情報処理アプローチに基づいて,人間の認知過程や知識構造について研究するモデル指向的な実験心理学をさす。
1920年代以降の行動主義心理学に対する「認知革命」として,1960年代に,情報科学,計算機科学,言語学等の影響のもとに,認知心理学のパラダイムは形成された。第一に,系時的・段階的な情報処理アプローチの基礎は,人間の情報処理容量について検討したミラー(Miller, G. A.)の研究と,入力情報が選択されて記憶に至る過程を明確にモデル化したブロードベント(Broadbent, D. E.)らの研究の中で確立され,記憶システムを中心とした認知過程の研究に深く浸透している。
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個人と社会との間の相互作用過程を研究する心理学の一分野をさす。研究領域は,個人過程,対人過程,集団内行動,集団間行動,集合行動などに大別できる。個人過程としては,対人認知,自己,帰属過程,態度変容などがあり,対人過程としては,コミュニケーション,説得,対人魅力,攻撃と援助などをあげることができる。集団内行動と関連して,集団の構造や機能,リーダーシップなどが,集団間行動に関しては,差別と偏見,競争と協力などが研究されている。集合行動と関連して,流言,普及過程,消費・購買行動などをあげることができる。
近年では,マーケティングと関連した消費者行動研究や,情報通信機器の発展によるメディア・コミュニケーション,さらには,インターネットの普及にともなうCMC(Computer- Mediated Communication)の研究も盛んである。
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サイモン(Simon, H. A.)の定義によれば,認知科学は,知的システムと知能の性質を理解しようとする研究領域である。
人間の認知システムにおいては,神経生理学的レベルから社会文化的レベル至る多様な要因が,緊密に関連し合っている。1960年代後半から,心理学, 人工知能(Artificial Intelligence),言語学,神経科学,文化人類学,哲学等の近接領域における研究成果や方法論が相互に影響し合う傾向が顕著になり,学際的研究の必要性から,学界誌である“Cognitive Science"が1977年に創刊され,同名の国際学会が1979年に発足した。
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