第39回マルチスピーシーズ人類学研究会(オンライン研究会)


「COVID-19を分野横断的に考える」

 【3】緊急事態宣言下の生と暴力

日時 2020年4月24日(金)20:00~22:00
形式 オンライン研究会(Zoomによる)
申し込み 満員御礼 4/18 19:00
・受付 
2020年4月18日(土)正午~
・定員 30名
・以下のフォームに必要事項を記入の上、お申し込みください。
(定員になり次第締め切りますので、ご了承ください)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSegz2nIixneQosjJenKgRIYw7yJGydZ7yAov1xpgVpcBAC60A/viewform?usp=pp_url

【趣旨】
 「人間の本質があらわになるのは、戦争や自然災害より、むしろペストに象徴される『未知の何か』が人間内部に侵入してくる状況だ」(朝日新聞2020.4.2.朝刊)。
 それが、カミュの『ペスト』(原著1947年)に込めたメッセージだと、哲学者・仲正昌樹は読み解いています。COVID-19の感染拡大をめぐって「緊急事態宣言下」に突入したわが国に住む人びとはいま、未知の何かの侵入に怯えながら、不安といまとここからの脱出への希望を求めて生きています。いまがまさに、人間の本質があらわになる時なのかもしれません。
 カミュが私たちに投げかけているメッセージは、吉村萬壱がディストピア小説『ボラード病』(初出2014年)の中で精妙に描きだした、東日本大震災を思わせる大災害後の「海塚市」に住む人々にひたひたと忍び寄る死の恐怖と、息の詰まるような日常で起きる出来事を想起させます。一貫して人間のきわを見つめることで人間性の暗部を抉り出し、暴力とセックスにこれまで向き合い続けてきた作家・吉村の魂は、現代日本に新しい思想を植えようとする上妻世海の魂と深いところで触れあいます。上妻は最近Twitter上で、暴力を身体の芯から肯定できない人は、法に頼るか、無条件の愛という幻想に依存しているとして、暴力性や野蛮さを感じない知性など害悪でしかないと、一種の不気味さを漂わせながら、我々に問いかけています。我々は、我々の生命を守るためだという社会正義の下、「緊急宣言下の」諸規制を無意識のうちに率先して受け入れ、まんまと法的な秩序のもとに健康を取り戻し、この未曽有のカタストロフィーを乗り越えていくのでしょうか。
 緊急事態宣言下の生命や暴力と生権力をめぐって、お二人の対談から、参加者の皆さんとご一緒に考えてみたいと思います。
 本オンライン研究会は、マルチスピーシーズ人類学研究会の「 COVID-19を分野横断的に考える 」シリーズの第三弾として企画されたものです。

【プログラム】
対談:吉村萬壱(作家)×上妻世海(文筆家/アートキューレータ)
司会進行:辻陽介(HAGAZINE 編集者)





マルチスピーシーズ人類学研究会のホームページへ

copyright © Katsumi Okuno All Rights Reserved.