第50回マルチスピーシーズ人類学研究会(オンライン研究会)


自然/他者と相渉る
—環境と〈想像力〉に向けて


然れども常に無言にして常に雄弁なるは、自然に加ふるものなきなり。
(北村透谷、1893年:明治26年)


主催:マルチスピーシーズ人類学研究会

共催:立教・環境コミュニケーション・フォーラム (RECF)、立教大学ESD研究所


【開催日時、開催方法】

日時:2021年1月24日(日) 13:30-17:00

方式:Zoomによるオンライン

【申し込み】
事前申し込み制、無料
定員を超過しましたので申し込みを締め切りました(2021年1月1日)。
2021年1月20日(水)までに以下のフォームからお申し込みください。
先着50名まで

https://forms.gle/DE1LgTdEFUvwwCUy7

問い合わせ先
野田研一 noda[ ]rikkyo.ac.jp
江川あゆみ 10vt013k[ ]al.rikkyo.ac.jp
奥野克巳  katsumiokuno[ ]rikkyo.ac.jp
*[ ]を@に替えてください。

【プログラム】
司会進行:江川あゆみ(大東文化大学リサーチアシスタント)


第1部 13:30-15:10
(100分)
①趣旨説明及び「エコクリティシズム・コレクション」について(10分)
 野田研一(立教大学名誉教授)
②各著者よりのコメント10分×9名(90分)
 結城正美(青山学院大学教授)

 喜納育江(琉球大学教授)
 波戸岡景太(明治大学教授)
 野田研一(立教大学名誉教授)
 河野哲也(立教大学教授)
 山田悠介(大東文化大学講師)
 芳賀浩一(城西国際大学准教授)
 小谷一明(新潟県立大学教授)
 湯本優希(立教大学日本学研究所研究員)

休憩 15:10-15:20(10分)

第2部 15:20-17:00(100分)
③討論:(著者コメントを承けて)「文学的想像力の展性をめぐって」(60分)

④コメンテーターによる総括:10分×4名(40分)
 結城正美(青山学院大学教授) 「日本の」エコクリティシズムはありうるか?
 シンジルト(熊本大学教授) 文化人類学の視点から
 中村邦生(大東文化大学名誉教授) 文学的想像力と自然の相関をめぐって
 奥野克巳(立教大学教授) 環境人文学の視点から

【開催趣旨】
 水声社刊の環境文学研究シリーズ、「エコクリティシズム・コレクション」が、今年2020年4月をもちまして10冊目に到達いたしました(下記ポスタ一覧参照)。このシリーズは、エコクリティシズムの日本における学的蓄積と展開を示すことを目的とした日本で唯一無二のシリーズです。奇しくも東日本大震災直後の、まだ不安冷めやらない時期の2011年7月から刊行を開始し、10冊目に到達した本年2020年4月はコロナ禍の下の緊急事態期間でした。東日本大震災からの約10年を、このシリーズは事実上同伴してきたとも言えます。

「エコクリティシズム・コレクション」は、主に以下の諸点を念頭に、「日本のエコクリティシズム」の地平を切り拓いてきました。

① 日本にエコクリティシズムという文学批評理論を定着させること
② その批評がとくにエコクリティシズムという枠を取り払ってもなお文学批評として自立しうる水準にあることを示すこと
③ その批評対象や方法がいかに多様でありうるかを示すこと
④ アメリカを中心とするエコクリティシズムの輸入・紹介にとどまらない独自の「日本のエコクリティシズム」と主張しうる視野を提示すること
 

 主題やアプローチの多様性については、下記各巻タイトルをご覧下さい。場所、動物、食、野生性、他者論、交感、環境哲学・思想、災害、風景、レトリック、記述様式と多彩です。もちろん、これらの主題には、さらに多様な派生的コンセプトが付随してその議論が成立・展開されています。執筆者の専門も、アメリカ文学のほか、哲学、コミュニケーション論、文学理論、日本文学など多岐にわたっています。1990年代に本格化したエコクリティシズムですが、文学理論としては依然としてマイナーな位置にとどまっている感は否めません。そこには大方の無関心もあるでしょうし、偏見や誤解も垣間見えます。また、文学研究において自然環境を主題化することの限界や困難もあるかも知れません。だからこそ、この日本で唯一無二のシリーズが果たす役割は依然として大きく、ここまでに私たちはどの程度「日本のエコクリティシズム」の真価を世に問うことができたかをこの10冊を通じて考えてみる必要があると考えます。

 本シンポジウムでは、シリーズの執筆者全員を登壇者として迎え、「日本のエコクリティシズム」の実践と今後の課題をめぐる問題提起と討論を行います。文学研究がどのような視点から、自然環境をめぐる諸問題にいかに取り組んできたのか、そして今後、どのような視角や方法がありうるのか、それぞれの研究実践を踏まえた具体的な議論を展開する予定です。また、エコクリティシズム、文学、文化人類学の3分野からコメンテーターを迎え、より総合的な観点、とりわけ「環境人文学」的な観点に立った「日本のエコクリティシズム」の定位を試みます。




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