理学部化学科 研究室紹介冊子2024
7/32

ポリマー基板の上に室温で作製することができる強磁性Fe-Snアモルファス薄膜。放射光解析により、磁気センサとしての優れた特性がアモルファス中の短距離秩序に起因することを解明(Nature Communications (2023))。構成メンバー 学部4年生:7名優れたスピン素子特性を示す二酸化イリジウム。遷移金属酸化物の電子状態に基づく物質設計の概念を世界で初めて実証(Nature Communications (2013))。5■アモルファスの機能物性化学特殊な原子配列や結晶格子の対称性をもつ物質(トポロジカル物質)で発現する巨大な磁気輸送現象や熱電変換現象が次世代デバイスへの応用可能性から注目を集めています。これらの現象を各種応用に適したアモルファス薄膜へと取り組むことができれば、材料科学の広範な分野に波及効果を生み出すことができます。構造化学や結晶化学の視点から、その実現につながる基本的概念となる学理を構築することに挑んでいます。from labo. 2024年度にスタートした新しい研究室です。薄膜は、化学科の学部講義にはあまり出てきませんが、基礎と応用の両面でとても興味深い研究対象です。卒業研究を通して新物質・新機能を発見したい!という熱意をもった学生さんと一緒に研究室の立ち上げを進めています。ナノマテリアルである薄膜の研究は、歴史が比較的浅いため、試料を作製・評価してみないと分からないことがまだまだたくさん眠っています。「薄っぺらい」というのもなかなか奥が深いものなんです。■先進デバイス×薄膜材料化学IoT化(モノのインターネット化)の推進に向けて、各種デバイスやセンサの高性能化・多機能化への要請が強まっています。従来素子のコンセプトを刷新して、素子特性を飛躍的に向上するための起爆剤は、新物質・新物性の発見です。各種物性の源である電子状態を理解し洞察することで、優れた電子素子・スピン素子・熱電変換素子特性を示す物質・材料を開発することに取り組んでいます。

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る