アイスホッケーのGKは他のスポーツと比べて高度な技術を要求される。なぜならばスケートが上手くなくては、時速150キロメートル以上で360度全方向から飛んでくるパックを止めることはできない。だが氷上に立ちはだかり、セーブした時に集まる視線、歓声――それがGKの魅力だ。
そんなGKに魅了されている守護神が立大アイスホッケー部には二人いる。一人は鈴木、もう一人は麻田。二人は同学年で同じポジションだ。
昨年リーグ戦全ての試合に出場したのは、鈴木だった。昇格したばかりのチームのピンチを幾度となく救った彼のプレーが評価され、チームは4位だったにも関わらず異例のベストゴールキーパー賞まで受賞した。このような輝かしい鈴木の活躍の裏で、麻田は試合に出場する機会を与えられることはなかった。
麻田は小学校5年生から東京のクラブチームでプレーを始め、中学校2年生の時にGKに転向した。立教新座高校出身の彼は大学進学後もアイスホッケーを続ける予定で当時の状況を考えれば一年生から試合に出場できることは決まったようなものだった。しかし蓋を開けてみれば、3歳から地元北海道でアイスホッケーを始め、高校は強豪校で続けていた鈴木の入学。試合に出場するGKは鈴木で決定した。「死ねばいい。」当時鈴木のことをそう思っていた、と今では笑って話す麻田。それが笑って話せるようになったのには、「試合に出たい」という麻田の強い気持ちがきっかけだった。学ぶことが多いと鈴木を見て、直接習う。それが今シーズン直接結果となって表れ始めた。春季トーナメント戦を終え、練習試合や苫小牧サマーカップなどで麻田が先発を任され勝利。監督も「麻田は頑張って伸びてきている」と実力が上がってきていることを認められている。
麻田の成長は、鈴木にとっても、またチームにとっても喜ばしいことだ。昨年リーグ戦では活躍を見せた鈴木だったが、平行して行われていたインカレ予選などもあり試合数が多く、怪我や疲労など苦労した部分があった。しかし今年は麻田が試合に出場することで、その苦労は軽減され、二人で分かち合うことができる。
アイスホッケー部の目指す1部Bブロック上位を達成させるためには、どちらか一方ではダメだ。麻田と鈴木、二人がいなくては目標から遠ざかってしまう。「2人で良いところを出し合って、チームにつながればいい」と鈴木が語るように、頼もしい2人の守護神がゴール前に立ちはだかれば、立大アイスホッケー部に怖いものはない。
ゴールキーパーとは―― 「フォローをし、シュートを止め、盛り上げる役目」(麻田) 「チームから責任を負うポジション」(鈴木)
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