理学部化学科 研究室紹介冊子2021
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4■遷移金属リン化物表面の反応性現在、環境保全の見地からガソリン等化石燃料中に含まれるイオウ分に対する規制は年々厳しくなっていますが、残念ながら原油に含まれるイオウ分は年々増加しているのが実情です。石油精製において、イオウ分は水素化脱硫反応(HDS)によりのぞかれますが、HDSに対■研究背景固体の表面は、その上で分子を様々に変換する、不思議な力を秘めています。たとえば、窒素分子は極めて安定で原子に解離するのは容易ではなく、熱的には数1,000℃を要しますが、ある種の表面上では室温でいともたやすく解離します。このような表面の不思議な力は、古くから触媒として利用されてきました。今後、私たちが限りある資源を有効に利用していくためには、すぐれた機能性を持つ触媒を開発していく必要があります。そのためには、表面の反応性の本質を解明することが不可欠です。私たちは、表面の反応性がどのようにして生まれるのかを解明し、それをもとに触媒活性を自在に制御することを目指して研究を進めています。■酸化物表面上の 貴金属ナノ粒子の反応性貴金属は化学的に不活性だと思われていますが、酸化物表面上でナノレベルの微粒子を作ると、驚くほど多彩な触媒活性を示します。私たちは、その活性の謎を解明すべく、酸化亜鉛上に作成した貴金属微粒子の性質を調べています。これまでの研究で、ナノ粒子は原子とも固体とも異なる独特の状態にあり、また電気的にマイナスになっていることがわかってきました。マイナスの貴金属が化学的に活性であることは理論的にも予想されており、謎の解明のゴールは見えてきています。枝元研究室Edamoto Laboratory表面解析用超高真空装置

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