第2章 ミクロ経済学の概説 3節・5節

2002/10/21 担当:三浦、池田

3 数学的な分析道具

経済学→多くの関数を取り扱う
関数:数からなる二つの集合間の関係であり、一方の集合の要素たる数の一つがもう一方の集合たる数の一つと対応している場合

従属変数と独立変数

y列      x列
2      −3    xの値は対応するyの値を一義的に決定
3       0    →yはxの値に従属している
10      4    y=f(x)のyは従属変数     
10      6
12      9    yの値は対応するxの値を一義的には決定しない
7       12    →xはyの値に従属していない
7       15    y=f(x)のxは独立変数

いくつもの従属変数があるときの表記方法

xにyが従属 y=f(x)
xにzが従属 y=g(x) と表記すると入れ替わったとしても分からない
よって混乱を避けるため
xにyが従属 y=f(x)⇔y=y(x)
xにzが従属 y=g(x)⇔y=z(x) と表すことにする

yはxの関数であるということだけを示したいとき

y=f(x)と表記
具体的な数の対応関係が表されているとき
例えばy=5+x/2と表記できる

一つの従属変数と二つ以上の独立変数を関係付ける場合
y=h(x,z)と表記する
従属変数 独立変数
関数hは独立変数xとzの値のすべての組み合わせとyの値とを対応させることを意味する

関数のグラフ化

例えばy=5+x/2を書くとき 横軸:独立変数 縦軸:従属変数 を取るのが通常
グラフ上の太線はy=5+x/2の関数を満たすすべての組に対応する
3つの変数からなる関数のグラフを書くとき 例y=y(x,z)=−3x+z
他の変数の値を一定の値に固定する(例:zを固定)ことで複数の変数の関数を二つの変数だけの間の関係に還元し、それをグラフにして書く。


5 供給の理論

企業はどのようにして意思決定をするのか?

企業:消費者へ販売するために、さまざまな生産要素(インプット)を用いてアウトプット(生産物とサービス)を生産する団体のこと

・利潤最大化

企業は消費者の需要と生産の技術という制約条件の下で利潤の最大化に努力すると仮定
「総収入−生産の総費用」
総収入:販売されたアウトプットの単位数×各単位の価格
生産の総費用:「各インプット費用×使用したインプットの単位数」をすべてのインプットについて合計したもの

利潤最大化…収入−費用=正で最大となるような量の生産を行うとき
:限界費用と限界収入が一致するような量をアウトプットするとき
アウトプットの最後の単位の   アウトプットをもう一単位多く
生産による総収入の増加分    販売することによる総収入の増加分

総収入の増加分>総費用の増加分
総収入が総費用以上に増加⇒この生産は企業の利潤を増加させる

総収入の増加分<総費用の増加分
総収入を増加させる以上に総費用が増加⇒それまでの生産レベルより利潤が減ってしまう

よって利潤最大化は限界収入と限界費用が一致するとき

問2.8

利潤。限界収入=限界費用。上記の説明

企業は総費用や総収入自体については何ら顧慮する必要がなく単に生産の単位毎に検討していけば利潤を最大化するアウトプットレベルを発見できる。

・グラフについて

グラフについての注意点
MR(限界収入曲線)…水平→企業が一般的価格で好きなだけ販売できる 
           ⇒限界収入は価格Pと一致
グラフの見方
利潤最大化:限界費用(MC)=限界収入(MR)
利潤最大化する生産レベルは限界費用と限界収入の交点q
総利潤:(価格(P)−平均生産費用(AC))×アウトプットの量q      
         生産物一単位あたりの総費用
    総収入(P×q)−総費用(AC×q)
⇒総利潤は網目部分

・短期と長期

企業は長期と短期の二つの異なる枠組みで行動
     暦の期間とは対応していない

・生産要素をどう扱うか
短期:少なくとも一つのインプットが一定に固定されている
   固定される生産要素=資本(ex企業の建物、機械など)
   資本に関するすべての費用=固定費用
長期:すべての生産要素が変数となる
短期では固定費用は無視することが出来る。生産を中止しようと一千万単位生産しようと関係なく同じように生じるから。長期になるとすべての生産要素が変数となるので製品一つ一つに資本がかかる。→一つ生産するのと一千万単位生産するのにかかる資本の費用は異なる。

・経済的利潤との関係
経済全体として投下資本の回収率が常に存在する
「ある特定の産業(仮にA産業とする)の利潤>産業全体の平均利潤率
⇒企業はA産業に参入しようとする
⇒参入によりアウトプット価格下落
      インプット価格上昇 
⇒A産業の利潤は減少
⇒A産業の利潤=産業全体の平均利潤率→参入は止まる
A産業の経済的利潤は0
ある産業の利潤が経済全体の平均より少ない→経済的利潤は負
              多い →正
              同じ →0          」

経済的利潤を出すとき:資本の回収率の平均を総収入から差し引かれる費用の一部として扱い  ある産業の資本回収率の平均=全体経済の資本回収率⇒経済的利潤は0
長期的均衡…参入はない。ある産業の資本回収率の平均=全体経済の資本回収率の状態
→経済的利潤は0

機会費用と比較優位

機会費用
ミクロ経済学→競合する諸目的の間での希少な資源の配分の過程を研究 
機会費用(ある行為をすることで諦めたものの費用)、失われた代替的選択肢の経済的費用
の概念は重要
費用を計算するときの真の「経済的費用(明示の費用や会計上の費用などより広い費用)」は次善の代替的選択肢の費用(機会費用)である

比較優位
比較優位の法則…機会費用が最も低廉な選択肢を選択するべきである

問2.7

@オマケもタダじゃない
オマケを得ることによって、オマケが付いていなかった状態の値段で買うことを諦めたことになる。これはある行為(オマケを得る)をすることで諦めたものの費用(機会費用)がかかっているということになる。よって「オマケもタダじゃない」

Aタダほど高いものはない
教科書の車の例より:人からタダで車をもらった。車を売却して預金すれば金になる。タダだと思ってずっと乗っていたら車の下取り価格もどんどん減っていくし、もし預金していた場合の利息はどんどん上がっていく。よって「タダほど高いものはない」

B一円落札
もし1100万円での落札を狙ったなら落札出来なかったかもしれない。そうすると「今後のハードの発注や他市での同様のシステム作りなどの将来の仕事」が手に入らないことになる。(1100万円で落札するチャンスのために将来の仕事を得ることが出来るかもしれないチャンスを諦めた)このときの諦めたものの費用、つまり機会費用(将来仕事したときの報酬)は莫大なものである。それを失わないために一円落札したのである。よってこの一円落札には機会費用が含まれているので一円落札ではない。(もっと価値がある)

C判断するべき者
機会費用を考えると価格の「妥当性」や「適正さ」は自分自身が判断することとなる。


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