社会意識に関する東京住民調査

 

 この調査は、1999年10月から2000年1月にかけて行われました。調査母集団は、東京都北区、板橋区、豊島区、文京区の住民1500人です。830人の方から回答をいただき(回収率約55%)、今後の研究のために重要なデータを得ることができました。調査にご協力いだいたみなさまに、深く感謝いたします。

 今後さらに数年かけて調査結果のさらなる分析を進め、学会や学術論文にて発表していく予定でおります。この調査に関するご感想や、より詳しい分析結果等に関してお問い合わせがありましたら、ご一報いただければ幸いです。

 なお、以下に、調査結果の要約を掲載させていただきます。

           東京都豊島区西池袋3 立教大学 産業関係研究所
                      立教大学 社会学部産業関係学科
                            専任講師 村瀬洋一
                       eメール murase@rikkyo.ac.jp


 

 

1.一般的な社会意識について

1.1.生活満足感

 現在の自分の生活について、「満足」か「どちらかといえば満足」と回答した割合は、男性で約60%、女性で約70%であった。女性の方が、やや満足感が強いようだ。

 

1.2.社会への不公平感

 今の世の中について、「公平」または「だいたい公平」と回答したのは、男性では3人に1人、女性では4人に1人ぐらいである。不公平だと考える人のほうが多数派である。また、女性は男性よりも不公平感を強く持つ傾向がある。これは、いまだ男性中心の社会であり、女性が様々な場面で不公平感を抱きやすいことを反映した結果かもしれない。

 

 

1.3.社会の中における自分の位置

「中の上」と「中の下」を合わせて、男性の3人に2人、女性の4人に3人が、自分自身を「中」であると考えている。男性の方が女性よりも、自分自身を「下」と回答する傾向が強い。

 

1.4.男女の役割意識

 男女の役割分担について、男性は「そう思う」と「どちらかと言えばそう思う」を合わせて約4割が賛成である。女性は賛成が2割強であり、男女でかなり意識が異なる。   

 

2.近隣との人間関係

 議員とのつきあいに関しては、男女差はほとんどなく、「かなりつきあいがある」、「少しはつきあいがある」を合わせて1割程度がつきあいがある。

社会奉仕団体の会員とのつきあいに関しては、男女とも多くはなく、1割弱ほどがつきあいがある。全体的に、町内会役員など、地域でのつきあいは女性の方が多かった。

3.社会に対する働きかけ

 

 有力者や役所への働きかけは、男女とも2割ほどが経験している(図7)。選挙運動も同様である(図8)。社会的活動は男女差があり、女性は4割近くが経験している(図9)。

4.政治や政策への意見

4.1.政治的有効性感覚

 政治に対する自分の力(図10)について、政治を変えることはできないという意見が過半数である。男性の6割強、女性の8割近くが「できない」と答え、無力感が強い。図11や図12にみられるように、国民の意見が政治に反映されるか、政党が意見を代表するか、といった問いについても、否定傾向が圧倒的に強い。

 

4.2.政策に対する意見

 福祉の充実(図13)に対しては、豊かな人への増税を伴ってでも充実すべきという回答が、「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」を合わせて、男女とも6割以上であった。貧しい人の所得税を軽減する意見(図14)は、女性の方が賛成傾向が強い。相続税増を伴う消費税減税の意見(図15)に対しては、男女差なく、賛成・反対がほぼ五分五分で拮抗している。

5.社会に対する認識など

高い社会的地位の獲得に対する親の地位の影響(図16)や貧富の格差の認知(図17)は、賛否は拮抗しているが、女性は認識が厳しい。財産保有率(図18)では、東京の事情を反映して、一戸建て・乗用車が地方都市より低い。近年普及の進むパソコンは5割程度。


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