モノとモノが接する界面は、電池をはじめとした電気化学デバイス、触媒、センサーなど様々なデバイスの機能発現の場であり、私たちはその恩恵を受けて生活しています。一方で、モノとモノに挟まれている界面を測定するには、工夫が必要になります。私たちの研究室では、材料がその機能を発現している最中の、界面の電子状態を明らかにする新しい分光分析手法の開発を目指しています。

界面を知るために私たちが主に活用する手法が、独自の
減衰全反射型紫外可視分光装置(ATR-UV-Visible装置)です。この装置は、試料台(ATRプリズム)の表面から数十ナノメートル程度の狭い空間の、紫外可視スペクトルを測定することができます。実験だけでなく、量子化学計算をはじめとした理論計算や数値解析を駆使して、単なる“線”にみえるスペクトルから多くの情報を引き出します。

また、私たちの研究室のもう一つのキーワードが遠紫外(FUV; Far ultraviolet)です。ATR分光装置の光路部を窒素パージすることで、測定波長を145 nmまで広げています。市販の紫外可視分光装置の測定下限波長は190 nmです。これにより、例えば水やジメチルカーボネート(リチウムイオン電池の電解液)などの180 nm以下の強い電子励起吸収を測定することができます。

ATR-FUV装置1
波長145-450 nmの遠紫外〜可視域を測定できるATR分光装置。分光計器株式会社製の極紫外分光器(KV-200)に、特注のATR測定ユニットを組み合わせた。ATRプリズム界面から数十ナノメートルに制限された、短い侵入深さが特徴。電気化学測定ユニットを組み合わせることで、トランジスタなどのデバイス動作中の測定も可能。

ATR-FUV装置2
波長145-450 nmの遠紫外〜可視域を測定できるATR分光装置。分光計器株式会社製の極紫外分光器(KV-200)に、特注のATR測定ユニットを組み合わせた。入射角度可変機構を導入することで、光の侵入深さの制御することが可能。

ATR-UV-Vis-NIR装置
波長190-2700 nmの紫外〜近赤外域を測定できるATR分光装置。日本分光株式会社製の紫外可視近赤外分光光度計(V-770)をベースに、特注のATR測定ユニットを組み合わせた。電気化学測定ユニットを組み合わせることで、トランジスタなどのデバイス動作中の測定も可能。

スピンコーター
株式会社アイデン製(SC8001)の簡易型スピンコーター。有機薄膜作製などに利用。

真空蒸着装置
サンユー電子株式会社製(SVC-700TMSG/7PS80)の抵抗加熱式真空蒸着装置。金属薄膜や有機薄膜などの作製に利用。

計算用PC
量子化学計算などの計算用PC