生活と防災についての意識調査
ご回答へのお礼と結果のお知らせ(速報)
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調査主体 東京都豊島区西池袋3-34-1
立教大学社会学部准教授 村瀬洋一
仙台市青葉区荒巻字青葉 東北大学情報科学研究科
政治情報学研究室准教授 河村和徳
御礼
先日は、私どもが実施いたしました調査にご協力いただき、まことにありがとうございました。みなさまのご理解により、貴重な調査結果を得ることができ、深く感謝しております。仙台市全域に在住する20歳以上の男女1800名を対象とし、調査票へのご回答をお願いいたしました。現時点で、1215名からご回答を頂き、回収率は、67.5%となっております。
このたび調査結果の報告書を作成いたしましたので、ご覧いただければ幸いです。これは、主な項目について結果を要約したものとなっております。この調査は、2011年、2012年に行った調査に引き続き行ったものです。なお2012年調査は、2011年調査の回答した方のみを対象としています。
このような調査の場合、多くの方のご回答を整理してコンピューターに入力した上での、データ作成作業や分析にはかなりの時間を必要とします。そのため、結果のお知らせの完成には、時間を要してしまいます。ご送付が遅くなりましたことをお詫びいたします。なお、まだご回答でない方は、これからでも結構ですのでご回答いただければ幸いです。
今後のお問い合わせ先について
今後数年かけて、調査結果をさらに分析し、復興政策に生かすよう努力し、学会や学術論文にて発表していく予定でおります。この調査に関するご感想や、より詳しい分析結果等に関してお問い合わせがありましたら、上記担当者までご連絡いただけますよう、お願い申しあげます。
なお、今後、より詳しい調査結果を以下の村瀬研究室ホームページに掲載いたします。インターネット上で「立教 防災調査」というキーワードで検索すると表示されます。
http://www2.rikkyo.ac.jp/web/murase/11send.htm
PDFファイル閲覧のためには無料アドビリーダーなど、PDF閲覧ソフトが必要です。
現在の自分の生活への満足感についてお伺いしたところ、「満足している」が2012年調査と比べて増加。「満足している」「やや満足している」を合わせ、約8割が満足と答えている。
図1:現在の生活満足感
2015年調査では、今後の生活について不安を感じるという問に対して、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」を合わせると7割以上である。2012年調査よりも減少しているが、2011年調査とほぼ同じ結果となっている。
図2:将来への不安感
今後の収入見通しに関する調査結果をみると、「そう思う(不安である)」「どちらかといえばそう思う(やや不安)」をあわせた回答が、2012年調査よりも減少している。しかし2011年調査とほぼ同じ傾向であり、未だに60%の方が、収入減にたいする不安感を抱いている。
図3:今後の収入は、これまでと比べて下がる可能性が高い(収入減への不安感)
今後の失業可能性に関する調査結果は、2012年調査よりも減少しているものの、2011年調査と比べても割合が多く、震災から4年経った現在でも、仕事を失うことへの不安感を抱いている方が多く、根深い問題であるものと考えられる。
図4:仕事を失う可能性に関する調査結果
精神的な疲れを日常生活で感じる(「あてはまる」「ややあてはまる」)という回答は、2011年調査から2012年調査を比較すると減少しているが、2012年調査と2015年調査を比較すると、再び増加している。震災後の日常生活のなかで、精神的な疲れを感じる方が引き続き多いという問題があるようだ。
図5:精神的な疲れに関する調査結果
日常生活においてよく眠れないことがある(「当てはまる」「だいたいあてはまる」)という回答は、2011年調査から2012年調査にかけて減少した。2015年調査も2012年調査より減少したが、回答者の30%前後が眠りに関する問題を抱えているという結果となった。
図6:不眠に関する調査結果
2015年調査結果をみると、2011年調査および2012年調査よりも減少している。世間話ができるような近所づきあいが「全くない」という回答が、2011年調査および2012年調査よりも増加している。分析をさらに深め、要因を探る必要があるといえよう。
図7:世間話ができる近所づきあいに関する調査結果
2015年調査結果をみると、2011年調査と2012年調査よりも減少しており、悩み事を相談できる近所づきあいが減少している。とくに「全くない」という回答が、回答者の50%弱まで増加している。近隣の人間関係に変化が生じている。
図8: 悩み事を相談できる近所づきあいに関する調査結果
近所づきあいの深まりについて、「深まった(そう思う)」と「どちらかといえば深まった(どちらかといえばそう思う)」の回答が、2011年調査・2012年調査と比較すると、減少傾向にある。図7と図8の調査結果を反映している。近所づきあいが深まっていない傾向にあるといえよう。
図9:近所づきあいの深まりに関する調査結果
2015年調査の「満足している」「どちらかといえば満足している」という回答は、2011年とほぼ同じである。
図10:人間関係への満足度に関する調査結果
過去1年間の、職業の変化に関する調査結果については、2015年調査では、2011年調査・2012年調査よりも「職業を変えた」という回答が増加している。職業や勤務先の変化は、震災から数年経つと増加する可能性もあるので、詳細な分析を行う必要がある。
図11:過去1年間の職業の変化に関する調査結果
「過去1年間に過程全体での収入に変化があったか」という問に対し、「収入が減った」「収入が少し減った」という調査結果が、2012年調査よりも少し減ったものの、2011年調査よりも多い。震災発生から数年後に世帯収入の減少が認められることが多い。災害発生から長期にわたる問題であるということができる。
図12:過去1年間における世帯収入の変化に関する調査結果
2015年の結果と比べ、貯金や財産の切り崩しと、レジャー費は、2011年調査とほぼ同じ。他の項目も大きな変化はなく、「切りつめをしていない」という回答も、2011年とほぼ同じで5割弱。
図13:日常生活における支出の変化
2011年の大震災による被害については、自宅の建て替えが必要な人は少ないが、修理をした人は男女とも4割前後である。男女差は小さいが、家の中のものが壊れたという回答は女性がやや多めで7割を超える。自分自身がけがをしたという回答は少ない。
図14:震災による被害 2015年調査回答