コロキウム | Colloquium
他大学・研究機関からお招きした講師の方に、
最先端の研究内容を紹介していただきます。
宇宙・素粒子に関連したテーマを、隔週で交互に行っています。
外部の方の聴講を歓迎します。
理論物理学コロキウム(素粒子)
日時 |
2022年1月17日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
奥山 義隆氏 (東京大学) |
題目 |
「欠陥付きの共形場理論における鏡像法」 |
概要 |
温度や磁場力など外部パラメーターを調節すると、物質は臨界現象と呼ばれるものを示すことがある。そこでは物理量がベキ的な振る舞いを示すとともに、そのベキ指数が物質の種類や詳細によらずに空間次元や対称性のみによって決まるという著しい普遍性がある。共形場理論はこのような臨界現象を記述する理論的枠組みである。
臨界現象を実験的に検証するときは、不純物や実験系を入れる容器の境界から来る効果を正しく勘定しないといけない。本発表ではこのような不純物や境界をまとめて"欠陥"と呼び、欠陥がある場合の臨界現象を記述する"欠陥付きの共形場理論"の相関関数を計算する際、電磁気学などでお馴染みの鏡像法が使えることを説明する。
また余裕があれば欠陥付きの共形場理論に関する他のトピックも紹介したい。
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言語 |
日本語 |
場所 |
立教大学池袋キャンパス4号館3階4340室 |
理論物理学コロキウム(宇宙)
日時 |
2022年1月10日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
浦川 優子 氏(高エネルギー加速器研究機構) |
題目 |
「原始重力波による宇宙原理の検証」 |
概要 |
インフレーション模型を観測的に検証するには、因果的領域を超えた大スケールの揺らぎの進化を解く必要がある。本講演では大スケールの重力波の進化を簡単に解く新たな方法として、一般化されたデルタN形式を紹介する。またこの方法を用いて原始重力波による統計的異方性の検出可能性について議論する。
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言語 |
日本語 |
場所 |
立教大学池袋キャンパス4号館3階4340室 または オンライン |
理論物理学コロキウム(宇宙)
日時 |
2022年12月20日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
平野 進一 氏(東京工業大学) |
題目 |
「Effective Field Theory of Large Scale Structure in modified gravity and application to Degenerate Higher-Order Scalar-Tensor theories」 |
概要 |
現在の加速膨張宇宙の起源を説明する修正重力理論がある。スカラーテンソル理論は、その最も簡単な例としてよく研究されており、その中でも近年では縮退重力理論(DHOST)が注目を集めている。修正重力理論は、一般相対論と自由度や相互作用が異なるため、例えば、密度揺らぎの進化が異なる。DHOST理論における密度揺らぎのパワースペクトルに対する1ループ補正が解析され、それが紫外領域で発散することが判明した。これが正しければ、物理量の発散を意味するため、DHOST理論は、棄却されることになる。一方で、密度揺らぎの計算は摂動的に行われるが、小スケールに移るにつれて密度揺らぎの値が大きくなる関係で、非摂動的に扱うことが必要となる。この問題の有効的な解決を試みたのがEFTofLSSであり、ウィルソンの繰り込み処方を応用し、着目しているスケールの密度揺らぎに対して、有限の予言を与えことができる。本講演では、このEFTofLSSの枠組みを修正重力理論まで拡張する。この枠組みを用いることで、DHOST理論に現れた紫外発散が打ち消され、有限の予言を与えることを示す。また、修正重力理論特有の小スケールにおける遮蔽機構との関係についても議論する。
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言語 |
日本語 |
場所 |
立教大学池袋キャンパス4号館3階4340室 または オンライン |
理論物理学コロキウム(素粒子)
日時 |
2022年12月12日(月)15:20〜17:00 |
講師 |
佐藤 勇二 氏(福井大学) |
題目 |
「ゲージ-重力対応とゲージ理論の強結合散乱振幅」 |
概要 |
弦理論におけるブラックホールの研究を通して提唱されたゲージ-重力対応は,
多方面に渡る応用も含む物理学の興味深い研究テーマとなっている.
この対応は,結合領域の異なるゲージ理論と重力/弦理論の対応となるが,
可積分性の発見を契機としてその定量的な理解が大きく進んだ.また,このような
発展に触発され,対応に現れる極大超対称ゲージ理論の(対応を仮定しない)研究
も大きく進展した.相互作用のある非自明な4次元ゲージ理論が “解ける” という期待
を込めて,極大超対称ゲージ理論は “21世紀の水素原子” などと呼ばれることもある.
ゲージ-重力対応と可積分性を巡る研究の成果は,近年の弦理論,ゲージ理論,
数理物理学における最も重要な成果の一つとなっている.
特に,ゲージ-重力対応は強結合領域におけるゲージ理論の研究にも有用となる.
強結合ゲージ理論は,ハドロンの物理など自然界の理解に重要であるが
解析が困難であり,通常大規模な計算機を用いて研究がおこなわれる.
本セミナーでは,ゲージ-重力対応と可積分性に基づき,極大超対称ゲージ理論の
強結合散乱振幅を解析的に評価する我々の研究を紹介する.ゲージ-重力対応に
触発されたゲージ理論側の研究の進展にも触れたい.10次元の超弦理論,
2次元の可積分系,そして,4次元の超対称ゲージ理論の間の興味深い関わり,
また,それらを巡る研究の “感触” をお伝できれば幸いです.
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言語 |
日本語 |
場所 |
立教大学池袋キャンパス4号館3階4340室 または オンライン |
理論物理学コロキウム(宇宙)
日時 |
2022年11月29日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
浅見 拓紀 氏(名古屋大学) |
題目 |
「漸近AdS時空中における自己重力多体系の熱平衡状態とその重力熱的安定性」 |
概要 |
自己重力を伴う粒子からなる系は、極めて特徴的な統計力学的性質を持つことが古くから知られている。その一つが、有限領域に人工的に閉じ込められた自己重力多体系の持つ、重力熱的カタストロフィと呼ばれる不安定性である。本講演ではまず、負の宇宙項を持つ系を考え、AdS障壁により閉じ込められた熱平衡状態を構成する。そして、人工的に閉じ込められた系と類似した重力熱的カタストロフィを熱平衡状態が持つことを見る。
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言語 |
日本語 |
場所 |
立教大学池袋キャンパス4号館3階4340室 または オンライン |
理論物理学コロキウム(素粒子)
日時 |
2022年11月22日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
濱田 雄太 氏(KEK) |
題目 |
「Monopole-fermion scattering and varying Fock space」 |
概要 |
Magnetic monopoleは古くから考えられてきたが、massless chargedfermionとmagnetic monopoleの散乱にはまだ謎が残されている。2次元に落とした際の解析から、フレーバー数が多いと散乱の終状態が分数のフェルミオン数を持つことが知られているが、これの4次元の解釈はよく分からない。
本講演では、この問題に対して散乱前と散乱後でfermionが別のFock空間に属するとする我々の提案を紹介したい。
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言語 |
日本語 |
場所 |
立教大学池袋キャンパス4号館3階4340室 |
理論物理学コロキウム(宇宙)
日時 |
2022年11月15日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
祖谷 元 氏(理化学研究所) |
題目 |
「星の最期に生まれる中性子星とその物理」 |
概要 |
重い星は超新星爆発を起こして一生を終えます。一方、この爆発現象により通常の星とは全く様相の異なる中性子星と呼ばれる星が生まれると考えられています。地上で実現することが非常に困難な極限的な環境となる中性子星を調べることで、極限的な環境下における物理の片鱗を知ることができるかもしれません。本談話会では、その一部をご紹介したいと考えております。
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言語 |
日本語 |
場所 |
立教大学池袋キャンパス4号館3階4340室またはオンライン |
理論物理学コロキウム(素粒子)
日時 |
2022年11月8日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
松浦 壮 氏(慶應大) |
題目 |
「Kazakov-Migdal 模型とグラフゼータ関数」 |
概要 |
このトークでは、最初にグラフ上のゼータ関数について基本的なことをお話した後、一般の連結グラフ上に一般化されたKazakov-Migdal模型の分割関数が、行列拡張されたグラフゼータ関数で表されることを示す。この分割関数には2つの異なる表示法があるが、この双対性を用いることで、一部のグラフについては有限 Nでの行列積分が具体的に実行でき、特定のユニタリー行列積分が具体的に評価できることを示す。また、large N極限ではこの行列模型の分配関数が厳密に評価でき、グラフ上のゼータ関数を用いて書き表せることを示す。時間があれば、一連の議論から派生する、いくつかの数学的に興味深い現象について議論する。
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言語 |
日本語 |
場所 |
立教大学池袋キャンパス10号館3階X304室 |
理論物理学コロキウム(素粒子)
日時 |
2022年10月20日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
堀田 昌弘 氏(東北大学) |
題目 |
「Expanding Edges of Quantum Hall Systems in a Cosmology Language -Hawking Radiation from de Sitter Horizon in Edge Modes」 |
概要 |
Expanding edge experiments are promising to open new physics windows of quantum Hall systems. In a static edge, the edge excitation, which is described by free elds decoupled with the bulk dynamics, is gapless, and the dynamics preserve conformal symmetry. When the edge expands, such
properties need not be preserved. We formulate a quantum eld theory in 1+1 dimensional curved spacetimes to analyze the edge dynamics. We propose methods to address the following questions using edge waveforms from the expanding region: Does the conformal symmetry survive? Is the nonlinear interaction of the edge excitations induced by edge expansion? Do the edge excitations interact with the bulk excitations? We additionally show that the expanding edges can be regarded as expanding universe simulators of two-dimensional dilaton-gravity models, including the Jackiw-Teitelboim gravity model. As an application, we point out that our theoretical setup might simulate
emission of analog Hawking radiation with the Gibbons-Hawking temperature from the future de Sitter horizon formed in the expanding edge region.
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言語 |
日本語 |
場所 |
立教大学池袋キャンパス4号館3階4340室またはオンライン |
理論物理学コロキウム(宇宙)
日時 |
2022年10月18日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
Alexander Ganz 氏(Jagiellonian University) |
題目 |
「Minimally Modified Gravity and its Phenomenological Properties」 |
概要 |
Minimally modified gravity models are a class of modified
gravity models with only two local degrees of freedom as in general
relativity. In this talk I want to discuss their general properties such
as the existence of a preferred foliation and their phenomenology in the case of inflation and the late universe. Further, I will discuss potential issues arising from trivial constraints.
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言語 |
英語 |
場所 |
立教大学池袋キャンパス4号館3階4340室またはオンライン |
理論物理学コロキウム(宇宙)
日時 |
2022年10月4日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
Jose M.M. Senovilla 氏(Basque U., Bilbao) |
題目 |
“Elementary geometry and the gravitational energy inside a small ball” |
概要 |
Gravity manifests itself as curvature of spacetime, and its strength can be measured by considering the variations of radius, area and volume of small balls with respect to their counterparts in flat spacetime. These variations can actually be put in relation, via the Einstein field equations, with the energy density of matter at the ball's centre. In this talk I will also consider what happens when the matter energy density vanishes. The elementary geometric quantities still feel the effect of pure gravity, leading to variations that should be related to the gravitational strength or, in simple words, to the pure gravitational energy density. These variations now involve terms quadratic in the curvature that can be appropriately put in connection with the Bel-Robinson tensor. New definitions of quasi-local gravitational energy arise. Some basic examples, including GW150914, will be discussed.
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言語 |
英語 |
場所 |
立教大学池袋キャンパス4号館3階4340室またはオンライン |
理論物理学コロキウム(素粒子)
日時 |
2022年9月27日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
世田 拓也 氏(京都大学) |
題目 |
「弦の散乱における過渡的カオス解析」 |
概要 |
古くから、高く励起された弦は自重で潰れてブラックホールに転移すると考えられて来た。一方で近年、ブラックホールはカオスで特徴づけられる事が分かって来た。この事を踏まえると、弦が何らかの形でブラックホールカオスの源になっていると考えられる。本講演では、高く励起された弦の散乱のカオス性について議論する。実際には入射角と散乱角のフラクタル性や、弦の散乱領域の構造に注目する。その結果、少なくとも現時点(ボソン弦4点、ツリーレベル)ではカオスは確認できていないが、ループ補正を入れた場合や別のセットアップでカオスが出る可能性について議論する。
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言語 |
日本語 |
場所 |
立教大学池袋キャンパス4号館3階4340室またはオンライン |
理論物理学コロキウム(宇宙)
日時 |
2022年9月20日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
楊 錦波 氏(金沢大学) |
題目 |
「ワームホールスロートの諸定義の考察」 |
概要 |
本講演では、Einstein-Maxwell-scalar理論のワームホール厳密解を紹介し、その厳密解でスロートの諸定義の優劣を考察し、より適切な見方について議論する。
さらに、議論の中心となる「捕捉地平線」により、ブラックホールやアインシュタイン-ローゼン橋、バンウスなどのケースも議論する。
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言語 |
日本語 |
場所 |
オンライン |
理論物理学コロキウム(素粒子)
日時 |
2022年7月12日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
村山 修一 氏(東京工業大学) |
題目 |
「AdS/CFT対応を用いた,Argyres-Douglas理論及びMinahan-Nemeschansky理論の超共形指数の計算」 |
概要 |
本研究ではAdS/CFT対応を用いて,Argyres-Douglas理論やMinahan-Nemeschansky理論を含むような,7-braneが存在する背景でのN枚のD3-brane上に構成されるN=2超共形場理論の超共形指数をAdS側から計算する.一般的に,AdS側から超共形指数の計算が可能なのはlarge N 極限に限られるが,giant gravitonと呼ばれる,内部空間で3-cycleに巻き付けられたD3ブレーンの寄与を補正として加えることで,finite NでもAdS側から計算を行うことができる.AdS側で,giant gravitonの寄与を補正として含め超共形指数を計算し,まずは既に超共形指数が計算されているような理論のものと比較し,補正により一致することを確認する.その後,まだ超共形指数が計算されていない理論の超共形指数をAdS側から予測する.
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言語 |
日本語 |
場所 |
オンライン |
理論物理学コロキウム(宇宙)
日時 |
2022年7月5日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
嵯峨 承平 氏(パリ天体物理学研究所) |
題目 |
「大規模構造の双極子的非等方性を用いた局所位置不変性の制限」 |
概要 |
赤方偏移銀河サーベイによって観測される銀河のクラスタリングは、よく知られている銀河の特異速度によるドップラー効果に加えてその他のマイナーな相対論的効果によって、歪んで見える。特に双極子的非等方性に着目したとき、重力赤方偏移効果が小さなスケールで強い非等方性を引き起こす。本セミナーでは、この双極子的非等方性が重力ポテンシャルを測定するプローブとなるため、いわば宇宙論版Pound-Rebka的実験が将来の赤方偏移銀河サーベイで可能であり、これまでにないパラメータ領域でLocal Position Invariance(局所位置不変性)が制限できることを示す。
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言語 |
日本語 |
場所 |
オンライン |
理論物理学コロキウム(素粒子)
日時 |
2022年6月28日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
山本 新 氏(東京大学) |
題目 |
「経路積分の量子計算」 |
概要 |
量子コンピュータによる数値計算は、将来的に場の量子論の研究にも応用されると期待されている。一般に場の量子論の定式化には正準形式と経路積分形式が存在するが、これまでに提唱されている量子計算の方法では正準形式のみが採用されている。本講演では、量子サンプリング法を応用した経路積分形式の量子計算を紹介し、4次元格子ゲージ理論での簡単な計算結果を示す。
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言語 |
日本語 |
場所 |
オンライン |
理論物理学コロキウム(素粒子)
日時 |
2022年6月14日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
春名 純一 氏(京大) |
題目 |
「グラディエントフロー厳密くりこみ群の固定点構造」 |
概要 |
グラディエントフロー厳密繰り込み群(GFERG)[1]は、グラディエントフローに基づいてウィルソン作用を定義する枠組みである.GFERGはゲージ対称性を明白に保つため,ゲージ理論や量子重力の非摂動的側面を調べるための有望なアプローチとなっている.
一方,スカラー場の理論の中には,これらの理論と似た性質を持ち,そのトイ模型として研究されているもの(例えばCP^N-1 模型や O(N) 非線形シグマ模型など)が存在する.
本講演では,スカラー場の理論に対する一般的なグラディエントフロー方程式に付随するGFERG方程式の固定点構造を調べ.その結果,それが一般にWilson-Polchinski (WP) 方程式の固定点構造と同じであることを示す.加えて、GFERG方程式が固定点周りでWP方程式と似たくりこみ群の流れの構造を持つことを議論する.そしてこれらの結果を4-ε次元のO(N)非線形シグマモデルとWilson-Fisher固定点を用いて説明する.この講演は[2]に基づく.
[1] H. Sonoda and H. Suzuki, PTEP2021 No.2, (2021) 023B05 [arXiv:2012.03568 [hep-th]]
[2] Y.Abe, Y.Hamada and J.Haruna, [arXiv:2201.04111 [hep-th]]
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言語 |
日本語 |
場所 |
立教大学池袋キャンパス4号館3階4340室またはオンライン |
理論物理学コロキウム(宇宙)
日時 |
2022年6月7日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
多田 祐一郎 氏(名古屋大学) |
題目 |
「原始ブラックホールのピーク理論と非ガウス尾」 |
概要 |
宇宙初期にブラックホール (BH) が作られたとする「原始 BH 仮説」は近年ますます注目を集めている。
特に小惑星程度の質量(〜10^22g)の原始 BH は暗黒物質の主要素の候補であるとともに、
原始 BH を作るために必要な大きな初期曲率ゆらぎが背景重力波を誘導しそれが LISA で検証し得るため、重要な可能性である。
一方そのような大きな曲率ゆらぎを作るインフレーション模型によっては (ultra slow-roll 模型など)、
曲率ゆらぎ ζ の分布が特に ζ 〜 1の領域でガウス分布から大きくずれ得ることが指摘され、非ガウス尾と呼ばれている。
非ガウス尾は原始 BH 量には大きく影響する一方、背景重力波量にはあまり影響しないと予想されるため、
非ガウス尾の存在は「原始 BH ⇔ 量背景重力波量」の対応を著しく変更する可能性がある。
そこで本講演ではピーク理論を用いて非ガウス尾の存在の下原始 BH 量を正確に見積もるとともに、
背景重力波への影響も摂動展開を用いて議論する。
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言語 |
日本語 |
場所 |
立教大学池袋キャンパス4号館3階4340室 または オンライン |
理論物理学コロキウム(素粒子)
日時 |
2022年5月31日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
辻村 潤 氏(名古屋大学) |
題目 |
「Large c limit CFT のエンタングルメントエントロピー」 |
概要 |
笠-高柳によるホログラフィックエンタングルメントエントロピー公式によると,large c limit におけるCFT
のエンタングルメントエントロピー(EE)は双対な時空の最小曲面の面積に等しい.笠-高柳予想の導出を試みるいくつかの先行研究によれば,笠-高柳予想の真偽はともかく,重力双対をもつ
CFT のEEは large c limit
において理論の詳細によらず,普遍的な幾何学的オブジェクトで書けることが期待される.そこで本公演では,レベル2の特異ベクトルを持ち large c limit で半古典化する二次元 CFT
において二区間系のEEが系のトポロジーによって決まり,そのような普遍的性質をもつことを見る.特に,そのようなEEの解析的表式をあたえる新たな手法を提案する.原理的にはこの手法はより複雑な系に対しても適用可能であり,さらに完全WKB解析を通じてlarge c 極限の副次項を体系的に与えることが期待される.
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言語 |
日本語 |
場所 |
オンライン |
理論物理学コロキウム(宇宙)
日時 |
2022年5月24日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
高橋 一史 氏(京大基研) |
題目 |
「Invertible disformal transformations with higher derivatives」 |
概要 |
disformal変換とは、スカラー場の微分を含んだ計量の変数変換である。本講演では、disformal変換の集合が持つ群構造に着目し、高階微分まで含んだdisformal変換が可逆となる条件を求めた上で、逆変換を具体的に構築する。また、高階微分を含んだ可逆なdisformal変換により、既知の縮退スカラーテンソル理論がどのように変換されるかについても議論する。
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言語 |
日本語 |
場所 |
オンライン |
理論物理学コロキウム(素粒子)
日時 |
2022年5月17日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
松戸 竜太郎 氏(KEK) |
題目 |
「磁気モノポール・フェルミオン散乱の終状態不明問題」 |
概要 |
モノポール存在下における荷電フェルミオンのS波状態は、衝突の前後でヘリシ
ティが反転しなければならない。しかし、保存チャージが同じでヘリシティが逆
のフェルミオンが存在しない場合があり、そのとき、終状態が不明になってしま
う。本講演では、この問題が発生する場合には、、作用に含まれるフェルミオン
のヘリシティを逆にした別のフェルミオンが,モノポール存在下におけるフェル
ミオン凝縮の複素位相のソリトンとして存在し、それが散乱の終状態となること
を示す。
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言語 |
日本語 |
場所 |
オンライン |
理論物理学コロキウム(宇宙)
日時 |
2022年5月10日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
野田 宗佑 氏(都城高専) |
題目 |
「Alfven波の増幅散乱と関連する現象」 |
概要 |
プラズマ流体中には縦波と横波の波動モードが存在する。そのうち,
磁力線に沿って伝播する横波はAlfven波とよばれる。本発表では,
Kerrブラックホール周辺の磁気圏の内部を伝播するAlfven波の性質についての研究結果のうち,
以下の点について紹介する予定である。
1. Alfven波の増幅散乱 (Alfvenic superradiance)
2. Blandford-Znajek機構との関係
3. Alfven波による磁気音波の励起
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言語 |
日本語 |
場所 |
オンライン |
理論物理学コロキウム(素粒子)
日時 |
2022年4月26日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
福島 理 氏(京都大学) |
題目 |
「4次元Chern-Simons理論と可積分な場の理論」 |
概要 |
可積分系とは、典型的に多数の保存量を持ち厳密に解ける系である。4次元Chern-Simons(CS)理論は様々な2次元可積分模型を統一的に記述するゲージ理論である。この枠組みでは、4次元の理論に2次元の欠陥を適切に導入することで、可積分模型を系統的に導出できる。本講演では、平坦性条件などの可積分な場の理論に特徴的な性質が4次元CS理論の動力学からどのように導出され、どのように2次元への簡約を行うか述べる。特に、我々が行った非線形シグマ模型の可積分変形等の導出を例示する。
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言語 |
日本語 |
場所 |
立教大学池袋キャンパス4号館3階4340室 および オンライン |
理論物理学コロキウム(宇宙)
日時 |
2022年4月19日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
三倉 祐輔 氏(名古屋大学) |
題目 |
「On UV-completion of Palatini-Higgs inflation」 |
概要 |
Higgs inflation identifies the Standard Model Higgs boson as the inflaton. Usually, we adopt the metric formalism where the gravitational degree of freedom is the metric. On the other hand, one can start with the Palatini formalism in which the metric and the affine connection are treated independently. In this talk, I will investigate the UV completion of the Higgs inflation in both the metric and the Palatini formalisms. I will first review the phenomenology and a problem induced by a large coupling between the Higgs and the Ricci curvature. Expecting that the low cutoff scales originate in the curvature of a field-space, I will discuss their UV-completion by embedding the curved field-space into a higher dimensional flat space. I finally show that this embedding approach successfully UV-completes the Higgs inflation in the metric formalism while the new field cannot uplift the cutoff in the Palatini one.
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言語 |
日本語 |
場所 |
立教大学池袋キャンパス4号館3階4340室とオンライン |
理論物理学コロキウム(素粒子)
日時 |
2022年4月12日(火)16:30〜18:00 |
講師 |
沼澤 宙朗 氏(東京大学) |
題目 |
「Chaos exponents of SYK traversable wormholes
Abstract」 |
概要 |
近年、ブラックホールの情報問題と関係して、ブラックホールにおける量子カオスを理解することが重要になっている。
Sachdev-Ye-Kitaev (SYK)模型はブラックホールのトイ模型であり、特にリャプノフ指数が上限値をとるという意味で最大カオス的な模型になっている。
また、その変形模型も通行可能なワームホールと関係して興味深い模型である。
本講演では、まずブラックホールにおける量子カオスの近年の発展を概観する。次に、カオスの指標となる非時間順序積相関関数(OTOC)のSYK模型での振る舞いと計算法について述べる。
最後に、通行可能なワームホールと関係のあるSYK結合(coupled SYK)模型におけるOTOCについての研究を紹介し、重力との関連を議論する。
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言語 |
日本語 |
場所 |
オンライン |
2021年度以前のコロキウム情報はこちらから御覧ください。