研究内容 Research



「持続可能性(サステイナビリティ)」を重視した都市ガバナンスの国際比較研究

 既存のシステムでは対応できない社会問題や格差が広がる地域社会において、多様な主体(自治体、民間企業、市民社会)が強みを生かしながら協働し、持続的にコミュニティを再生させることができるのか、またそのためにはどのような社会制度や地域資源、社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)が必要となるのか、ということを欧米諸国の先進的取り組みと比較しながら考察しています。
 国家や自治体が主導的権限をもって統治する「ガバメント(統治)」の形態から、自立した様々な主体がパートナーシップを取り結びながら役割分担を担う「ガバナンス(協治)」への転換をコミュニティレベルで実現し、持続可能な市民社会の可能性について考察しています。環境、経済、社会がバランスよく共存し、社会の変革をもたらすという「SDGsの理念」を地域社会で実現するために、何が必要かについて検討しています。

官民連携による「公共空間の創出・マネジメント」に関する研究

 人口減少が進む日本社会において、国や自治体が管理してきた土地や公共施設(公園や学校等)をコミュニティに開かれた魅力的な公共空間へと転換することが大きな課題になっています。そこでは、地域社会のニーズに応答しながら、コミュニティ・サポートにつながるような公共空間の在り方を分析し、用途転換を迫られている公共施設や公共用地をPFIやPPPの手法によって活用する「公共施設の民間活用」(アセット・マネジメント)がどのように可能になるのかを研究しています。多様な主体がどのようにネットワークを形成し、連携を可能にするのか、ネットワークをつなぐ専門家の役割など、公共政策レベル/コミュニティの実践レベルから問題提起を行っています。


市民社会を支える市民活動・社会的企業の調査研究

 日本でも、災害などの非平常時だけでなく、平常時においても、制度の隙間に零れ落ちた様々なニーズを発見し、解決につなげていくボランティア活動やNPOなどの市民活動の存在が注目されています。市民社会の重要なアクターとして、ボランティア活動がNPO、社会的企業へと展開し、持続的に雇用創出やまちづくりに取り組む国内外の事例を調査し、そのしくみや制度の在り方、市民事業組織の基盤づくり、行政や企業との協働の在り方について考察をし、創造的な市民社会を形成する可能性について発信しています。