「臓器売買を法的に認めるべきである」肯定

池田・中・成石

1.臓器は商品たりえるか?

・臓器が「物」であるとすれば、利用価値が高くあるので「商品」として成立することはたしかである。「商品」として成立するならば当然それに見合った対価がつけられる。
・では臓器が「物」ではないとすれば、「商品」として成立し得ないか?
臓器には代用品が現在開発されていないという付加価値があり、価値があるものに対しては値段がつけられる。

2.臓器売買を認めるメリットは?

@提供者が増える
・・・現在の状況ではとても十分とはいえない。臓器売買を認めれば提供者が増えることが期待され、それによって必要としている人に提供される機会が増える。家族からの提供に頼っている現在の状況を打開できる。

A自己決定の幅を広げる
・・・金銭を対価として臓器提供をすることを認めれば、金銭的に余裕が無く生活している人たちの選択の幅が広がる可能性がある。

3.贈与は良いのに売買はなぜだめなのか?

・臓器の贈与(金銭を対価としない臓器提供)は認められているのに、臓器の売買は認められないというのはおかしくないか?
・臓器提供にはある一定の危険が伴うとするならば、対価として金銭を用いることは決して悪いことではないのではないか?

4.考えうるデメリットに対する反論

@公平性が失われるのではないか?
←贈与と同時に売買を認めるのであれば多少は改善されるのではないだろうか。

A債務返済のために望まない臓器売買が増えるのではないか?
←売買というのは一種の契約であるから、民法上で解決できるのではないだろうか。また、もし臓器が担保として認められるなら「持たざる人」でもお金を借りられるのは悪いことではないのではないか。

B臓器摘出はドナーの命を縮めるので、人名軽視に繋がるのではないか? 安易に命を縮めることは許されないのでは?
←いわゆる「太く短く」人生を送ることを望む人もいるのではないか。自分自身の「良い」人生を送る選択肢の一つとしてあってよいのではないか。


Copyright (C) 2000-2010 大阪市立大学法哲学ゼミ
http://www42.tok2.com/home/takizemi/

2002年度スケジュールに戻る