理学部化学科 研究室紹介冊子2021
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16■「有機元素化学」とは?高等学校や大学教育の有機化学は、C(炭素)を主な元素として、C,H,N,O,P,Sなどで構成される化合物を扱いますが、有機化学の手法を用いて周期表上のあらゆる元素を研究対象とするのが、「有機元素化学」です。例えば、エチレン(H2C=CH2)やアセチレン(HC≡CH)の炭素をケイ素(Si)に置き換えた多重結合は、ごく最近まで合成されていませんでした。また、6本の化学結合を1つの原子上にもつ6価有機典型元素化合物も最近性質が明らかになったばかりです。これまでに知られていない化学結合を含む化合物を合成し性質を解明することは、基本的な教科書の新しい記述を増やし、学問としての化学の再構築に繋がるだけでなく、機能性材料の開発や、希少金属元素の代替化合物としての「元素戦略」プロジェクトにも貢献できます。■研究背景私たちの身の回りの衣類、食品、薬品、材料などのすべての物質は分子から出来ており、「元素」を化学結合により配列させることで、様々な性質をもつ物質が得られます。地球上で私たちが自在に扱うことの出来る元素の種類は有限ですが、配列の組み合わせは無限であり、元素を扱うことの出来る「化学」には無限の可能性があります。本研究室では、「有機元素化学・物理有機化学」の分野の研究を行い、新しい化学結合(元素の配列)や、これまでに知られていない分子を化学反応により創り出し、元素や化学結合の性質を解明することで、元素の無限の可能性を引き出すことを目的として研究を行っています。箕浦研究室Minoura Laboratory

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