担当者:市川

ボランティアの挽歌

一.ボランティアの曖昧な消滅


ボランティア全体の急速な収縮過程(膨張ー収縮ー平衡状態)奇怪なカタストロフィー
ex)阪神淡路大震災の被災地一日のボランティア数
ピーク時6万人〜撤収〜夏以降500人前後

撤収
被災者の自立論:
生活再建に自立が必要だが、ボランティアがいると依存してしまうので自立を促し依存を断つため撤収する
問題;この時、ボランティア問題が取り上げられる。
「過剰な干渉ではなかったか・質はよかったかetc…」

ボランティア一人一人の中に小さな挫折
「二度と行くか・行くのやめとこうか..」
ボランティアへの参加の停止(曖昧な消滅、緩慢無な死)
他方、外的条件による停止<資金・拠点施設がない>

二.遅れてきたボランティア実践の中で


ボランティアとは何か?=抽象的議論で終わるのが常である
筆者:ボランティア=行為の向こうに他者との生きた情動関係をつくる相互に能動的、肯定的な情動の交差
ex)被災地で花壇をつくるボランティア−被災者の笑顔−
その笑顔にボランティアが励まされる、感動するボランティアする・されるが流動する、一方的なものではない
問題;ボランティア実践の相互肯定(承認)の理論がずれてくるとき
ボランティア=相互に他者を承認 他者への思いやり(ニーズを聞きそれに沿うようにするのが正しいあり方)
聞きだしたニーズだから承認はあり
一定のニーズをする・してやるの関係ができる
示されたニーズを満たせばよいからボランティア自身が自分の実践に殊更の付加価値をつける必要がなくなる

三.ボランティア規範との戦い


既存のボランティア4原則@主体性(自発性)A公共性(社会性.連帯性)B無償性 C先駆性(創造性.開拓性)
自己完結した十分な主体、助ける勝者が想定されている。そして、この原則を基礎にボランティアが動いている実態がある。
問題**ボランティア実践への内在的障害になっている
ex) 心のケアの必要性が叫ばれる(ボランティアに高度要件の付加)−専門的知識具備が必要のイメージ介入
−精神科医でもない者は行っても役に立たない、との声
…ボランティア領域が市民秩序から隔離され、特別なことであるとの認識がある。
筆者:ボランティアをする=自分で生活担い保つことが難しいと思われる他者に手を貸し関わる
その中の一形式:日常的な自己(ありふれた何でもない行為)を他者に分配する、がある。
<重要なのは自己分配に他者が関わること>
よって、ボランティアは予め意味、価値が付加されるものではないし、特別なことでもない。
心のケア
;専門職能のないボランティアは医師の治癒という大きな文脈の一因子になる
被災者の生活総体=多様な情動の束 だからボランティアの存在自体が重要
みなさんは、ボランティアとは何だと思いますか?


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