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企画の意図

研究代表者:竹中千春  グローバリゼーションの中ですさまじい勢いが起こっている時代、また民主主義が深化し市民社会が広がっていく時代に、私たちはどのように政治と社会をとらえ、21世紀の国家の形や国際社会のあり方を構想していけばよいのだろうか。この問いは、2011年3月11日東日本大震災後、さらに重要性を増している。中国やインドをはじめ、成長するアジア諸国の比重が高まる中で、どのように日本を位置づけ、隣り合う地域や国々との関係を再編するかは、きわめて現実的な課題となっている。

 たった一人の研究者が、この問いに専門的な重みをもって答えることは、ほぼ不可能である。国際政治学やアジア研究も、他の学問分野と同じように多様に専門分化してきただけでなく、次々と登場する現象を前にして、数々の限界を露呈している。けれども、関心を共有する多くの専門家が集い、自由な討議を重ねていけば、新しい問題提起を行い、新しい概念や仮説を生み出していくことは、十分に可能なのではないか。
そうした思いから、日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(A)(2011-2013年度)「Building Civil Society in Asia and its Challenge for International Society」という共同研究を企画した。共同研究の焦点として、アジアをめぐる国際政治や地域研究で注目されている「国民国家の動揺」「内政と外交のダイナミズム」「国際社会の支援と市民社会構築」「アジアの市民社会論」という4つの問題を取り上げることとした。

 共同研究の創造的な手法として、「知のネットワーク」、そして「知のフォーラム」を開拓するために、まず、このホームページを立ち上げることになった。ここから、21世紀の国際政治学とアジア研究の「知の総合」へと跳躍できれば幸いである。