タンパク質チロシンホスファターゼ

 タンパク質のチロシン残基のリン 酸化はタンパク質チロシンリン酸化酵素(チロシンキナーゼ)とタンパク質チロシン脱リン酸化酵素(チロシンホスファターゼ)によって制御されている。タンパク質のチロシン残基のリン酸化は様々な細胞内シグナル伝達において重要な働きをしていることが報告されているが、そのシグナル伝達機構の解明には、チロシンキナーゼと同様にチロシンホスファターゼの研究は欠かせない。
 当研究室ではアレルギー反応に関わる細胞であるマスト細胞の活性化シグナルや繊維芽細胞における細胞接着や細胞移動の制御に関わるシグナル伝達において、チロシンホスファターゼがどのような役割を担っているか検討している。

 

チロシンホスファターゼは、酵素活性(PTP)ドメインと多様な構造を示す非酵素領域からなる多種の分子が知られており、スーパーファミリーを形成している。当研究室では、その中から細胞質型チロシンホスファターゼであるPTP-PEST (PTPN12)と受容体型チロシンホスファターゼであるPTP-ε(PTPRE)に注目して研究を進めている。


PICOT/Grx3

T細胞において、Protein kinase C-θと特異的に結合する分子として単離されたPICOT (PKC-interacting cousin of thioredoxin)は1個のthioredoxin-likeドメインと2個のglutaredoxinドメインを持っている。現在ではPICOTはmonothiol glutaredoxinとして働いていると考えられている。私たちはマスト細胞においてPICOTはFcεRI架橋による脱顆粒を正に制御していることなどを報告している。現在、マスト細胞におけるPICOTの詳細な機能解析を行っている。

 PICOT/Grx3


最近の研究

PTP-PESTはラットのマスト細胞株RBL-2H3細胞のFcεRI架橋により誘導される脱顆粒を抑制する一方で、サイトカインTNFα、IL-4、IL-13の転写活性を亢進させることが分かった。これらの制御にはPTP-PESTの酵素活性を必要とする制御と酵素活性を必要としない制御があることも明らかにした。
Cell. Immunol. 2014, 287, 128-134
PTP-PESTの酵素活性はSer39のリン酸化によって抑制されるが、PTP-PESTの非酵素領域と相互作用するProtein phosphatase 1αがSer39のリン酸化を制御していることを明らかにした。
J. Biochem. 2010, 147, 493-500
 


その他