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ティトマスの著作などについて
Mini collection of Titmuss's books

2013年4月6日 にティトマス没後40周年を迎えました。

2017年10月16日 にティトマス生誕110周年を迎えました。

ロンドン大学の同僚であったグレンナスターが没後40周年記念講演を行いました。⇒PDF

娘で社会学者でもあるアン・オークレーが「父と娘」(2014)を刊行しました。⇒Google books

私がティトマスの「福祉の社会的分業論」発表60年周年にちなむ論文を発表しました。⇒学術レポジトリ

没後50年を前に本格的な伝記が刊行されました。Richard Titmuss: A Commitment to Welfare(LSE pioneers in Social Policy)

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小伝

リチャード・ティトマスは1907年10月16日にルートンの小農の子として生まれた。第一次世界大戦が終わると,時の首相ロイド・ジョージは帰還兵士に土地を分け与える政策を実施した。その影響で一家は土地を離れてロンドンに移住した。貧しい家庭で育ったため14歳で学校を終えた彼は,スタンダード電信電話会社でのオフィスボーイの仕事に就いていたが,1926年に父が死亡した後は,家族を支えるためカウンティ火災保険会社に転職した。保険業務を通して接する人口動態統計やさまざまな人生事例から垣間見える社会の現実が彼を研究に駆り立てた。夫人のキャスリーン(ケイ)は失業者救済関連の仕事に携わっており,ティトマスの社会問題への関心の窓を拡げた人であった。妻が夫の原稿のタイプ打ちを助力し,29歳で最初の論文,”The birth rate and insurance”(1936年)を発表した。以来,市井の学者として著書や論文を発表し続ける間に,イギリス政府の企画「第二次世界大戦史」シリーズの中の社会サービス関連の巻の執筆を任され,大著 Problems of Social Policyが1950年に刊行された。この業績が評価され,同年,ロンドン大学LSE校においてイギリス最初の社会行政学(Social Administration)教授に任じられた。以来,73年春に死亡するまでの23年間の研究と教育を通じて,社会政策学の世界的権威となったのである。がんを発病してからはウエストミンスター病院で放射線治療を受けつつ,死の直前まで授業を続け た。その授業内容は、妻と友人によって編集され、死の翌年の1974年に”Social Policy: An Introduction"として刊行された。

ティトマスの家庭での様子を記した伝記的著作として,娘で社会学者でもあるアン・オークレーが著した下記の2著がある。
(1) Oakley, Ann (1996))” Man and Wife Richard and key Titmuss: My Parents’Early Year HarperCollins Publisher
(2)
Oakley, Ann (2014)  ”Father and Daughter" The Policy Press.

日本語によるティトマスの人と業績の紹介として下記の2点がある。
(1) 三浦文夫「
リチャード・M・ティトマス―その人と業績」(『季刊社会保障研究』第13巻第1号,1977)
(2) 坂田周一「ティトマス社会政策学1〜14」(『
社会福祉政策(第4版)原理と展開』(有斐閣:2020)

ティトマスの著作のうち書籍として刊行されたもののコレクション

Problems of Social Policy, 1950 

擦り切れたものと少しきれいなものと2冊入手できました。なかなか分厚い出世作です。 この業績が高く評価され、この年、ティトマスはロンドン大学のカレッジである、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの社会行政学科(Social Administration)主任教授に任ぜられました。

Essays on 'the Welfare State',  First Ed. 1958,     Second Ed. 1963.

20世紀のヨーロッパシリーズとして出されたBEACON  Paperback No. 345の小さな版と、青い表紙のUnwinユニバーシティ・ブックス版の2冊入手できました。しかし、どちらも第2版で,初版が入手できていません。


 

Commitment to Welfare,    First Ed. 1968,     Second Ed. 1976.

Unwinユニバーシティ・ブックスの最初の版とAbel-Smithの序文がついた死後の版の2冊が入手できています。この中間の版を大学院生時代に(1974年ごろ)買ったのですが、紛失しました。最初の版の表紙デザインはティトマスの写真ですので、貴重品になりました。


 

The Gift Relationship,   First Ed. 1970,     Expanded and Updated Ed. 1997.

 1970年の初版を当時北沢書店で購入しました。すこし擦り切れています。AIDSとの関連で重要性が見直され、娘のアンさんの編集でアメリカで再版になったものを購入したので、2冊所有となりました。新しいものは、時代に合わない表現などが改訂され、他の研究者による数編の血液関係論文が加えられています。


 

Social Policy: An Introduction, 1974

出版された1974年にハードカバーとペーパーバック両方を買いました。ハードカバーのカバー見返しの場所にティトマスの写真がついていました。しかし、それは紛失してしまいました。現在もっているものは、2000年の大統領選挙開票でもめた、あのマイアミ・デイド郡の公立図書館が放出したものです。

Welfare and wellbeing: Richard Titmuss's contribution to social policy, 2001
 
by Pete Alcock, Howard Glennerster, Ann Oakley, Adrian Sinfield

死後に発行された3度目の主要論文集。 絶版となっているティトマスの著作から最も重要な論文を集め、現代英国の気鋭の論者が解説をつけたアンソロジー。編者の一人、アン・オークレイさんはティトマスの長女(遺産相続人)で社会学者.

Mikko A. Salo, Titmuss, Mauririus And The Social Popolation Policy: A methodological Study, Turku 1982, Turun Yliopisto.

珍しいものとして、アフリカ東岸沖に浮かぶモーリシャスの社会人口政策とティトマスとの関連を調べた論文などが手に入りました。希少品なのでしょうか、見かけより値段が張りました。

                        
Writings on Social Policy and Welfare Volume 1~7,Palgrave Macmillan,2002

 
戦前に刊行されたものを含めた単著の復刻版です。

Richard Titmuss (1907-1973) was Professor of Social Administration at LSE. At a time when the welfare state and a free national health service were in their infancy, he was influential in their development through his body of research and active commitment. He was 'a social administrator, a political economist, a sociologist, a social-ist, a philosopher, a leader and a visionary', with an 'uncompromising sense of purpose'. All his major books, most of them long out of print, appear in this collection as a scarce resource for students and researchers interested in the development of welfare economics and social policy.

What's New!
David ReismanRichard Titmussの新版=第2版(2001)が発行されました。元の版では、序文は5頁しかありませんが、新版では26頁に増えるなど、全面的に改訂され、総頁数も、初版が192頁であったのに対し新版は307頁へと50%増になって大幅に充実しています。
初版
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David A. Reisman, Richard Titmuss; Welfare and Society, (Preface by R. A. Pinker), Studies in Social Policy and Welfare,1977. Heineman Educational Books, Ltd. (London). ISBN 0 435 82749 9
第2版
 David A. Reisman, Richard Titmuss;  Welfare and Society, Second Edition, 2001. Palgrave. (New York)
ISBN 0 333 80050 8.

What's New!
次の新著がでました。絶版となっているティトマスの著作から最も重要な論文を集め、現代英国の気鋭の論者が解説をつけたアンソロジー。編者の一人、アン・オークレイさんはティトマスの長女(遺産相続人)で社会学者。翻訳刊行してみたい気がします。

Welfare and wellbeing: Richard Titmuss's contribution to social policy
by Pete Alcock, Howard Glennerster, Ann Oakley, Adrian Sinfield  Paperback - 256 pages
                                                                                                      
(October 10, 2001,
ISBN:1861343000)

What's New!
David ReismanRichard Titmussの新版=第2版(2001)が発行されました。元の版では、序文は5頁しかありませんが、新版では26頁に増えるなど、全面的に改訂され、総頁数も、初版が192頁であったのに対し新版は307頁へと50%増になって大幅に充実しています。
初版
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David A. Reisman, Richard Titmuss; Welfare and Society, (Preface by R. A. Pinker), Studies in Social Policy and Welfare,1977. Heineman Educational Books, Ltd. (London). ISBN 0 435 82749 9
第2版
 David A. Reisman, Richard Titmuss;  Welfare and Society, Second Edition, 2001. Palgrave. (New York)
ISBN 0 333 80050 8.