日本社会のジェンダー差別の構造

ジェンダー差別:性別カテゴリーそこに属するものを異質なものとして不平等に扱うこと

構造的には女性差別
<1>性別役割分担
<2>女性に対する暴力

<1>
男性:政治の担い手、支払われる労働力、それらを担うに適した積極的気質
女性:支払われない労働力、周辺労働力、配慮,優しさ,従順さをもつ気質

男は仕事(収入、名誉、業績)女は家庭(タダ働き)=女性は経済的社会的の男性へ依存せざるを得ない=権力関係ができる

企業、政府に推進されてきた。1.生産効率性2.労働力過剰の解消3.賃金抑制という利潤最大化のため

<2>

男女間の不平等関係の中で行使される女性の人権を損なうような強制力
女性を従属的地位に甘んじさせる社会構造の一つ

<1>から連動してくるもの*

性別分業=男性の優越的地位=従属関係=権力関係
女性の低い地位

権力関係は<2>原因かつ結果=権力関係は<1>から生まれる
よって、<1><2>は相互規定的

ジェンダー差別の撤廃

<1><2>が連動するので<1>の撤廃すなわち<2>の撤廃

性別役割分担の問題点
@ 性別の大枠で役割を決めること自体が人間の可能性への制限
A 役割の中味を規定し、主体を空洞化させる
B両性に配分される資源の不平等、権力関係の不均衡

解消法

「状況対応分担」:やれる人がやれることをする

@<1>世帯前提の諸制度を個人単位に変更 A一日の労働時間の短縮
B教育 C以上を進めていく行政機構の設立、法律の制定

支払われない労働の変革*

ギリガン「思いやりの理論」の段階的発展
第一段階:自分自身を思いやる
第二段階:自己犠牲のもとに他人を思いやる
第三段階:自分も他人も思いやる

日本では第二段階が女性の役割とされてきた

問題点と限界
@自分の空洞化
A様々な面で両性の力の不均衡
B1.賃金=労働力の再生産費にも関わらず、それに含まれない高齢者介護等を要求
2.少産少死時代、女性一人が家庭内ケアを行う困難性


*解決法

対等な主体的個人の相互行為としてのケアの社会的実現

ケア観を第三段階に発展させる

ケア専従者をつくらない

「共」の領域をつくる 「公」「私」の他に「共」=民間の公益領域

あくまで公権からは自由、個人意思による、しかし私のみの利益のみを目的としない自立的空間

「公」は「共」の活動を保障することが必要 <「共」活動団体への税制優遇等>

個人の「共」領域への主要な参加の形はボランティア


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