更新日:1999年09月02日  Version 1.1

各種バージョンのSPSS使用法

 村瀬 洋一


 SPSSの操作は比較的簡単で、パソコン初心者でも使用可能だと思いますが、快適に使うためには多少のこつがあり、また、Windows版、マック版などで、操作法が少し違います。以下で、SPSSの操作のこつと、各種バージョンのSPSSの使い方について、村瀬の経験にもとづく解説を書きます。


Windows版 SPSS9.0 簡単な使用法と使用のこつ

1.SPSSの起動とファイル読込
 あらかじめSPSSデータファイル(拡張子が*.savのもの)ができている場合、これをダブルクリックすればSPSSは起動する。しかし、SPSSシンタックスファイルを作っておいた方が、後で自分の分析を再現することが容易なので、これを作った上での使用をおすすめする。
 あらかじめ、シンタックスファイルとデータファイル(両方ともテキストファイル形式)を作っておく。
 Windows上で、SPSSを起動する。データウィンドウが表示されるが、初めは空っぽである。画面最上部にあるメニューバーの「ファイル」をクリックし、開くを選択して、あらかじめ作っておいたSPSSプログラムを開くと、プログラムウィンドウが表示される。
 ファイルを開くの後、「ファイルの種類」ボックスを選択して「SPSSシンタックス」を選ぶと良い。


2.プログラムの実行
 ctrl+A を押して、シンタックスすべてを選択する。
 次に、画面上方の、実行ボタン(三角印の付いたボタン)を押す。 出力ウィンドウが開き、実行結果が表示される。
 その後、画面上方の「分析」をクリックし、分析する。マウスでクリックするだけで分析できるので簡単である。まずは「記述統計」などをやってみるとよいだろう。


3.SPSSの設定の変更
 画面上方のメニューバーの「編集」をクリックし、オプションを選択すると、各種の設定を変更できる。
 変数の提示順をシンタックスの記載の通りに慕い場合は、「変数リスト」の項目で、「アルファベット順」でなく「ファイル」を選ぶ。
 大規模なデータを分析する場合、出力は「ドラフトビューワー」を選択することをおすすめする。その方が実行速度が速い。
 次回のSPSS起動時より、各種設定が変更されている。


4.出力保存法
 出力画面で、メニューバーの「ファイル」をクリックし、「名前を付けて保存」を選択すれば、出力結果を保存できる。しかし、これではテキストファイルでの保存ができないので、他のソフトで結果を見るときに、やや不便だったりする。
 テキストファイル形式での保存には、「ファイル」をクリックし、「エクスポート」を選択すればよい。これで、テキストファイル形式で保存できる。私はいつもこうしている。通常の保存形式だと、リッチテキストファイル形式での保存となる。これでも、多くのワープロソフトで読むことはできる。
 Version6以前の出力ファイルは、テキストファイルなので、読むのは簡単である。


5.データの入ってるフォルダの指定について
 SPSSのシンタックスの初めは、以下のように書くと良い。データの入っているフォルダ(ディレクトリ)の指定は、winodwsでは\で区切る。この例文のあとに桁数の指定文が続く。例文では、CドライブのDATAフォルダに入っている 95d.dat というデータファイルを読み込んでいる。この例では、1人分のデータが4行なのでRECORDS=4と書いている。


SET  LENGTH=NONE /LOG=OFF /BOXSTRING='-|+' .

DATA LIST FILE='c:\data\95d.dat' NOTABLE RECORDS=4 FIXED

   / Q1 1 Q2 2 Q3 3-4 .










 

MS−DOS版 SPSS/PCの使い方

 DOS上で動くSPSS/PCにも、根強いファンがいるようなので、以下に操作法を書いておく。  プログラム・ファイルの読込や終了法が独特である。 1.画面の切り替え  画面は、メニュー、プログラム、出力の3つがある。  はじめはメニュー画面が表示されている。  ・F2でプログラム画面と出力画面を切り替え  ・GRPH+E でプログラム画面や出力画面の編集モードになる。 2.プログラム・ファイルの読み込み メニューモードでF1→ヘルプを選択→F3→ファイルの挿入 プログラムのファイル名を入れる。 ・プログラムは、あらかじめテキストファイルで作っておく。 ・WINDOWS版と違い、プログラムのはじめにRECORDESコマンドなどはいらない。あると  エラーになるので注意。 3.プログラム・ファイルの保存 メニュー画面でF9→プログラムのファイル名を入れる。 4.プログラムの実行 実行したいプログラムの文頭でF10 5.プログラムの編集 F7で範囲を指定し、指定し終わったらもう一度F7 F8でコピーなど。 GRPH+Vで、変数のリストが出る。 6.SPSSの終了  メニューでFINISHを選び、F10で実行 ・なお、テキストファイル形式の大量データを読み込むと、とても時間がかかることがある。  データ読込後、SAVEコマンドを使って、SPSS形式でデータを保存しておくと、 次回分析時から、データの読み込みがはやくなる。 少し古いバージョンのSPSSデータファイルは *.sys という名前のファイルである。 このデータファイルのことをシステムファイルと呼ぶ。この形式で、データを保存しておくとよい。 ・保存したデータを、次回からはGETコマンドで読み込むとよい。大量データでも 短時間で読み込むことができる。

SPSS分析プログラムの例

単純集計のプログラム例 このプログラムをこのまままねて書き、VARIABLES の行の変数名に、分析したい変数名を書けば、単純集計表ができる。 FREQUENCIES VARIABLES=Q1 Q2 Q3. クロス集計のプログラム例 /TABLESの行で、被説明変数にしたいものをまず書き、その後ろに説明変数を書いていく CROSSTABS /TABLES=AGE BY Q5 BY Q6 /FORMAT= AVALUE NOINDEX NOBOX LABELS TABLES /STATISTIC=CHISQ PHI CTAU /CELLS= COUNT ROW . 相関係数のプログラム例 CORRELATIONS /VARIABLES=Q2 Q3 Q4 /PRINT=TWOTAIL SIG /MISSING=PAIRWISE . 回帰分析のプログラム例 REGRESSION /MISSING LISTWISE /STATISTICS COEFF OUTS R ANOVA /CRITERIA=PIN(.05) POUT(.10) /NOORIGIN /DEPENDENT Q4 /METHOD=ENTER Q5 Q6 Q10 to Q14 . 因子分析のプログラム例 FACTOR /VARIABLES Q10 Q11 Q15A TO Q15G /MISSING LISTWISE /ANALYSIS Q10 Q11 Q15A TO Q15G /PRINT INITIAL EXTRACTION ROTATION /CRITERIA MINEIGEN(1) ITERATE(500) /EXTRACTION PC /CRITERIA ITERATE(500) /ROTATION VARIMAX . このプログラムをこのまままねて書き、VARIABLES と ANALYSIS のところの変数名に分析したい変数名を書けば、因子分析ができる。  CRITERIA MINEIGEN(1)と書くと、因子数は、固有値1以上の数となる。  EXTRACTION PCと書くと、因子抽出法は主成分法となる。PAFと書くと主因子法  ITERATE(500)は反復数で、デフォルトだと25だが、500くらいの方がよい。  分析結果の最後の方の「Rotated Factor Matrix」に回転後の因子構造が出ているはずである。 /SAVE REG(ALL) と最後に加えると因子得点を保存

マッキントッシュ版 SPSS6.0 簡単マニュアル

0.SPSSの起動  あらかじめ、プログラムファイルとデータファイル(どちらもテキストファイル) を用意しておく。  SPSSを起動すると、空のデータウィンドウと出力ウィンドウが表示される。  画面最上部にある「ファイル」をクリックし、開くを選択して、あらかじめ 作っておいたSPSSプログラムを開くと、プログラムウィンドウが表示される。  プログラムを実行すると、出力ウィンドウに実行結果が表示される。 1.データの入ってるフォルダの指定について  フォルダ(ディレクトリ)の指定は、winodwsでは\で区切るが、 マッキントッシュでは、以下の例文のように:で区切る。この例文のあとに 桁数の指定文が続く。例文では、文書フォルダの中のDATAフォルダに入っている 95D.DATというデータファイルを読み込んでいる。 DATA LIST FILE='Macintosh HD:文書:DATA:95D.DAT' FIXED RECORDS=4  データがテキストファイルでなく、すでにSPSS形式データファイル (*.sysという名前のファイル。少し古いバージョンのSPSSデータファイルで、これをシステムファイルと呼ぶ) のものを作ってある場合は、以下のようにGET FILEコマンドを使う。 桁数の指定文はいらない。 GET FILE 'Macintosh HD:文書:DATA:95D.SYS'.  もしくは、「ファイル」をクリックして開くを選択し、データを読み込んでも良い。 このほうが簡単である。 2.基本設定の変更について  画面最上部にある「編集」をクリックし、基本設定の変更を選択する。  出力ボタンを押し「表示 コマンド」のボックスをチェックしておくと、 実行した命令文が出力ウィンドウに表示される。  また、「変数リストの表示順」をアルファベット順でなく入力順にしておくと、 「統計」をクリックして分析する時に、データリストが桁数の指定文で指定した順序に 表示される。こうしておいた方が分かりやすい。 3.命令の実行と分析  画面上方の「ファイル」をクリックし、SPSSプログラムを読み込んだら、実行したい部分を マウスで選択し(「編集 すべての選択」でもよい)、実行ボタン(三角印の付いた ボタン)を押す。  その後、「統計」をクリックし、分析する。
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