。
・引用元を明示した上での一部引用は問題ありませんが、明示せずに引用すると盗作になります。絶対にやってはいけません。web上の文章を自分のレポートに無断使用することも違法行為です。詳しくは以下の引用法の注意を熟読してください。


各種の文献検索

 ★文献や統計リンク


  立教図書館 各種雑誌記事の検索(学内のみ) 大宅やCiNiiを使いこなしてください

  立教図書館 各種新聞記事の検索(学内のみ)

  国会図書館 雑誌記事索引(雑誌は限られているが無料開放 雑誌目次内容を検索)

  Webcat 本や雑誌名の検索(本の名前と所在が分かる)


目次

1.目的と内容


目的

・仕事をするための総合的能力を身につける   データ分析の基礎、情報検索など   その他、基礎的なPC操作やグラフ作成法、分析ソフトSPSSの基礎を習得   自分で問を設定し、建設的な批判的精神を持って考えることが重要 ・社会について分析する考え方を習得  − 根拠のない非科学的な社会評論でなく   とくに良いデータとは何か理解することと、因果関係の考え方を重視  最後に、データ分析してグラフを作成し、各自の研究成果発表を行う。途中でディベートも行う。  批判的精神を身につけることが大切。何が正しいかは自分で判断する。事典や教科書、他人の発言が正しいとは限らない。

主な内容

・政策と社会構造 ・テキスト講読 ・情報検索実習 ・パワーポイントなどPCの基礎実習 ・エクセルでのグラフ作成実習 ・SPSSの基礎  パソコンについては基礎からやるので、初心者でも問題ありません。  履修要項記載のテキストを持参して第一回に来ること。
  イントラネット内の掲示板(学内のみ) こちらを連絡や討論の場などとして使いましょう。

2.授業計画

情報検索やPCでのグラフ作成実習の他、最後には各自の分析結果の発表を行なう。
1.大学の学問とは?   2.新聞記事をもとに討論
3.格差社会論とその問題点 4.大学図書館の使い方
5.各種データベースの使い方
6.統計データの集め方  7.分析のためのPC入門
8.パワーポイントでプレゼンテーション
9.ディベート大会   10.分析結果の発表
11.大学で何を学ぶか 

3.データ分析について注意点

SPSS分析結果をもとに表を作るとき

 SPSS出力を、自分の手で数字で打ち直し、表にすると、数字の打ち間違いが起きることが多いので、出力の数字そのものをコピーして、表やグラフにすると良いでしょう。

 数字をマウスで囲んでCTRL+Cでコピー準備状態、エクセル画面などに移ってからCTRL+Vではりつけです。このキー操作(コピー&ペースト)を覚えると良い。

 

SPSS出力のエクセルファイルへのエクスポート

 分析結果の表を、エクセル形式ファイルにすることもできます。SPSS出力の画面で、保存時に画面上の「ファイル」をクリックして「エクスポート」を選んでください。そして、

・「ファイルの種類」をクリックし、保存形式をエクセルとする。
・ファイル名脇の「参照」ボタンを押し、保存場所をマイドキュメントなどにする。
・全てのオブジェクトを選択し、OKボタンを押す。


参考

◆調査結果のエクセルファイルなど クロス集計表があるもの

男女共同参画社会に関する国際比較調査
  内閣府 集計表のエクセルファイル

社会意識に関する世論調査
  内閣府 集計表のエクセルファイル 各年度最後の「集計表」をクリックしCSVファイルを保存

社会生活基本調査
  総務省統計局 集計表のエクセルファイル

家計消費状況調査
  総務省統計局 集計表のエクセルファイル

全国生計費調査報告
  日本生活協同組合連合会 集計表のエクセルファイル

企業における今後の中高年齢者活用に関する調査
  集計表のエクセルファイル

住まいに関する県民アンケート 長野県
  集計表のエクセルファイル

金融機関利用調査 郵政総合研究所
  集計表のエクセルファイル

平成14年就業構造基本調査結果
  地域別一覧表のエクセルファイル

環境省廃棄物処理技術情報
  以下のように辿ると、県ごとに市町村別のエクセルファイルあり。
   → 一般廃棄物処理実態調査結果
   → 各年度
   → 処理状況
   → 各都道府県別データ


◆調査結果に関する論文など

大阪大学SRDQ

    SSM調査報告書

    JGSS調査報告書


『行動計量学』vol.32-2 PDF ★ここをクリック★
『行動計量学』vol.33-1 PDF ★ここをクリック★
   特集 「東アジア価値観国際比較調査」


4.論文やレポート作成時の注意点

論文とは、大きく4構成からなる。レポートや各種プレゼンテーションなども、この4つの構成を明確に作ることを忘れずに。
 目的、方法(調査法やデータ)、分析結果、結論
 とくに冒頭部で、自分が明らかにしたいことは何か、目的を明確に書くとよい。目的や仮説が不明な論文は、意外と多い。

冒頭部分は以下のような感じにすると良い。


第1章 本研究の目的
1.1.問題の所在
1.2.研究目的
1.3.先行研究
1.4.仮説

第2章 方法
 調査法やデータや変数の説明など

第3章 分析結果
3.1. 3.2. など


★1.1.で研究の意義や重要性を簡潔に書き、1.2.で目的を明確に書く。目的がない文章とならないよう
に。目的は、○○を解明する、というように、何をやりたいのか読者に分かるよう、明確に書くこと。

 2.方法 のところには、データの出典や年度、母集団や回収率、主な変数の説明などを書いてください。
 各自の作ったグラフなどは、3 分析結果 のところで、3.1. 3.2.などとして掲載すると良いでしょう。
 結論部は、結果の要約ではなく、自分の主張したいことを書いてください。自分の主張と、その根拠は、
明確に分けてかくこと。

 発表でも論文でも、大きな4つの構成を忘れずに!
 ★なお、他人の文章をコピーして自分のレポートに使ってはいけない。一部引用の際は、以下の引用法の注意をよく読むこと。

5.SPSSクロス集計のこつ

 SPSSには、データ、シンタックス(分析命令文の簡単なプログラム)、出力画面の3つの画面があります。

 スタートボタンを押してSPSSを起動すると、まず3つ(設定によってはシンタックス以外の2つ)の画面が出てきます。分析すると、出力画面に表などが出てきます。必要に応じて保存しましょう。エクセル形式などで保存することもできます

 データを読み込んだ後、画面上「分析」をクリックし、記述統計→クロス集計をクリック。
1)分析したい変数(質問項目)を選ぶ。その後、
 「セル」ボタンを押し、列%などを選ぶ(まずは、度数のチェックははずし、列%のみを選ぶと分かりやすい表になる)
 「統計」ボタンを押し、カイ二乗や相関係数やファイ係数を選ぶ。変数が3カテゴリー以上の時は、クラマーのV(質的変数)、タウC(量的変数)を選ぶとよい。
2)OKボタンを押すと表が出る。
 なお「貼り付け」ボタンを押すと、シンタックスの見本が出る。
 関連係数は、有意水準が0.05未満なら、統計的に有意と考えて良い。

★クロス集計表の形式は、別途資料参照。表中の数字は%のみで実数は書かないようにすれば見やすい。両方を書くととても見にくいので注意。縦に合計して100%になるようにする。『社会調査演習』のエラボレイション(X,Y,tの3変数を使う)の表をまねすれば良い。p.84の表形式を参考に。
★3重クロス集計のシンタックスを書くときは、一番最後にtにあたる変数を書くと良い。シンタックスの中で、変数を書く順番にご注意。


 表内の各変数の位置は、出力画面で、表をダブルクリックしてアクティブにした状態で、画面上の「ピポット」をクリックして入れ替えを選べば、移動できる。

 相関係数や重回帰分析をやる場合は、変数の値は細かい方が良い。しかしクロス集計は、2〜5カテゴリーに変数を合併してから行った方が良い。あまり細かくすると人数の少ないセルができるので。

6.SPSSシンタックスについて

 シンタックスは、分析や変数加工の命令文です。シンタックスを書くと、自分がやった分析の記録が残るほか、大量なデーの加工や分析が一度にできるので便利です。

 シンタックスは、まず初めにデータの場所とデータけた(カラム)指定文などのデータ定義文を書きます。その後、欠損値処理命令文や、データの加工文、分析命令文を書きます。

 まずデータファイルを開き(あるいはデータ定義文を実行した後)、SPSSのシンタックスウィンドウで、以下のようなデータ加工や分析命令のシンタックスを自分で書いて実行する。

   ★★その他説明(学内のみ)


/*****  例1 単純集計の例                         *****/
/*****  変数名を正確に書くこと               *****/
/*****  ピリオドは最後に1つだけつけること   *****/
FRE  VAR= Q5 Q6A.


/*****  例2 2重クロス集計の例                     *****/
/*****  変数名を正確に書くこと                 *****/
/*****  ピリオドは最後に1つだけつけること     *****/
/*****  COLUMN の代わりにROWと書くと横%になる *****/
CROSSTABS
  /TABLES=Q8A  BY  Q2  
  /CELLS= COLUMN  .



/*****   シンタックスによる変数の処理について        *****/
/*****   例3 カテゴリー合併の例                    *****/
/*****    4段階回答を2段階にしている                *****/
/*****    行末のピリオドを忘れるとエラーがでるので注意*****/

COMPUTE         N3  = Q3  .
RECODE          N3  (1,2=1)(3,4=2)  .
MISSING VALUES  N3  (9)  .

/*****    上記の1行目は、新変数名(新しい質問項目)として*****/
/*****    N3を設定し、その中身をQ3と同じにています。N3は  *****/
/*****    好きな名前でいいです。                          *****/
/*****    2行目はリコード文でのカテゴリー合併            *****/
/*****    3行目は欠損値処理                              *****/


★大文字と小文字はこだわらなくてよい。空白は見やすいように入れる。
ただし文中に全角空白があるとエラーになるので注意。空白があってもなくても、ピリオドまでが1文として実行される。

★変数名や、RECODEを RECORD など、つづりを間違えると、エラーが出る。


/*****   例4 カテゴリー合併の例                         *****/
/*****    はじめに新変数としてEDUCTを設定している          *****/
/*****   新変数名は何でも好きな名前で良い                 *****/
/*****   1〜9までの9段階の変数を4段階に変更している例 *****/
COMPUTE        EDUCT =Q16.
RECODE         EDUCT(1,2=1)(3,4=2)(5,6=3)(7,8,9=9).
MISSING VALUES EDUCT(9).


/*****  例5 変数AGE をもとに、新変数としてNENDAIを設定し、 *****/
/*****  15〜98までの年齢を、2から6までの5カテゴリーに合併 *****/
COMPUTE      NENDAI  =AGE.
RECODE       NENDAI(15 THRU 29 =2)(30 THRU 39 =3)(40 THRU 49 =4)
                   (50 THRU 59 =5)(60 THRU 98 =6) .


/*****  例6 学歴を教育年数に変換                     *****/
COMPUTE         EDU=Q16.
RECODE          EDU(1=6)(2=9)(3=12)(4=13)(5=14)(6=16)(7,8,9=99).
MISSING VALUES  EDU (99).


/*****  例7 ダミー変数作成 0,1の変数を作る        *****/
/*****        この例では自営なら1、そうでないなら0    *****/
COMPUTE       JIEI    =0.
IF (Q19BS2=6) JIEI    =1.

より詳しくは、 「応用調査実習」ホームページを見てください。


7.SPSS使用上の注意点

 SPSSには、データ画面、出力画面、シンタックス画面(命令文を書くところ)の3つがある。

7.1.分析時にエラーが出たとき

 シンタックスに書き間違いがあると、出力画面にエラーが出る。エラーが出た付近のシンタックスに何らかのミスがあるので、以下の点に注意してシンタックスを書き直せばよい。


・データのあるドライブ名、フォルダ名はあっているか。CドライブをHと書いた等
・変数名はあっているか。Q6AをQ6と書いた等
・単純なスペルのミス。例えば、RECODEと書くべきところを RECORDと書いた等
・最後にピリオドをつけるのを忘れた。あるいは途中で余計なピリオドをつけた。
・シンタックスの中に全角スペースがあると、エラーが出て止まるので注意!

7.2.テキスト形式データファイルの読み込み命令文

 シンタックス最初で、以下のようなDATA LIST FIL命令文を使う。データ場所の指定文として ’’の間にデータファイル名を書くと、テキスト形式データを読み込む。CドライブのDAPという名前のフォルダの中に SE97.txt というファイルが入っている場合は、以下のようになる。
DATA LIST FILE='C:\DAP\SE97.txt' RECORDS=2

Hドライブの場合は、H:と書く。\ マークで区切ってフォルダ位置を書く。
RECORDS=2は1人分が2行のデータの場合。この後に桁指定文を書きピリオドを書く。その後に、リコード文や、各種の分析命令文を書けばよい。

7.3.SPSS形式データファイルの読み込み命令文

 シンタックス最初で、以下のようなGET FILE 命令文を使う。HドライブのDAPという名前のフォルダに SE9701.sav というファイルが入っている場合は、以下のようになる。
GET FILE ='H:\DAP\SE9701.sav' .

この後に桁指定文はいらない。この後にリコード文や分析命令文などを書く。

その他、
・シンタックス内では、大文字と小文字は区別されない。
・シンタックス内では、半角space、改行、tabは区別されない。ピリオドがあるまで1文として処理される。

シンタックスファイルの見本


8.ワードやエクセルでの図や線の書き方

 ワード画面上の「罫線」をクリックすると表になってしまうので、線だけを引きたいときは以下のようにする。

・ワードの画面上「表示」をクリック
・ツールバーや図形描画、またはオートシェイプを選ぶ
・画面下に線や矢印のボタンが表示されるので、ボタンを押して線をかく。
 書いた図を微調整したいときは、書いた線や図を右クリックして書式設定を選ぶ。線の太さや矢印種類などを変更できる。その他、画面下の「オートシェイプ」ボタンを押し、曲線などを選ぶとよい。曲線を書くのを終えるときはダブルクリックする。曲線を書いた後、右クリックして書式設定を選ぶと、線種を変えたり、矢印などにすることができる。

 二乗などの、小さい2を書きたいときは、2を書いてからマウスで字を選んで右クリックし「フォント」を選ぶ。「文字飾り」の中の上付ボックスをチェックする。

 ワード画面内にエクセルの表を貼るときは、ワード画面上の「挿入」をクリックし、オブジェクトを選び、エクセルワークシートを選ぶ。

 エクセルで単純に直線を引くだけならば、線を引きたいセルをマウスで選び(またはシフト+矢印キー)、その後、画面上「書式」をクリックし、セルの書式設定を行い、罫線ボタンを押しても良い。

 


9.その他のパソコンのこつ

「社会学科 村瀬ゼミ」ホームページを見てください。


10.ディベートについて

 ディベートとは、論理的な議論の仕方を学ぶためのものである。ディベート開始直前にくじ引きなどで肯定側、否定側をランダムに決める。自分の主張を押し通し、相手を言いまかすためのものではない。テーマを決めてデータを集め準備をし、2人(グループ)が議論開始直前にくじで肯定側、否定側を決めて開始する。各グループが、立論、反論を行う。データをもとに真理を追究することの大切さを学ぶ。

 以下のような時間配分で行う。グーグルで「ディベートとは」で検索してみるとよい。なお、時間の都合上、簡略化することがある。

 


11.初めてのパワーポイント

   ★パワーポイント スライド構成の見本ファイル(背景デザインはなるべくシンプルにしています)

   ★2006年度 社会学科基礎ゼミ合同発表会ファイル

 パワーポイントの操作は簡単です。初心者も以下を見て適当に操作すればスライドを作ることができるでしょう。スライドの構成は、上記の見本ファイルを参考にしてください。操作法は以下を参照。パワーポイントが家のパソコンに入っていない場合、オークションなどで安く買うか、無料の「オープンオフィス」をネット上で入手するか、安めのソフトを買う(1980円で互換性のある超五感プレゼン、あるいはスタースイート、5000円ほどのアグリー)などしてもいいでしょう。詳しくは「オープンオフィス」などをキーワードにネットで検索してください。以下もご参考に。

  オープンオフィスの説明  無料ダウンロード   Agree2007の説明(アカデミック版ダウンロードが安いでしょう)


 以下の入門講座なども参考に。

   パワポ入門  パワポ入門講座  パワポで図形


11.1.パワーポイント基本操作

 パワーポイントは、発表用スライド作成用のソフトです。箇条書きで自分の考えをまとめて、自分の頭の中のアイデアを整理するのにも有用です。

1)パワーポイントを起動  −パソコンのスタートボタンを押し「プログラム」や「Ms-Office」などの中にあるパワーポイントをクリック
2)編集
・画面上の「挿入」クリックし、「新しいスライド」を選ぶとページが増える
・スライドをクリックして文字を入力する。なるべく箇条書きで簡潔に。文字の大きさや色を変えたいときは、文字を選択して右クリックし「フォント」を選択。
・エクセルのグラフをパワーポイントに貼り付けるとき − エクセル画面にて、1回だけグラフをクリックして「グラフ全体を選んだ状態」にしてから、ctrl+cを1回押してコピー準備状態にして、パワーポイント画面に移り、ctrl+vを押して貼り付けする。

3)その他
・画面上「スライドショー」をクリックすると、字を動かすアニメーションなどを設定できる。設定したい文字の部分をクリックしてから、画面右の「効果の追加」ボタンなどを自由にクリックすればよい。
・画面上「書式」を押すと、さまざまなデザインを選ぶことができるが、できるだけシンプルなデザインで良い。まずは適当にクリックして選んでみると良い。
・必要に応じて画面上の箇条書きボタンなどを押し、行頭マークなどを設定する。
・F5キーを押すとスライドショー実行。Escキーで終了。
・最後に自分が作ったファイルを、名前をつけて保存する。

11.2.パワーポイントで良い発表のこつ

・こまかい数字や文字が並ぶスライドは、なるべく避ける。
・ポイントとなる部分で、視覚的に分かりやすいグラフや図を入れて、聞き手の注意を引きつけるとよい。
・必ず箇条書きで。★「3行以上の文章は作らない」よう注意。
  ですますを省くなど簡潔な表現を各自で工夫してください。

・スライドや図、表には必ず番号をつける。
・大きな文字で。基本的に28ポイント以上の文字。20ポイント以下の文字は使わない。
・グラフはできるだけ大きく、画面一杯に使うこと。グラフを選択して、マウスでつかんで大きくすればよい。グラフ内の文字も、かなり大きくして見やすく。
・グラフには必ずデータラベルをつける。
・口頭で補足しなくても、図表のみを見て内容が分かるように、タイトルや注を適切につける。
・数字の有効ケタは2ケタでよい。例えば、36.4%でなく36%と書く。相関係数なども.386でなく.39と書けばよい。パワーポイントに限らず、統計的な有効ケタを考えれば、あまり細かいケタを書くことに意味はない。

◆スライドの構成 −発表や論文は、大きく4節からなる
1 目的
2 方法(データの人数や年、変数の詳しい説明など)
3 分析結果
4 結論

となる。1 のところで、1.1.問題の所在と研究目的 1.2.先行研究 1.3.仮説 などとするとよい。
 2.データ のところには、データの出典や年度、人数、母集団や回収率などを書く。
 各自の作ったグラフなどは、3 分析結果 のところで、3.1. 3.2.などとして掲載すると良い。
 結論部は、結果の要約ではなく、自分の主張したいことを書く。

 発表でも論文でも、大きな4つの構成を忘れずに!

◆その他、細かい点
・パワーポイントでも矢印などは書ける。画面上の「表示」をクリックし、ツールバー → 図形描画 をクリックすると、図形描画用のボタンが表れる。
・矢印などを書いた後、矢印を選択した状態で、複数の矢印が書いてあるボタンを押すと、矢印の種類を選ぶことができる。
・文字を1行ずつ出すなどアニメーション設定は、文字の部分をクリックしてから「スライドショー」をクリックして設定すればよい。
・グラフや表中の数字フォントは、MSゴシックなど等幅フォントでそろえると良い。MSPゴシックなど等幅でないフォントは使わない。

★内容について
 始めに目的を明確に書くことが重要。○○を解明する、という形で、研究上の問(リサーチクエスチョン)が何か、第3者にも明確に分かるように書く。

 先行研究の紹介をする場合は、山田.2002.のように、スライド冒頭で著者名と年号を出す。その上で、内容の紹介と、建設的批判をすると良い。

 どこが他人の意見で、どこが自分の意見かを、明確に分けて書くことが、とても重要。他人の意見を、自分の意見のように書いてしまうと、盗作になる。この点には、十分に注意する。

 仮説は複数を具体的に書く。説明変数と被説明変数が何か、第3者に分かりやすいように、書くと良い。

 構想発表の場合、今後の研究計画を、9月、10月などに何をするか、箇条書きで具体的に書く。

 あとは、発表時に下を向いて読み上げ型発表にならないように気をつける。上を向いて、みんなの目を見て発表するだけで、ずいぶんと印象はちがう。その点は、十分に注意すること。また、一気に読み上げず、時々間をいれて、きいている人の反応を確かめる。単調に話さず、重要なところは強調するなど、メリハリをつけて大きな声を出して発表するとよい。


12.引用法の注意

12.1.引用の原則

 他人の文章を、自分の文章であるかのように書くと盗作になるが、悪気はなくとも、引用元を明示せずに盗作になっているものが時々見られる。レポートや卒論等で、他人の文書を引用するときは、必ず引用部分を「 」でくくり、引用の前に、引用元を書くこと。それ以外の形式で引用してはいけない。また、必ず「引用元」を明示すること。引用元を書かずに引用すると、盗作したことになるので、著作権法に反し、学問上、重大なルール違反となる。引用は自由だが、盗作してはいけない。

 他人の文章を引用するときは、山田(2006: p.27)によれば、「○○」である、などのように、必ず引用元を先に書くこと。

 ○○大学の山田氏によれば、などと書く必要はない。山田(2006)によれば、で良い。

 文献リストの形式 − 著者名と発行年(半角数字)を最初に書き、その後に、「論文名」『本や雑誌名』と発行所を書くこと。本や雑誌名は二重かっこを使う。詳しくはテキスト等の巻末引用文献リストの形式を参考に。

12.2.ネット上の情報について

 ネット上にある文章やデータをコピーして、引用元を示さずに自分のレポート等で使うことも、完全な盗作であり法律違反である。そのようなことは絶対にないよう注意すること。

 基本的に、ネット上の情報やネット上百科事典、ネット上データは、ガセネタも多く信憑性が低い。個人が趣味で作っただけで正確なチェックはなく、いいかげんで信用できない情報が多い。また、すぐに消えてしまう情報も多いので、研究においてはできるだけ使わないこと。必要な情報は、本として出版されているものから引用すること。本として形になっているものの方が信用度は高い。

 また、ネット上にあるグラフを、そのままコピーして自分のレポートで使うことは、図やデザインの無断使用となるので著作権法違反である。自分でデータの数字を入手して、グラフを自分で作り直すこと。

 ネット上の情報は、個人が趣味で作ったいいかげんな情報が多く、ミスが編集者によってチェックされることは少ない。そのため、最新のデータや、信用できるデータは、ネット上にはかなり少ないのが事実である。とくにネット上にあるフリー百科事典や掲示板などは、「ガセネタ」も多く、よく調べずに曖昧な記憶や直感で書いた情報も多いので、内容を信用してはいけない。多くの場合、最新のデータは本や統計資料となっているので、データを調べるときは、必ず図書館へ行くこと。データ検索をネットのみですませることは、絶対にしてはいけない。図書館の参考室には、各種の事典や図鑑、数十冊からなる百科事典もある。まず百科事典の索引を使いこなすと良い。

12.3.データの出典について

 表やグラフには、「出典とデータ年度」を必ず書くこと。また、タイトル横等に単位(人、円、率など)を、必ず書くこと。

 表タイトルは表の上、図タイトルは図の下につけることが慣例である。

 ネット上には、一部しかデータはないし、詳しいデータは、本や統計資料として図書館にあるので、必ず各図書館で、ネット以外のデータを探すこと。『民力』や、『国勢図会』、『統計年鑑』などの本もあるが、それら以外の本も検索して、必ず見ること。総務省統計局のホームページなどには、信用できる統計データや、国勢調査結果を表にしたものもある。国連やOECD、
US Census Bureau Home Page< http://www.census.gov/ など、信用できる機関から、データを入手できることもある。


13.参考文献

文春新書編集部編. 2006. 『論争 格差社会』文藝春秋.
  ★論争・中流崩壊とは違い、あまり根拠なく格差を肯定する情緒的議論が多い。保守的な会社らしい本。
中央公論編集部編.2001.『論争・中流崩壊』中央公論新社.
 ★不平等に関する議論をよくまとめている。
ロバート=C=クリストファー.1983.『ジャパニーズ・マインド』講談社.
 ★やや古いが、外国人による日本社会論の中ではとてもよくできている。
ロナルド=ドーア. 2006. 『誰のための会社にするか』岩波新書.
藤原正彦. 2005. 『国家の品格』新潮新書.
 ★情緒的な本であるし、社会が分かっていない。読むべき内容は少ないと思う。
  しかし保守化する現代において、なぜこのような本が売れるのかを考えてみてもいいだろう。
原純輔他編.2000.『日本の階層システム 1〜6』東京大学出版会.
 ★SSM調査データを元に日本社会を分析した6巻シリーズ。大規模データを分析し社会構造を
  明らかにした日本社会学の数少ない成果。
原純輔編.2002.『流動化と社会格差』ミネルヴァ書房.
 ★産業化、平等化、高学歴化などの社会現象について幅広く扱っている。大きな社会の変化につ
  いて考えるのにおすすめ。
林信吾. 2005. 『しのびよるネオ階級社会 ―“イギリス化”する日本の
  格差』平凡社新書.
コリン=ジョイス. 2006. 『「ニッポン社会」入門―英国人記者の抱腹レ
  ポート』日本放送出版協会.
姜尚中.2006.『姜尚中の政治学入門』集英社新書.
小林淳一・木村邦博編.1991.『考える社会学』ミネルヴァ書房.
 ★社会学の基礎知識、およびモデルや仮説の考え方について、初心者にも分かりやすいように
  まとめている。
黒田勝弘・市川速水.2006.『朝日vs.産経ソウル発 ―どうするどうな
  る朝鮮半島』朝日新書.
 ★社会について異なる見方が分かっておもしろい。
高坂健次・厚東洋輔編.1998.『講座社会学1 理論と方法』東京大学
  出版会.
 ★社会学の理論と方法について適切に整理している。全16巻の講座の1つ。
三浦展. 2005. 『下流社会 −新たな階層集団の出現』光文社新書.
 ★あとがきにあるようにデータは偏っている。分析も多くは不適切だが、おもしろい部分もある。
中野雅至.2006.『格差社会の結末 −富裕層の傲慢・貧困層の怠慢』ソフトバンク新書.
佐藤俊樹. 2000. 『不平等社会日本 ―さよなら総中流』中央公論新社.
 ★社会学における不平等についてよくまとめている。格差社会の議論のきっかけとなった本。
橘木俊詔.2006.『格差社会 −何が問題なのか』岩波新書.
友野典男. 2006. 『行動経済学 −経済は「感情」で動いている』光文社新書.
和田英樹.2006.『「新中流」の誕生 −ポスト階層分化社会を探る』中公新書.


その他 仕事の技術に関する本
ボーンシュテット・ノーキ著=海野道郎・中村隆監訳.1990.『社会統計学 −社会調査
  のためのデータ分析入門』ハーベスト社.
 ★社会統計学の入門書として分かりやすい。
海野道郎・原純輔.2004.『社会調査演習 改訂版』東京大学出版会.
 ★巻末の調査票や調査員マニュアル見本が分かりやすい。
本多勝一. 1982. 『日本語の作文技術』朝日新聞社.
岸学.2005.『SPSSによるやさしい統計学』オーム社.
野口悠紀雄. 1993. 『「超」整理法 ―情報検索と発想の新システム』中央公論社.
梅棹忠夫. 1967. 『知的生産の技術』岩波新書.


あなたは2007年03月28日以来  回目のアクセスです。

村瀬研究室のホームページへ