立教大学教育学会へようこそ
本学会は2021年に設立された若い学会です。私は2022年度秋の総会で、初代学会長の有本真紀氏の後を継ぎ、ニ代目の会長に就任しました石黒と申します。どうぞよろしくお願い致します。学会として若いとはいえ、立教教育学科、大学院教育学専攻としては既に長い歴史を持っております。このような会の長にさせていただいたのは誇りではありますが、同時に責任も痛感しています。教育学科は1949年に文学部心理教育学科教育学専修として設置されたのが始まりです。その後、1962年に心理教育学科から教育学科が分離独立しました。1969年には大学院教育学専攻修士課程が、1972年には同博士課程が発足しました。これまでに既に約5000名の学部生、院生が育っていったことになります。この間、それでなくても狭い校内には新しい校舎がいくつも建てられ、景観もだいぶ変わりました。私たちの研究室も6号館から、図書館のあるロイドホールに移りました。大学を久しぶりに訪れ、私以上にその変貌に驚かれた方も少なくないでしょう。
さて、本学会は教育学科、教育学専攻の卒業生、修了生を中心に、在校生、教職員、それに本学の教育研究に関心を持つ人たちをつなぐ場として設立されました。このコミュニティがこれからどのように育つのかとても楽しみです。関係の皆さん、ぜひご参加ください。学会ニュースはお互いに近況を交換したりする場になります。年一回は対面で、みなで集える日を設けたいと考えています。本学に関わる多くの方が、教育現場、教育研究の場はもちろんご家庭で、会社で、公官庁で活躍されています。必ずしも教育に直接関わらなくても、それぞれの人が自らに与えられた場でその役割を果たされていることでしょう。おりしも本学会はコロナ禍の中の発足となりました。2023年5月の今、ようやくコロナが落ち着いたかに見える状況になり、キャンパスも久方ぶりの賑わいをみせています。人類に疫病は繰り返されてきました。その度ごとに私たちは何かを失い、何かを得ていることでしょう。ダニエル・デフォーが描いた17世紀のロンドン、アルベール・カミュが「記録した」20世紀半ばのオラン、そしてトニー・クシュナーによって劇化された20世紀終わりのニューヨーク、それらには共通していたのは人々の戸惑いと苛立ちです。しかし、同時に希望、そして期待もありました。絶望の時代ともいえる今、私たちは本当に希望や期待を持てるのでしょうか。何かの偶然で私たちは同じ時代を生きています。立教大学の建学の精神は「普遍的なる真理を探究し、私たちの世界、社会、隣人のために」とされています。本学会はその礎とならんとし、異なる世代、異なる価値を持つ人々がその肩書きを超えて出会い直す場です。あなたの参加を心より望んでいます。
2023年5月吉日
立教大学教育学会・会長 石黒広昭