LB特集A 〜山内薫平(観4)八文字悠(文4)〜
印象に残るエピソード編 前回、LBというポジションに対する意識の置き方を語ってもらった。LB特集第二弾では 二人の話はやがて彼らが印象に残っている試合のシーンへと移っていく。
――二人がアメフトをしてて特別「燃える場面」ってありますか 山:ピンチの時意外と燃えるよね。 八:ピンチの時って絶体絶命じゃん。進まれたら点を取られちゃうし、自分が思いっきし良いタックルとかしちゃえば、その 分モメンタムっていうか勢いがこっちに傾くだろうし、その分止まってるってなるし。すーごい攻防じゃん。紙一重じゃん。 どっちが点取られるか取るか、みたいな。張りつめた感じ? 山:それでプレーしてるのはすごいたまらない。
――思い出せるエピソードはありますか 八:帝京大戦かな。これ一昨年の試合なんだけど。 山:俺、去年の中央大戦かな。 八:2年生の時の話で、その時ラッシャーズは75周年だったじゃん。 その記念の年で「絶対にAクラス入りするぞ」ってなってて、リーグ 戦Aクラス入りぎりぎりの状況で、帝京戦があったわけ。どうしても チームとして負けられなかったし、俺としても負けられなかった。 そのすごい張りつめた状況で絶対勝たないと今年終わっちゃうっ て。2年生ながら危機感持ってた。試合も取ったら取り返してっ ていう感じで、後半始まった後かな、その試合全部やられてたプ レーがあったわけよ。自分サイドでそれを張って、インターセプト したっていう。(それで)流れは完全にこっちだったよね。 ――じゃあ注目は全部? 八:俺だったよね、ドヤ顔だよね(笑)本当に負けちゃいけない試合で、個人的にも負けたくないし、チームとしても負けちゃ いけない試合だし、チームの歴史的にも。色んな人の思いも詰まった試合。(インターセプトしたときは)勝つか負けるか 微妙な時だったから思い出に残ってます。 山:俺は去年の中央大戦。初戦は去年のベストゲームって言われた東大戦があって。だけど、俺はチーム事情でスタメン だったポジションを降ろされて、さらに普段やってなかったポジションの控えみたいになった。で、ちょっとふてくされて。そ こで気の緩みがあったのか、重要って言われてたその東大戦の一週間前にケガをしたせいで東大戦は数プレーしか出 れなかったの。そういうことがあった後の中央大戦、(当時の)4年生がケガしちゃったの。小川さんなんだけどね。小川さ んがケガしちゃって、ほとんど練習してなかったポジションを俺が急きょやることになって。ほぼ実戦したことない状態で出 ることになった。その中で一つ、ロスタックルをするいいプレーが自分の中にあったの。それがすっごい印象に残ってる。 それも、そのタックルした相手ってのがすごい有名な選手で結局その試合は負けちゃったんだけど、自分的にはすごい 収穫のある試合だったかなあと思って。去年の自分の中での位置づけするすごい良い試合だったのかな。 ――その試合で腐ってたのはなくなったのですか 山:腐ってたのはケガをしてしまった時に無くなった。ケガをして、「うわぁ、これは俺がこんな気持ちでプレーしてた、気の 緩みがあったからケガをしたんだ」って反省して。
山:さっきも言ってたけど、自分より全然大きい相手が助走つけて当 たってくるのに対して、しっかり当たりで勝つっていうのが俺のプレ ーの強みだと思ってて。その中で俺とかちっちゃいから、そのちっ ちゃいのでもそんな強い相手に気持ちで、当たっていけるような強 い姿ってのを見せる、見せれてるのかなあと思うかな。自分よりで かい相手に屈しないぞ、という強い気持ちを見せられたらいいな と、見せられているのかなと。 八:やっぱりこうやってアメフトを7年間やってきたのも、色んな先輩と かに教えてもらったおかげで今のポジションやってるし、監督とか コーチのおかげでもあるし。大学入ってからは先輩とか、監督、コ ーチのおかげってすごい大きいんだよね。その分、信頼して使って くれてると思う。試合に出られる人は限られてる、俺が出てる分、 出れない人もいるわけじゃん。やっぱり、その人たちの分も本当に 暴れていいプレーをできるように。チームを代表して出ているわけ だし、今までお世話になった人の分も気持ちを背負っていいプレー をできるようにと日頃考えています。 ――おかげ、ラッシャーズのイヤーブックにも感謝という言葉が 八:みんな感謝を言っているよね。周りの人たちがいなかったら本当に成り立っていないんだよね。 山:それはある。 八:それは親とかでもそう。こうやって遠征とか来てるのもキープ協会の人たちのおかげもあるし、こうやって色んな作戦と か組んでもらってるのも、いい試合できるのも、やるのは選手って言われてるけど、監督コーチのおかげもあるし。 山:仕事あるのに土日つぶして来てくれるし、仕事の合間をぬっていろいろ作戦とかも考えてくれてる。そういう気持ちに 応えていかなきゃいけないよね。
―――アメフトが好きで好きでたまらないんだ。二人が過去の印象に残る試合描写を描いていた時、私にはそう伝わってきた。好きなアメフトでもっとうまくプレーするために、好きなアメフトで皆と一緒にこれまでずっとやってきたのだということが二人の語り口の外から、二人の背負っているものから伝わってきた。 二人が背負っているもの、それは決して二人だけのものではないだろう。それはこれまでのラッシャーズが、そしてラッシャーズの数多の選手たちが代々受け継いできた大切なもの、それを二人が自分たちのなかで育ててきたものではないだろうか。 監督、コーチ、ラッシャーズに関係してきたすべての方々の想いも最上級学年となった二人は強く自覚している。 2011年秋季リーグ戦も折り返し地点を過ぎた。ラッシャーズが受け継いで来たものは何か、二人がそれに対しどう向き合っているのか――。それに第三章では少しでも近付いていけたら、と思う。 (10月17日 牛膓政孝)
(つづく) |