理学部化学科 研究室紹介冊子2021
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22伝子やタンパク質など1分以内で迅速に解析することが出来ます。キャッシュカードのようなものですが、その中に髪の毛くらいの太さのトンネルがあり、その中で高精度に高感度に生体資料を検出できる技術を開発します。■菌がつくるナノテク素材でガン診断ナタ・デ・ココは発酵食品の一種で、成分の99%以上は水、残りの1%以下はバクテリアの作り出すセルロースという物質の繊維です。この繊維は、幅数十〜100ナノメートル(以下nm)、厚さ数nmのリボン状で、それが複雑にからみ合って立体的な網目構造を作っています。1nmは1mの10億分の1で、分子1つひとつの大きさを測るのに適した単位です。最近よく耳にするナノテクは、このnmで測られるような極小の物質をコントロールする技術のこと。つまりナタ・デ・ココは、バクテリアによるナノテク製品に他ならないのです。ナタ・デ・ココの網目構造をフィルターとして使い、血液中から検査の妨げとなる物質を効率よく取り除く■研究背景患者の負担をより軽くできないか、地球をより大切に出来ないか。世界には、飢餓に、感染症に、病気に苦しむ人々がたくさんいます。より少ない検体量で、出来る限り少ない溶媒、出来る限り少ない廃棄物で、高速に、高感度に精度良くしかも安価に分析を行う。最新のナノテクノロジーでありながら、お金や環境負荷をかけないローテクな技術を目指して研究を推進しています。■ナノテクノロジー技術を駆使した 生体試料の構造解析生体試料の構造解析をターゲットとして、バイオテクノロジー・ナノテクノロジーと化学が融合した新しい分野の研究に取り組んでいます。そこで起こる化学現象を理学的な立場からのアプローチで解明し、新しい法則・原理の発見へ導こうと試みています。また同時に、これらの基礎研究や工学や薬学などの幅広い研究領域へ応用することを目指しています。人体をはじめ地球環境に優しく、より安全な化学を目指して、天然由来の材料を利用した化学分析手法の開発を行っています。マイクロチップとよばれる手のひらサイズのデバイスの中では、検体量はわずか1µLで十分です。その中の遺Tabuchi Laboratory田渕研究室構造解析テクノロジーバイオテクノロジー

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