インゴルド『人類学とは何か』を読む
~能作文徳×上妻世海に聞く~
日時 | 2020年7月16日(木)17:30~20:00 |
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形式 | オンライン研究会(Zoomによる) |
申し込み | ・受付 2020年7月6日(月)10:00~ ・定員 30名 ・Google Formに所定事項を記入の上、お申し込みください。(定員に達したため、締め切りました) |
【趣旨】
インゴルドによれば、19世紀末に「進化論」を継承する一方、それに異を唱えることで、人類学は勃興した。進化論を受け継いだのは形質人類学と考古学であり、それから脱出を試みたのが社会/文化人類学であった。社会・文化の現在に着目し、習慣や宗教などがどのように働いているのかの解明を推し進めた社会/文化人類学はその後、フィールドから参与観察に基づくデータを持ち帰って民族誌を書くことを、学問の制度として整えていった。しかし、フィールドに分け入り人々と仲良くしながらデータ収集することは、他者に対する欺きでさえあると、インゴルドは手厳しい。本書『人類学とは何か』でインゴルドは、人類学は、人々についての学なのではなく、人々とともに学ぶ学なのだと、人類学の根本的転換を図ろうとしている。
インゴルドの問題提起は、学としての人類学へのそれにとどまるだけではない。自然的存在である一方で文化的存在でもあるという、最初から二方向に引き裂かれてしまっている人間存在をめぐって、議論が積み重ねられている。自然の土台の上に文化が加わって枝分かれし多様化しているという、文化相対主義を支えていたこれまでの見方ではなく、自然と文化は混じり合って、そのつどつくられるのだという見方を提起し、多様な異なるものからなる世界は一つなのだと主張する。
『人類学とは何か』の中でインゴルドは、未来に向けて人類学を再構想する裏で、インゴルド思想を逸早く受け入れた建築学やアートなどの人文諸学にも届くような普遍的なテーマをも深く掘り下げている。本研究会では、建築学から能作文徳さん、アート・思想の領域から上妻世海さんという、インゴルドを含め近年の人類学の動向にも詳しいお二人をお招きして、本書がどのように読まれうるのか、インゴルドの思想はいかに展望されるべきかなどについて、対談形式でお話をうかがっていきたい。
【プログラム】
対談:能作文徳(東京電機大学)×上妻世海(アートキューレーター/文筆家)
司会進行:奥野克巳(立教大学)
17:30~19:15 トーク:能作文徳×上妻世海
19:20~20:00 質疑応答、ディスカッション
テキスト: ティム・インゴルド著『人類学とは何か』奥野 克巳、宮崎 幸子 訳、2020年、亜紀書房