Sasaki Laboratory生命活動は生体分子の化学反応を起源としていますが、化学反応式のみでは生命活動は記述できません。特に、ヒトを始めとする生体は細胞・組織・臓器・個体という階層構造から成っているため、まずはこれらの各階層における動作原理を分子レベルで明らかにする必要があります。このような検討は、それ自体が化学的に興味深いだけでなく、人類社会にとって有用な分析手法・試薬・装置の開発へとつながっていきます。当研究室では特に、細胞・組織レベルでの動作原理解明を目指し、生体分子や細胞を対象とする分析法の開発、さらには疑似的な生体組織を構築して用いる分析法の開発に取り組んでいます。マイクロ流路内で形成した油中水滴マイクロ流路への送液にはシリンジポンプや空圧ポンプを用い、液滴の観察には蛍光顕微鏡を用います。様々な装置を操りながら実験を進める様子は、コックピットで多くの計器に囲まれたパイロットのイメージに近いかもしれません。種々の技術を駆使するのみならず、必要に応じて新たな実験手法を開発しながら、研究を進めています。顕微鏡での観察風景12■ 研究背景分析化学は、様々な物質をはかるための方法論を開発し、これを基に新たな知見を得る分野です。当研究室では「マイクロ・ナノテクノロジーを利用して、生命のしくみを化学の言葉で解き明かす」ことを目標とし、生命分析化学における方法論の開発を進めています。■疑似細胞における分析化学細胞内には種々の分子が多量に存在し、空間的に不均一な構造を形成するとともに、分子クラウディング効果などを通して高効率な生化学プロセスが実現されています。既往研究で用いられてきた細胞サイズ液滴やリポソームは、細胞を理解する場としては有用ですが、細胞の構造的・機能的特徴を再現するという点では実際の細胞にはるかに及びません。そこで、マイクロ流体デバイスという、髪の毛ほどの太さの流路をもつ器具を用い、サイズ・組成・構造を制御した細胞サイズ液滴およびリポソームを作製しています。このような取り組みを通して、細胞の動作原理解明に挑むとともに、そこから明らかになる論理を新規分析法として応用することを目指しています。■疑似組織における分析化学疾病に伴う生体応答を理解するには、個々の細胞応答を調べるのではなく、その集合体である組織の応答をまずは明らかにする必要があります。そこで、マイクロ流体デバイスに種々の生体材料を組み込んで組織を再構築しています。具体的な疾病として「がん」や「皮膚炎」に着目し、これらに対応する疑似組織を構築しています。さらに、そ佐々木研究室
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