

Look10 線引きのできない現実・非現実
Designer 小楠亜美
世の中に日々不幸なニュースが飛び交っているのを完全に無くすには、人々は何も知らない、無垢で無欲になる以外解決策はほかない。
そんな無垢で無欲な姿に近いのは人間が誕生した時の姿である。人類が誕生し、衣服を纏う習慣が根付いた時の始まりは、布を身体に巻きつけていたということ。
今回の服にはその時代まで遡ってもらい、スカートとジャケットの袖に布を巻きつけた。現代よりも遥かに汚濁に包まれたものがない時代から通ずる様な願いを現代の、今回の服に込めた。
気の遠くなる程の長い時代を経て、我々は進化し、退化している。だからこのような現代でも、少しずつ、不幸を消していくことができるのではないかと私は考える。
人々の心が進化していくように、という願いを近い未来に込めて、現実性のある服と非現実性のある服の中間部のようなデザインにした。