ゴルフ部女子

曇り、のち、晴れ
〜Bブロック昇格 ショートストーリー〜
前編

 8月28日、栃木県宇都宮市郊外にあるサンヒルズCC。高台にある広大なグリーンの上には、低く重く、降雨を予感させる曇り空が広がっていた。
 ここで、3日間にわたる秋季女子レギュラー合宿が行われてきた。そしてこの日が、その最終日となる。


 3ヵ月前――。くしくもこの場所を舞台に行われた、関東女子大学春季Cブロック対抗戦。優勝、そしてBブロック昇格を期した本学は、非情なまでの「一打差の重み」に屈したのだった…。
 その日から、再挑戦の日々が始まった。


 レギュラー合宿は、大会の一週間前に同じ場所で実戦を想定して行われる。その最終日こそ、大会前にラウンドをこなす最後の機会、まさに最終調整の場なのである。

 グリーンから引き上げてきた選手たちの表情には、複雑な色が見え隠れしていた。
 大会前に掲げられた目標は「春のスコアを上回っての優勝・昇格」。だが、この合宿で残された記録は、春季対抗戦で記録した511ストロークには及ばないものだった。
 この3ヵ月間で積み重ねてきたものに裏打ちされた前向きな思い、それと背中合わせに潜む不安や重圧。相反する二つの要素によって上下する天秤を、選手個人の緊張感が務めて均等に保たせている――。そう思えてならなかった。

 島田(文4)は語る。
 「個人戦は技術が第一。でも団体戦は、技術よりも気持ちがものをいう」。

 過信も自信の欠如も避けなければならない状況の中で、合宿は終わった。
 日も射さず、雨も降らず…空も慎重に均衡を守りながら黒みを帯びていった。
                                                       
(2003年9月6日・小見)

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