Look6 女性らしさ・男性らしさ

Designer 猪野朋美

流動、流れゆくこと、移り変わること。
流動していく過程において1つ1つのものが弱いから流れるのではなく、流れゆくものの1つ1つには「らしさ」が存在していると思う。そこで今回のファッションショーでは「女性らしさ」と「男性らしさ」に着目して服を作りたい。
ジェンダーフリーなどと言われている今、女性らしさと男性らしさの軽視が進んでいるような気がする。しかし、社会的・文化的な性別の前に生物学的な性別が存在するため(まず、女性と男性では体のつくりが違う)、やはり女性らしさ・男性らしさは存在するのだと思う。
生物学的性別から生まれた女性らしさ・男性らしさのなかで今回特に焦点をあてたのは庇護する側・庇護される側という点である。これをデザインに盛り込むため、庇護膜という概念としてオーガンジーを用いることにした。
女性は男性から庇護されるという役回りを持つためオーガンジーをコートの上から重ねた。オーガンジーを重ねたことでポケットの機能性をなくしたのは、自分を守る最低限の機能を持ちながらもやはり守られるということの方が先にあるということを示したかったからである。