Look19 ダミアン・ハースト/Pyronin Y
Designer 児玉耀
ダミアン・ハースト
Pyronin Y
90年代別前半、若い世代による先進的な文化がイギリスで発生した。
ブレア政権はクールブリタニア政策を打ち出し、アメリカ文化に対するイギリス文化の独自性を見出すための多様な文化や未来へのアイデアを生み出すための社会を形成し、観光、経済、文化の促進をはかることで雇用を回復させ好景気を生み出そうとした。
こうした点からチュールを何層にもかさね、白の間に色を挟み込むことで、歩く度に襞が風でめくれ、その度に様々な色が見える。
自分たちの文化を独自に開拓して自分たちの色を見つけ出す。という点を表現した。
またバックスタイルのプリーツは様々な文化の発展や交差によりイギリス文化が世界へと広がっていく様を表現した。
このクールブリタニア政策で芸術の領域を担っていたのがYBA(Young British Artist)であり、その中心メンバーだったのがダミアン・ハーストである。
彼らは学生のときに独自の展覧会を行い、いままでなかなか相手にされなかった現代美術をスターダムにのしあげたのである。
YBAの効果で現代美術がイギリスにおいて活躍出来る場が広まった。
世間を挑発しタブーに果敢に挑戦していく彼の芸術にははたして芸術とはなんなのかをもう一度私たちに問うような場を与えてくれる。
以上のことから、受け入れられなかったことを徐々に一般社会に受け入れられる様になったということを、ぶつかっては跳ね返り、それがだんだんなくなってスタンダードになり、社会に取り込まれる様子をスカートの正面部分で表現した。
また、ダミアン・ハーストの作品にはタブーに取り組む姿勢が感じられる作品(たとえば、動物を二つに割りホルマリン漬けにした作品など)が目に付く。
そこで、衣服におけるタブーとは何かを考え、スカートが透けているといるのはいまだ一般社会では広く受け入れられていないなと、感じたので、スカートを透ける素材で作った。
彼の作品の共通のテーマとしてあげられるのは生や死であり、残酷であるととらえがちである。そこで骨をイメージしたベルトとストッキングで表現した。
また、もとあるものを壊し、新たな解釈をして再構築するという考えから、フロントの部分をズボンを解体し、それを再びジャケットとして活用した。