本書は,対称性を数学的に捉える方法の一つである「群論」と呼ばれる数学の対象についての入門的な解説書です.群論は数学における分類では,代数学に属
し,現代数学における基礎的な概念として欠かせない存在となっています.一方,「群論は対称性を記述する」という点において,(理工系に限らず)
様々な分野に応用があります.(本書では,平面の繰り返し模様について,詳細に述べてあります.)
本書の特徴は,おおまかに2つあります.まず,群論の多くの入門書で見られる代数的な内容よりもむしろ,群が図形に作用する状況(=図形の対称性を表す
群)について徹底的に調べて具体的な群をリストアップしていくということです.これにより,読者は自然と群の考え方が身に付き,具体例を学んでいくことが
できるようになっています.次に,本書の一つの章では一つのトピックを扱うというわかりやすい構成を取っています.このように原著者には初めて群論を学ぶ
読者に対する配慮が様々なところに見受けられます.
原書はとてもリズミカルに書かれているのですが,私の拙い訳のため,読者の皆さまに読みづらい印象を与えてしまっている部分も少なくありません.そのよう
な箇所を改め,誤植を修正した箇所をPDFファイルにまとめました.上記のリンクからファイルをダウンロードしてください.
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