

Look5 マネ/オペラ座の仮面舞踏会
Designer 本橋萌
マネ「オペラ座の仮面舞踏会」1873年
私は、パリという街の光と影を、女性の地位から、服に表現しました。
この絵画は、パリの光と影の二面性を表現しています。
光とは、パリの華やかさ、舞踏会、ブルジョワといった富者の宴を意味します。
また、影とは、社会的地位が低く、一夜限りの恋の駆け引きをする女性たちを意味します。
彼女らの多くは高級娼婦でした。
当時、女性にとって、オペラ座こそが、紳士との出会いの場であったのです。
<ビスチェ>
華やかな印象を受けるオペラ座は、男性を誘惑する、女性のプライドを賭けた場でした。
その裏の表情を表現するために黒を選びました。
ビスチェは、19世紀女性が着ていた下着の一種で、娼婦としての優艶さ、また、体のラインを強調させるために作りました。
また、マネは、絵画を描く際に、黒を大胆に使うことで、絵画の奥行きをなくし、あえて二次元的な絵画にする独特な描写をする画家でした。
そのため、私は黒のビスチェに黒い板をつけ、二次元性を表現しました。
<スカート>
スカートの色合いは、黒の対比としての意味と、女性のヌード性を重視して、ベージュを中心に選びました。
スカートの何層ものの重なりは、女性を一つの花と捉え、花びらをイメージしました。
この、ひとつひとつの花びらには、19世紀男性が着ていた燕尾服の背中の形をモチーフにしました。
これを幾つもつけ、床を引きずることによって、経済的に、また社会的地位の獲得のために、女性が数多くの男性に依存していたことを表現しました。