理学部化学科 研究室紹介冊子2023
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構成メンバー博士課程前期課程2年生:1名 学部4年生:8名 客員研究員:1名図2 HPLCによる化学特性の解析図3 CEによる分子間相互作用の解析条件下における本来の化学情報を正確に測定することが出来ます。これまでに、硫酸化−β−シクロデキストリン-チモールやβ−シクロデキストリン-フェノキシプロピオン酸の包接反応系およびボロン酸-フルクトースの認識反応系の反応速度定数(会合・解離速度定数)を測定しました。また、界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)ミセルの界面をチモール分子が通過する際の透過速度定数を測定しました。図4 CEによる界面透過現象の解析11■高速液体クロマトグラフィー による化学情報解析上記の解析基盤に基づき、HPLCを利用して化学反応や物質移動現象の(主に速度論的)解析を行っています。分離系に試料パルスを加え、それに対する応答曲線(溶出ピーク)をモーメント解析して、分離剤表面での分子間相互作用や多孔質材料内における物質移動現象を研究しています(図2)。例えば、クロマト分離性能に大きな影響及ぼす「表面拡散現象」について逆相液体クロマトグラフィー系を具体例として系統的に研究し、その特徴や機構を明らかにしました。また、光学異性体分離系の一例として、臭素化−β−シクロデキストリンとフェノキシプロピオン酸の反応速度定数(会合・解離速度定数)を測定しました。■キャピラリー電気泳動法による 化学情報解析上記と同様に、CEを利用して分子間相互作用や異相界面透過等の(主に速度論的)解析を行っています(図3と4)。CE実験系では、分子の非固定化・非化学修飾from labo.人生の目標や目的は多くの場合、主に仕事を通しての個人の夢や希望の実現でしょう。大学や大学院で修得するものはそのための重要な基盤の一つとなります。この点で、大学(大学院)教育は非常に重要な意味を持っています。大学(大学院)には、学問に真摯に取り組み真理を謙虚に探究して専門能力を修得すると共に、それに取り組む自分自身を見つめて人格を高める多様な機会があります。大学(大学院)で多くを学び、自らの基盤(人格や専門性)の構築に向けて不断の努力を行ったという誇りと自信が、将来の自己実現を目指す様々な活動の原動力になります。大学や大学院での勉学の期間は人生の通過点に過ぎません。しかし、それは年齢的に人生の中でも素晴らしい時期であり、さらにその後の人生をより一層充実したものにするための出発点でもあります。■まとめHPLCやCEはこれまで主に、精密分離分析を目的として幅広く利用されてきました。一方当研究室では、HPLCやCEを単なる分離分析法としてだけではなく、他の各種機器分析法と同様に様々な化学情報を解析できる方法論へと進展させています。モーメント理論に基づく解析基盤の構築と体系化により、化学反応や物質移動現象に関する特に速度論的な化学情報の定量的かつ正確な解析が可能になりました。HPLCやCEの化学情報解析法としてのポテンシャルを高め、独自の解析化学的研究の展開を図りたいと考えています。

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