計量社会学研究会

 この研究会は1998年4月に始まりました。社会学的データの計量分析に興味のある有志で、月に1回のペースで研究会を行っています。興味のある方は、お気軽にご参加ください。お問い合わせは下記の連絡先まで。

  事務局  飯島 賢志  e-mail: wise () momo.so-net.ne.jp



次回研究会のお知らせ


日 時:2012年12月29日(土)15:00〜
場 所:立教大学池袋12号館 地下第一会議室


発表者  三田知実氏(立教大学)
 「消費態度と社会的属性に関する計量的研究
   ─多様化する消費生活に関する調査を通じて─」


発表者  三澤仁平氏(立教大学)
 「将来における経済的不安感と不眠、気分の沈み込みとの関連
   ─東日本大震災後の仙台市民データを用いた検討─」
  要旨
 東日本大震災からしばらく経過してもなお、うつの症状として考えられる不眠や気分の沈み込みが継続しているのか、
また不眠や気分の沈み込みに将来における経済的な不安がどのように関連しているのかを明らかにすることを目的に、
「生活と防災についての市民意識調査」データを用いた解析を行った。
 震災時から7か月ほど経過しても,不眠や気分の沈み込みが継続してある住民が見られた.不眠や気分の沈み込みを解
消するには、保健医療ばかりでなく、経済的な保障を含めた将来を安心して生活できるような政策的支援が望まれる。



 ご都合のよろしい方は、お気軽にご参加ください。どなたか興味をお持ちの方が
いらっしゃいましたらお誘いいただければ幸いです。
 また研究会終了後、懇親会も予定しております。ぜひご参加ください。


★場所のご案内  JR池袋駅西口より徒歩7分 丸井デパート方面   池袋の地上はとても複雑で、多くの人が迷うので、地下通路がおすすめです。   迷ったときは丸井デパートで道をきいてください。

**** 各種の立教キャンパスマップへ ****

**** 池袋キャンパスマップ ****



前回までの研究会

(敬称略)

2010年度

12月11日(土) 16:00〜
      立教大学池袋キャンパス 10号館1階  X103教室
発表者   武井勲氏(日本大学国際関係学部)
 「第3世代のアジア系アメリカ人と社会同化」
 要旨
アジア系アメリカ人の社会経済的水準は、世代の推移に従ってどう変化して
いくのだろうか. 本報告では、先行研究で扱われることが少なかった「第3世代
とそれ以降の世代」を含めたアジア系の平均教育年数と賃金の世代間格差を、
非ヒスパニック系白人と比較検証した.




2008年度

4月5日(土) 4時30分から
      立教大学池袋キャンパス
       12号館6階 社会調査研究室

○発表者  村瀬洋一(立教大学)
 「韓日における社会参加行動の分析 −国際比較における問題の検討」
 要旨
有力者との非公式な接触、選挙運動、ボランティア活動という、3つの参加行動
について、その規定因を明かにする。年齢や学歴や経済的地位の他、人間関係の
保有、価値観などの、行動に対する影響について分析する。韓国と日本という異
なる社会の比較を行う上でのポイントについても検討する。


○発表者  飯島賢志(武蔵丘短期大学)
 「経済的弱者の競争志向規定因の探索」
 要旨
本報告では、世帯収入を経済的階層の指標とし、いくつかの仮説を検証
する形で、経済的地位の低い層における競争的な志向が、どのような意
識構造によって形成されているのかをSSM2005日本調査のデータを分析
していくことで探索する予定である。主な内容は2005年SSM報告書7巻
に基づいている。(※SSM2005日本調査のデータの利用に際して、2005年
社会階層と社会移動調査研究会の許諾を得た。)


2007年度
10月20日(土) 4時30分から
      立教大学池袋キャンパス
       12号館6階 社会調査研究室

○発表者  谷口尚子氏(帝京大学文学部社会学科専任講師)
 発表題目 「訪問面接調査とインターネット調査にみる政治意識・市民意識の差」

発表要旨
近年、市場調査やマス・メディア等の世論調査ではインターネット調査
が普及しつつあるが、政治学ではその標本抽出法や回答者属性・回答傾
向の特殊性(党派性や投票行動の偏りなど)が問題視されてきた。本報
告では、「政治学研究にインターネット調査は現実にどこまで使えるか」
という問題意識の下、有権者の人口分布構造に合わせて回答を回収した
割当型インターネット調査、モニター型インターネット調査、信頼性の
高い訪問面接調査の各結果を比較し、また傾向スコア(propensity score)
による補正の実効性を検討する。


2006年度
 5月20日(土) 午後4時30分から
            7号館3階 7301教室

○発表者 竹ノ下 弘久氏(静岡大学)
 発表題目 「自営業への移動過程に関する趨勢の検討」

発表要旨
 自営業への移動の規定要因について、SSMデータを用いた検討を行う。
本研究は、ArumとMullerの自営業への移動と退出に関する国際比較研究に大きく
依拠するものである。しかし、かれらの研究は、1980年代以降の自営業の構成の
変化に注目しているため、近年の短期的な変化に分析の射程範囲を限定している。
本研究は、1965年から95年までに行われたSSM調査データを利用することで、よ
り長期的な自営業への移動の規定要因に関する変化を追跡する。


2005年度
12月17日(土) 午後4時から
            7号館3階 7302教室

○発表者 金 貞任氏(東京福祉大学)
 発表題目 「高齢者の社会的地位と健康状態」
○発表者 菅野 剛氏(日本大学)
 発表題目 「社会・文化活動に関する日独比較分析」



   7月16日(土) 午後4時から
            7号館3階 7302教室

○発表者 盛山和夫(東京大学)
 発表題目 「社会学的計量分析における説明と物語」

発表要旨
 社会学と社会調査の方法に関して、相変わらず量的か質的か、説明か物語かという
ような二分法的対立を強調する議論が続いている。その一方で、量的分析では単に計
量モデルを適用してみただけのようなもの、質的分析ではいったい何を明らかにした
ことになるのかが不明なものも、むしろ増えてきている感がある。ここには今日の社
会学そのものに明確な方向感覚が欠如していることが関係しているように思われる。
報告では、社会学における説明と物語を整理しながら、調査データを分析することの
意味を考察したい。


   6月11日(土) 午後3時から
           12号館2階 社会調査研究室

○発表者 朝倉真粧美氏(立教大学)
 発表題目「回収率の推移」
発表要旨
 多くの調査で、回収率の低下傾向が示されている。その原因と対策について検討した。

○発表者 村瀬洋一氏(立教大学)
 発表題目「韓日における関係的資源と社会意識
         −国際比較上の問題点」
発表要旨
 ソウル、デグ市における独自の統計的社会調査の結果を、日本での結果と比較
しつつ分析した。人間関係保有や社会意識についての分析結果を提示し、また国
際比較調査の問題点等についても検討した。韓国の方が社会不公平感が強く、ま
た有力者とのつきあいは少ない。日本では、地域と平等志向に関連がある一方、
韓国ではそのような関連は見られないことなどが分かった。


   5月21日(土) 午後3時から
            7号館2階 7201教室

○発表者 小林盾氏(成蹊大学)
 発表題目「職場のフリーライダー:サイズ,仕事内容,モチベーションの効果」

発表要旨
この論文では,仕事の内容やモチベーションが職場のフリーライディング(ただ
乗り)に影響することを,質問紙調査によってしめす.組織が効率的に運営され
るためには,職場のチームワークが良好で,フリーライダーが少ないことが不可
欠である.そこでこの論文では,なにがフリーライダーを減らすのかを検討す
る.
ある日本の大企業の4営業所で,全数調査を行った.分析の結果つぎのことが分
かった.(i) 担当業務内の仕事では6割が,担当業務外では半分が,フリーライ
ドしないでチームワークに貢献する.また,組織に担当業務内で貢献する人は,
担当業務外でも貢献している.(ii) チームワークをするサイズや,職場のサイ
ズは,フリーライダーにほとんど影響しない.(iii) 仕事の内容別では,外勤者
より内勤者に,また事務部門・営業部門より技能部門にフリーライダーが少な
い.
ただし,事務部門と営業部門の間に差はない.(iv) 個人の違いでは,モチベー
ションが高い人ほどフリーライダーが少ない.この研究は,職場のフリーライ
ダーに関する,日本で最初の組織調査の試みである.また,日本にかぎらず,フ
リーライダーへの仕事内容やモチベーションの効果を検討したものは,これまで
なかった.

○発表者 村瀬洋一氏(立教大学)
 発表題目「社会階層研究の混乱と今後の展開
           −社会移動の分析上の問題を中心に」
発表要旨
 日本は平等で開かれた社会と言われてきたが、最近は不平等の指摘
が多く、閉鎖性が強まっているという主張も存在する。社会移動につ
いて、上層の開放性が低下した(親子で職業の関連が強まった)とい
う主張があるが、それに対して否定的な意見も存在し、同じデータを
使っていても、分析結果はまちまちである。本研究では、とくに社会
移動について、なぜこのように異なる主張が存在するのか、分析上の
問題点を検討する。




2004年度
 12月11日(土) 午後4時30分から
            7号館3階 7302教室

○発表者 池周一郎氏(帝京大学)
 発表題目
「電子アンケート作成支援システムとその保持すべき機能について」

発表要旨
 電子アンケート用にHTMLとCGIを書き、それを運用することは、プログラミン
グ経験のある者にとっても、かなり煩わしい作業である。しかし、その利点は大き
なものがある。
 発表者が開発したHTML&CGI Generator は、(いまだ試作段階ではあるが)
ワーディングと変数に関する若干の定義を元にHTMLとCGIファイル群を自動的に
生成し、大幅な省力化を実現するとともに、アンケート作成と実施において、必要と
思われるAI的な機能を備えるコーディング・レスな統一的アンケート・システムである。
また、スケール変数も紙上では離散的な整数値しか収集できなかったが、擬似連
続的にマウスを動かして選択できる機能を備えている。
 当日は、解説をしながらデモンストレーションを行ない。布教活動に努めたい!


○発表者 小林盾(シカゴ大学)氏
 発表題目
「組織活性化と労働流動性:ホワイトカラーの転職に関する調査から」

発表要旨
 この発表では,労働市場の流動性が組織の活性化にどう影響するのかを検討す
る.労働者が組織間を移動できることは,諸刃の剣になりうる.組織に良質な労
働者が集まることもあれば,逆にフリーライダーが増えるかもしれない.そこで,
入職者と離職者が,組織への貢献にとってどういう労働者なのかを調べる.デー
タは,全国の30代・40代の男性常勤雇用ホワイトカラー労働者に質問紙調査を行
って得た(回答810人,回収率51%).回帰分析の結果,(i) 転職を経験した人ほ
どフリーライドせず組織に貢献する,(ii) 他方,フリーライダーほど転職の希
望が強い,ということが分かった.したがって,人びとが組織間を移動すること
で,組織にぶら下がる人は減るであろう.このことは,労働流動性が増すと,外
部労働市場と内部労働市場の双方で競争が働いて,組織が活性化しうることを示
唆する.


 10月23日(土) 午後4時から
         立教大学池袋12号館2階 社会調査準備室

○発表者 竹ノ下弘久(慶應義塾大学)氏
 発表題目 階層移動研究の展開と課題 −レベル設定モデルとアソシエーション・
モデルとの間でなされた論争を中心に

発表要旨
 国際比較における相対移動の共通性と異質性をめぐっては、1980年代から90年
代にかけて、ヨーロッパの階層研究者とアメリカの階層研究者との間で、激しい
論争が行われてきた。その論争の大きな契機となっているのが、レベル設定モデ
ルとアソシエーション・モデルとをめぐる対立である。
 他方で、日本の階層研究では、1970年代のハウザーのレベル設定モデルが日本
の階層構造の分析に大きく導入されたものの、その後、アメリカの階層研究で発
展したアソシエーション・モデルについては、あまり検討されることもなく、ま
た、両者の比較や両者間でなされた論争についても、十分に整理されているとは
いいがたい。そこで本研究は、レベル設定モデルとアソシエーション・モデルと
の比較検討を行い、両者の間で行われた論争を整理する。これらの検討を通じ
て、今後の日本の階層研究の方向性についても考察したい。


○発表者 土場学(東京工業大学)氏
 発表題目 環境配慮行動と社会的ジレンマ

発表要旨
 リサイクルなど環境配慮行動を社会的ジレンマ・モデルで説明しようとする
研究は多いが、じつは社会調査に基づいて「社会的ジレンマの実証研究」とい
う枠組みで行われている研究は数少ない。日本では東北大学生活環境研究会が
ごみ問題に関して継続して行っている調査研究がその数少ない事例のなかでも
代表的といってよいだろう。
 とはいえ、じつはそこではどのような意味で「社会的ジレンマの実証研究」
といえるのか必ずしも定かではない。今回の発表では、この点について考えて
みたい。


 8月7日(土) 午後4時から
         立教大学池袋12号館2階 社会調査準備室
○発表者 山田康夫(東京大学)
 発表題目 「対人ネットワークの地理的属性と地域政治への参加意識」

発表要旨
社会関係資本の議論では、対人ネットワークは一般に政治参加を促進する要因
とされるが、地域の政治に対象を限定した場合に地域の対人ネットワークは政
治参加に結びつくが地域外のネットワークはそうでないことを示す。そして、
対人ネットワークと政治参加を結ぶ媒介要因としての会話に注目し、なぜ地域
外のネットワークでは地域の政治参加に結びつかないのかについて考察する。


○発表者 井出知之(東北大学)
 発表題目 「社会階層と政策意識における相互連関」

発表要旨
高度成長後の日本社会において新自由主義的な政策が格差の拡大をもたらしてい
るという見方がある。このような政策過程は有権者の支持に基づいて行われてい
るのであろうか。ここにおいて、有権者が社会政策に関してどのような意識を持
っているのかが重要となろう。政策意識は一般にイデオロギーとして捉えられる
際に有効と見なされる。となれば、態度としての一貫性の有無や自己のおかれた
環境条件とどのように結びついているか、を分析する必要がある。そこで眞自由
主義を中心に政策意識の体系性と社会階層との関連について、計量的に分析を行
う。


 6月5日(土) 午後4時から
         立教大学池袋7号館3階 7301教室
○発表者 飯島賢志(九州大学)
 発表題目 「偏った度数分布を示す変数を補正して分析に入れた場合の結果の観察」
 度数分布が尺度の上限や下限に打ち切られているように偏ってい
る変数、いわゆるセンサード変数を多変量解析に入れると、その変
数の打ち切りによる分布の偏りの影響によって、打ち切りがなかっ
たと仮定した場合に期待できる相関係数や共分散とは若干異なる値
になると思われる。共分散や相関係数は、社会調査データの分析結
果から得る知見と密接な関係にあるため、この結果の違いを簡単に
無視するわけにはいかないのではないかと考えている。
 打ち切りの補正法については、すでにソフトウェアレベルで使用
可能になっている。現在、社会調査データの補正には、さらにソフ
トウェアで使われている数式を、若干修正した数式を使った方がよい
のではないかと考えているが、今回の報告では、ソフトウェアレベ
ル使える方法で変数の打ち切りを補正して分析に入れた場合と、補
正しないで分析に入れた場合を比較する。また、どの程度の偏りに
対して、結果がどの程度違うのかについても言及できればと考えて
いる。
 この研究については、まだ私自身手をつけ始めた段階であり、何か
と検討すべき課題が山積している。だが、社会学では今回扱う変数補
正については、まだあまり知られていないと思われるので、シンプル
に分析結果を示すことにも意味があるだろうと考えている。また、
変数補正についての皆さんのご意見をおうかがいできれば幸いと考え
ているので、報告に臨む次第である。

○発表者 元治恵子(立教大学他)
 発表題目 「大学生のキャリアデザイン・ライフデザイン」
大学生・大学院生を対象とする新規学卒採用においては、若干回復の
兆しが見られものの、依然厳しい状況にある。
また、家事・育児・介護など家庭における責任の多くを、女性が担って
いる。この家族的責任との両立という問題は、女性が職業を継続して
いく上で、避けて通れないものとなっており、女性の就業継続を厳しい
ものにしている。
このような状況において、現代の大学生は、どのようなキャリアデザイン
・ライフデザインを描いているのだろうか。女子学生を中心にその構造を
探る。


 4月17日(土)午後4時30分から
         立教大学池袋7号館3階 7302教室

○発表者 村上あかね(家計経済研究所)
 発表題目 「20・30代未婚者の入職経路と社会経済的特性についての男女比較」
 現在、若年失業率の高さやフリーターの存在などに見られるように、若い世代の職業
生活はかつてより、あるいは上の世代よりも不安定である。そして、このような不安定
さが、結婚・出産行動、消費行動や社会意識に影響を及ぼしているといえよう。
 本発表では、若い世代の職業生活について考察するにあたって、社会的ネットワーク
の一つである入職経路に注目し、入職経路と社会経済的特性との関連を検討する。具体
的には、(1)初職・現職の入職経路の現状、(2)初職・現職の入職経路に影響を与える社
会経済的特性について、男女比較を中心に分析をおこなう。分析に用いるデータは、
2003年に財団法人家計経済研究所・「若年世代の生活とネットワーク」研究会が、東京
都在住20・30代の未婚男女を対象に実施した調査のものである。

○発表者 林雄亮(立教大学大学院修士課程)
 発表題目 「地位達成における出身地と地域移動の効果―出身階層よりも強い要因―」
 地位達成における出身地の効果は、男女とも出身階層と同等の効果をもっていたが、
その後は縮小傾向にある。また、男性にとって地域移動は教育達成において出身階層よ
りも重要なものである。一方、女性は出身階層ほどの効果はないが増加傾向を示してお
り、今後は男性と同等の効果をもつようになることが予想される。出身地及び地域移動
の効果は男女で異なっており、男性では教育達成に大きな効果をもっているのに対し、
女性では教育達成には男性ほどの効果はないが、その後のライフコースを通して地域の
影響を受け続けるといえる。


2003年度
 1月24日(土)午後4時から
         立教大学太刀川記念館1階 第1会議室

○発表者  安野智子(中央大学)
 発表題目 「世論過程とソーシャル・ネットワーク」
 対人的なネットワークは、社会変化への一種の抵抗力として機能し、社会的少
数派の残存に結びつく要因となる。対人環境が争点態度の形成に及ぼす効果を、
スノーボーリング調査データから再検討する。

○発表者  都築一治(流通経済大学)
 発表題目 「準階層とその構成に関する仮説的検討」
 現代の社会階層論においては、階層は職業、学歴、所得など、多元的で総合的
な性格を持つと考えられている。しかし他方で階層に関る現象には、排他的で網
羅的な「同値類的階層概念」が人々に共有されていると考えることで、よりよく
解釈できる側面もあるといえるのではないだろうか。
 この報告は、社会階層の多元性、多様性、非一貫性と、他方における一元的・
排他的・網羅的階層の存在とを両立させる枠組みの提案を目的とする。具体的に
は、多種の社会階層を、同値類的階層概念に相当する「準階層」とその他の多元
的な社会階層とに区分し、社会ごとに異なるであろう準階層の構成原理を整理
し、その人口構成をモデル化する。なお、このような報告の性質のため、データ
の計量分析は含まない。


12月6日(土)午後4時から
         立教大学7号館3階 7301教室

○発表者 増山幹高(成蹊大学)
 発表題目 「裁判官キャリアの計量分析:「司法の独立性」再考」
 Ramseyer&Rasumusenは一連の研究において裁判官キャリ
アの分析を行なっているが,彼らの計量分析を再検討することによって,
日本における司法の独立性論を再考してみたい

○発表者 鬼塚尚子(帝京大学)
 発表題目 「総選挙における二世・三世属性の効果」
 2000年衆議院選挙で当選した自民党議員の36%、民主党議員の13%が選挙地盤
を引き継いだ二世・三世である。選挙制度改革によって、政党公認率に及ぼす二
世・三世属性の効果は、高まっているとも言われる(浅野、2003)。一方、後継
者の当選率は、一代目が地盤や政治的影響力を温存するのにどの程度成功したか、
また本人が他の有力な属性(官僚・地方政治家経験など)を併せ持っているかど
うかにも左右されると考えられる。本報告では、選挙制度改革を挟んだ時期の総
選挙(1993〜2003)において、二世・三世属性が候補者擁立及び当選率にどの程
度影響を与えたかを検討する。


11月8日(土)午後4時から
          立教大学12号館2階 社会調査研究室

○発表者 浅野正彦(東京大学)
 発表題目 「欠損データの分析法」
 欠損データの問題は、統計学をはじめ医学、薬学、生物学、など様々な学術分野に
おいて、看過できない問題として注目されている。政治学の実証分析においても、リ
サーチ・デザイン構築の時点で「入手できる」と期待したデータが、データ集計が終
了した時点ですべて入手できることはまれなことである。アグレゲート・データを
使った分析では、何らかの理由で一部の情報が欠けている不完全データであることも
決して珍しいことではないし、世論調査であれば、調査者が意図した質問項目にきち
んと回答する被験者ばかりとは限らない。
 こうした不完全データを使った分析がなぜ問題なのかといえば「解析結果に偏りが生
じる可能性がある」からである。しかし、不完全データへの対処法は必ずしも確立し
てはいない。分析者各自がその場しのぎ的に対応する、というのが現状であろう。継
続調査における無回答による欠損データが、世界中で増加傾向にあることも指摘され
ている。欠損データが増えるにつれて、解析結果が偏る可能性が上がるわけだから、
不完全データの対処法が以前にも増して注目されているというのも当然のことである。
 本稿では、欠損データの定義と種類を整理し、欠損データがもたらす分析上の具体的
な諸問題とその対処法を検討したい。具体的には最尤推定法(MLE)、EMアルゴリズ
ム、マルコフチェーン・モンテカルロ(MCMC)など複数のコンピュータ・シュミレー
ションを使って、連続変数の欠損データへの具体的な対処法とその比較を試みる。ま
た、JES II データにおける欠損データの具体例を取り上げ、連窓uア変数なデータだ
けでなく、より複雑な対処法が要求されるカテゴリカルな欠損データへの対処法につ
いても言及したい。

○発表者 小宮山智志(新潟国際情報大学)
 発表題目 「「努力」「能力」意識が「平等」意識に与える影響」
 1997年の全国調査データを用い、「努力」「能力」
意識、特に「生まれつきの能力は誰でもほぼ同じで大差がなく、
努力すれば誰でも能力を伸ばすことができ、努力すれば報われる」
という努力万能−能力平等意識や努力の可視性に関する意識が
「平等」意識に与える影響を説明します。


 7月21日(月・祝)午後4時から
 立教大学 12号館2階 社会調査研究室

○発表者 朝倉真粧美(立教大学)
 発表題目 「エリアサンプリングにおける有効標本の特徴」
 エリアサンプリング調査の有効標本の特徴を、調査地点の住民基本台帳の
 記載内容と照合することにより明らかにする

○発表者 村瀬洋一(立教大学)・村上あかね(家計経済研究所)
 発表題目 「社会調査の回収率低下について −標本の歪みの検討と対策」


 6月21日(土) 午後4時から
           立教大学7号館3階 7301教室

 発表者 大枝哲治(サーベイリサーチセンター)
 発表題目 「「小泉改革」はどう見られているか
             −メディア・フレーミング効果の実証的検討」

 本研究の目的は、メディア・フレーミング効果を実証的に検討すると
ころにある。フレーミング効果とは、メディアがある特定の争点やト
ピックなどについて、どのような枠づけをしながら報じるのかが、メ
ディアの受け手の認知や判断にどう影響を及ぼすのかを探求するもので
ある。今回は、フレーミング効果を実証検討するために、いわゆる「小
泉改革」を題材として採用している。
 分析のために用いるデータは、都内私立3大学の大学生を対象にした
集合調査による。調査時期は2002年11月18日から11月21日
までで、サンプル数は462である。


 発表者 村瀬洋一(立教大学)
 発表題目
   「階層研究の問題点と今後の課題  −平等志向の変化を中心に」

 階層研究の伝統的な課題として、不平等や社会移動の現状把握がある
が、今後の課題としては、階層の多次元的測定や、再分配政策による意
図的平等化、不平等に関する意識についてがあげられる。本研究は、
ネットワークと社会意識に関する三地域調査データなどを用いて、とくに
人々の人間関係保有と平等志向の関連について検討し、脱産業社会におけ
る民主主義の、今後の変化について検討する。


 5月24日(土) 午後4時から
           立教大学12号館2階 社会調査実習室

 発表者 盛山和夫(東京大学大学院)
 発表題目  「平等の理由 −基礎づけ主義を超えて」


 4月12日(土) 午後4時から
           立教大学12号館2階 社会調査実習室

 発表者 七邊信重(早稲田大学大学院)
 発表題目 ポスト高度成長期における「社会」の見えかたの変容
             −「不公平感」の経年変化の探求から−



2002年度
  2月22日(土) 午後4時から
           立教大学12号館2階 社会調査実習室

  発表者 平野 浩(学習院大学)
  発表題目 「社会階層と政治意識」


 12月25日(水) 午後4時〜
          立教大学12号館2階 社会調査実習室

  発表者 元治恵子(立教大学)
  発表題目 「高校生の職業アスピレーションの規定因(仮題)」


  11月2日(土) 午後4時〜    場所 立教大学池袋キャンパス
                        12号館2階 社会調査研究室

 発表者 土場 学(東京工業大学大学院)
 発表題目
 「出生志向と夫の家事参加の関係−三鷹市民調査の分析−」

 昨年三鷹市で小さな子どものいる世帯に対して行った意識調査をもとに、
出生(抑制)志向と夫の育児参加の関係について、分析する。



2001年度
 3月18日(月) 午後1時30分〜  場所 立教大学池袋キャンパス
                        5号館2階 5201教室

   発表者     同志社大学    尾嶋 史章
   発表題目 「計量的モノグラフ −計量分析の位置づけ再考−」


10月20日(土)午後4時00分  場所 立教大学池袋キャンパス
                  7号館2階 7201教室

   発表者     東京都立大学 石田 光規
   発表題目 「地位達成における社会的資本の効果:同類原理の検討」

 社会的資本の地位達成機能については、近年、アメリカを中心として盛んに行われ
ている。しかし、日本においては転職における強い紐帯、すなわち同類原理の効果が
指摘されたのみであり、解明されていない部分が多い。本研究は社会的資本を諸個人
のディスカッション・ネットワークから把握し、その機能を明らかにした。その結果、
日本におけるネットワークの地位達成機能については、同類原理よりもむしろ、関係
を結ぶ場、すなわち職場関係であることが明らかになった。なお、分析には、「社会
意識に関する東京住民調査」(代表 村瀬洋一助教授)のデータを用いている。


 8月25日(土)午後2時30分  場所 立教大学池袋キャンパス
                   5号館1階 第2会議室

  発表者    村尾 祐美子(お茶の水女子大学)
  発表題目  「役職獲得の規定要因 −ジェンダー計量の試み」

 本研究の目的は、男女間の非対称な関係性(=「関係性としてのジェンダー」)が
常雇被雇用者の役職獲得過程に及ぼす効果を検討することである。そこで、1995年S
SM調査データを用いてイベント・ヒストリー分析を行った。その結果、常雇被雇用
者全体では、男女間の非対称な関係性を「関係としてのジェンダー」は見出されず、
女性との関係性において、男性が決して一枚岩的な存在ではないことが示された。ま
た一方で、一部の男性被雇用者(初職でホワイトカラーに参入した男性被雇用者)の
役職獲得確率の規定要因には女性との関係性が含まれており、社会的資源分配の規定
要因として「本人の生産性」「職の性質」を考慮するだけでは不十分であり、男性の
みを対象とした分析においても、男女の関係性を重要な要因として考慮すべきことが
明らかになった。


 7月31日(火)午後4時30分  場所 立教大学池袋キャンパス
                  10号館1階 X107教室

 発表者     村瀬 洋一(立教大学)
 発表題目   「社会意識の構造と閉塞感
         −SSMデータによる不公平感の内容の解明」
 不公平感は日本においても多くの先行研究があり、分配公正概念との比較などが
行われている。しかし先行研究では、不公平感は、人々の基本属性や社会的地位と
の関連がほとんどないことが明らかになっている。結局のところ、不公平感は具体
的に何を表しており、日本人は社会のどのような側面に問題を感じているのかは、
不明である。本研究は、全国調査データを用いて、不公平感の具体的な内容をいく
つか提示し、日本人の社会意識の構造が、地域によって大きく異なることを明らか
にした。



2000年度
 3月31日(土) 午後2時    学習院大学 東2号館13階
                   法学部大会議室

★新世紀における理論社会学研究会との合同で行いました
 発表者  赤川 学 (岡山大学文学部)
 発表題目 「少子化の要因について」

★計量社会学研究会 午後4時
 発表者  原 純輔 (東北大学大学院文学研究科)
 発表題目 「階層社会の現在」



 2月23日(金)午後3時    慶應義塾大学 三田キャンパス
             「研究室棟」地下一階「文学部会議室」

 発表者  織田輝哉(慶應義塾大学)
 発表題目 「福祉国家発展の時系列分析」

 発表者  鬼塚尚子(帝京大学)
 発表題目 「争点投票の3つのモデル」



  1月13日(土)午後6時00分  立教大学池袋キャンパス
                   7号館2階 7201教室

 発表者  石田浩(東京大学)
 発表題目 「日米企業の昇進モデル」



 10月14日(土)午後3時  立教大学池袋キャンパス
                7号館 7301

 発表者  高田洋(東京都立大学)
 発表題目 「民主主義と経済発展」

内容のご紹介
 経済と民主主義についての各国のマクロデータを用いた計量分析
 を行います。経済成長(GNP成長率)と民主主義水準、および、
 経済発展(GNP per capita)と民主主義の水準の関係について
 回帰分析とパス解析を用いて分析します。主に、因果の方向につ
 いて焦点を当てます。データは経済の指標についてはWorld Bank
 のデータから、民主主義はBollenの指標とFreedom Houseの指標
 を用いています。経済状態と民主主義の正の関係については多く
 の研究で確認されていますが、単年度の分析であることや、サン
 プルが小さいということによって、どれくらい確定的なものであ
 るかどうかは明らかでありません。この分析では、時間的にも地
 域的にも多くのサンプルをとることによって、それを確かめます。
 また、サンプル選択のバイアスという問題も考慮します。



 9月 6日(水)午後5時  立教大学池袋キャンパス
                7号館3階 7301教室
 発表者  近藤 博之(大阪大学)
 発表題目 「SSMデータによる教育機会の趨勢分析」

 順序カテゴリーの閾値を用いた分析。『社会学評論』の近藤論文「メリ
トクラシー仮説と教育機会の趨勢」(50巻2号:181-196)の説明と、その後
のモデルの改善。心理学における潜在特性モデルの紹介を含む。


 7月27(木) 午後3時  立教大学池袋キャンパス
                7号館3階 7302教室
 発表者  金 貞任(お茶の水女子大学)
 発表題目 「要介護高齢者を介護する家族介護者の性差と対処の規定要因」

 発表者  村瀬 洋一(立教大学)
 発表題目 「調査回収率低下の現状と対策 −回収日時についてのデータ分析」

 金さんは、ソウルで独自に行った統計的社会調査をもとに、分析結果を発
表。村瀬は、仙台での調査をもとに、回収時期(早期回収か遅いか)という
変数を用いて、調査に協力してくれるのはどのような人か、明らかにした。
また、最近の回収率低下の現状や、その対策についても、触れた。



1999年度
  3月13日(月)午後3時  立教大学池袋キャンパス7号館2階 7201教室
  発表者  元治恵子(立教大学)
  発表題目 「職業評定の構造」


  1月22日(土)午後4時  立教大学池袋キャンパス太刀川記念館一階 会議室
  発表者  織田輝哉(慶應義塾大学)
  発表題目 「所得分配イメージと公正感」

  11月13日(土)午後3時  立教大学池袋キャンパス7号館2階 7201教室
  発表者  高橋和子(敬愛大学)
  発表題目 「自然言語処理技術からみた自由回答の処理に関する考察」

  9月 9日(木)午後5時  立教大学池袋キャンパス7号館2階 7201教室
  発表者  鹿又 伸夫(北海道大学)
  発表題目 「世代間移動の開放性は世代内移動がもたらす?」

  7月31日(土)午後3時  立教大学池袋キャンパス7号館2階 7201教室
  発表者  数土 直紀(学習院大学)
  発表題目 「有職男性の階層帰属意識
          −吉川(1998)と前田(1998)との比較を通して」

  6月19日(土)午後3時  立教大学池袋キャンパス 太刀川記念館第2会議室
  発表者  山口 一男(シカゴ大学)
  発表題目 「ネットワークを通じての情報伝播とその構造的決定要因」

  5月29日(土) 午後3時  立教大学池袋キャンパス7号館3階 7301教室
  発表者  村瀬 洋一(立教大学社会学部)
  発表題目「政策志向の規定メカニズム
         −共分散構造分析による1995年SSM調査の分析」

  4月24日(土) 午後3時  立教大学池袋キャンパス4号館4階 4405教室
  発表者  島 一則(東京工業大学)
  発表題目「大学進学行動の経済分析 −収益率研究の成果・現状・課題」


1998年度
  3月27日(土) 午後3時  立教大学池袋キャンパス7号館2階 7201教室
  発表者  間淵 領吾(奈良大学)
  発表題目 「社会的不公平感の趨勢 −世論調査データの2次分析」

  2月27日(土) 午後3時  立教大学池袋キャンパス7号館2階 7201教室
  発表者  星 敦士(東京都立大学)
  発表題目 「階層帰属意識の規定要因と判断メカニズム
               −準拠枠としてのネットワークの機能」

 12月5日(土) 午後3時  立教大学池袋キャンパス7号館2階 7201教室
  発表者 都築 一治(流通経済大学)
  発表題目 「行為意味集合と相互作用の形式
               −ファジイ集合による行為意味の定式化」

 9月5日(土) 午後2時  立教大学池袋キャンパス7号館2階 7201教室
  発表者 織田 輝哉(慶應義塾大学)
  発表題目 「95SSM調査における不公平感の規定要因」

  発表者 安田 雪(立教大学)
  発表題目 「ネットワーク分析における推移性の概念
               −A社従業員のパーソナルネットワークの事例」

 7月25日(土) 午後2時  立教大学池袋キャンパス5号館3階 5308教室
  発表者 元治恵子(立教大学)
  発表題目 「職業評定の規定因」

  発表者 岡太彬訓(立教大学)
  発表題目 「1955年から1995年までのSSM世代間職業移動のMDSによる分析」

 6月20日(土) 午後2時  立教大学池袋キャンパス7号館2階 7201教室
  発表者 林 拓也(東京都立大学) 
  発表題目 「学歴達成における地域間格差と地域移動」

 5月23日(土) 午後2時  立教大学池袋キャンパス7号館2階 7201教室
  発表者 岩間暁子(和光大学)
  発表題目 「「場」としての産業界と男性の文化 −ブルデュー理論の実証的検討」

 4月4日(土) 午後3時  立教大学池袋キャンパス7号館2階 7201教室
  発表者 村瀬洋一(立教大学)
  発表題目 「関係的資源保有の格差と規定因
               −有力者との人間関係を指標とした政治的影響力の階層構造」




あなたは1999年12月20日以来 回目のアクセスです。

[昨日のカウント] [今日のカウント]

立教大学 村瀬研究室のページへ