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イベントレポート

【2008/12/14(日)HESD国際シンポジウム:サステナビリティと高等教育
                                     ~各国における取り組みに学ぶ~】

上條直美(ESDRC)
日時: 2008年12月14日 13:00~18:00
場所: 立教大学池袋キャンパス太刀川記念館3階多目的ホール
題目:

サステナビリティと高等教育~各国における取り組みに学ぶ~

主催:

立教大学(2008年度「Eco Opera!事業」)

企画:

立教大学ESD研究センター

後援: 環境省、文部科学省、日本ユネスコ国内委員会、国連大学高等研究所(UNU-IAS)
協賛: (株)サイマル・インターナショナル

   *HESD2008関連事業報告書(PDF
     :各発表のパワーポイント資料は、以下にPDFでそれぞれ載せてありますので、そちらをご覧ください。

   

<プログラム(敬称略)>
開会挨拶     疋田康行(立教大学副総長)
趣旨説明     阿部治(立教大学)
司会      田中治彦(立教大学)
基調講演     ダニエラ・ティルブリー(英国・グロスターシャー大学)
セッション1  「アジア太平洋地域の経験」
         パク・テーヨン(韓国・延世大学)
         ニウ・ドンジ(中国・同済大学)
         スー・ジェニー(台湾・成功大学)
         阿部治(日本・立教大学)
         ピーター・コーコラン(米国・フロリダ・ガルフコースト大学)
セッション2  「ヨーロッパ・国際的な経験」
         ハラルド・ハインリッヒ(ドイツ・リューネブルク大学)
         名執芳博(国連大学高等研究所)
セッション3   「パネルディスカッション」     
         司会:阿部治(立教大学)
         パネリスト:発表者全員


<シンポジウム報告>
1.はじめに
 本シンポジウムは、HESD2008関連事業の一環として、「サステナビリティに向けた大学教育の挑戦」をテーマに高等教育における持続可能性への取り組みについて経験共有を行うとともに、日本におけるESDの高等教育機関ネットワークであるHESD(Higher Education for Sustainable Development)の重要性と今後の在り方に対して資することを目的に開催された。
 アジア・太平洋(中国・韓国・台湾・日本・太平洋)、欧州(イギリス、ドイツ)、国連大学高等研究所の各国・地域・機関からゲストスピーカーを招聘し、議論を行った。


2.各報告
1)基調講演 PDF
<ダニエラ・ディルブリー氏(グロースターシャー大学)>
 「高等教育におけるサステナビリティ:グローバル・ポートレート」と題する基調講演では、各国・地域の高等教育におけるサステナビリティの傾向および活動内容について、グロースターシャー大学に設置されているIRIS(International Research Institute in Sustainability)における調査、分析に基づいた報告がなされた。また、個別の活動に注目すると同時に、最も重要な点はビジョンを持ち、グローバルな全体像(ポートレート)を描くことであると指摘された。

2)セッション1:アジア太平洋地域の経験
<ニウ・ドンジ氏(中国 同済大学)> PDF
 報告「探究と実践:中国およびIESD(持続可能な開発研究所)におけるHESD」では、まず中国の高等教育機関による環境科学は40年にわたる歴史があり、1970年代初頭から環境学、環境保護プログラムへの取り組みが盛んに行われていることが紹介された。同済大学カリキュラム改革の事例紹介や、大学関係者の意識改革の必要性などが指摘された。

<パク・テーヨン氏(韓国 延世大学)> PDF
 報告「韓国の大学におけるESD」では、韓国の大学におけるエコ・キャンパス化の重要性が指摘された。延世大学を含めた10大学によるグリーン・キャンパス・イニシアティブの取り組みの紹介および、ESD・環境教育のカリキュラムコース『環境と調和して生きる』の紹介などがなされ、学際的なアプローチが目指されていることが報告された。

<ジェニー・スー氏(台湾 国立成功大学)> PDF
 報告「台湾におけるサスティナブル・キャンパス」では、1999年に起こった台湾大地震(通称921)によるキャンパスの危機管理への意識の高まりを背景としてキャンパスの役割・機能の再考があり、より環境に配慮したキャンパスの建設が始まっていることが紹介された。エコ・キャンパス化の取り組みは台湾全土で戦略的に行われており、キャンパスを人々の交流の場、情報交換の場、生涯学習の場として複合的に捉えていることがわかった。  

<阿部 治氏(日本 立教大学)> PDF
 「日本のESDへの取り組みの現状と課題」では、日本の高等教育におけるESDの推進要因として環境省、文科省の諸政策があることが指摘された。環境省によるアジア環境人材育成イニシアティブ(ELIAS)、文科省による現代GP(現代的教育ニーズの取組支援プログラム)、サスティナビリティ学研究連携機構(IR3S)、国連大学高等研究所によるProSPER.Net、RCEなどが紹介され、“21世紀型市民”の育成に向けた課題のひとつとして連携、協働の重要性があげられた。

<ピーター・ブレイズ・コーコラン氏(米国 フロリダ・ガルフ・コースト大学)> PDF
 「高等教育における南太平洋島嶼国のサステナビリティ」と題する報告では、環境要因である気候変動や社会的要因である自由貿易のグローバル化への南太平洋島嶼国の脆弱性の問題に対して、南太平大学を中心とした高等教育のネットワークの経験が紹介された。また、サステナビリティが道徳的指針となりうるのではないかという指摘がなされた。

3)セッション2:ヨーロッパ・国際的な経験
<ハラルド・ハインリッヒ氏(ドイツ リューネブルク大学)> PDF
 報告「高等教育における持続可能性:ドイツにおける発展」では、持続可能性の持つ危険性、ドイツの高等教育におけるESDの現状、リューネブルク大学のケーススタディ、および国際的な金融危機と高等教育の持続可能性の関係について議論がなされた。また、こうした経験をアジア太平洋で活かすために、大学の主体性、イニシアティブ、組織の変化に対する柔軟性、様々なケースに対応できる多様な手法、国内のネットワークなどの重要性が指摘された。

<名執芳博氏(国連大学高等研究所(UNU-IAS))> PDF
 名執氏からは、「持続可能な開発のための教育における国連大学の取組み~高等教育の地域機関およびProSPER.Net」と題して国連大学のESDに対するRCE(ESDに関する地域拠点)、ProSPER.Netの取組みが紹介され、国連大学が国際的なネットワーク構築に果たす役割の重要性が認識された。2009年3月から4月にかけてドイツのボンで開催されるESDの10年中間会合に向けて、高等教育機関の連携強化をはかることが求められていることが指摘された。


3.パネル・ディスカッション
司会:阿部治センター長

 各国・地域からの報告を受けて、報告者全員によるパネル・ディスカッションが行われた。主な論点は、サステナビリティあるいは持続可能性という倫理の普遍性というESDの概念そのものを検証する議論、カリキュラムにおけるサステナビリティ学の必修化、国際的なHESD連携の意義の3点であった。倫理の問題については、地球的倫理と地域的な個別の価値観の両者が重要で、多様な価値観を受容しつつ共通の理解もしくは価値観を共有することが大切であるという共通認識が提示された。カリキュラムに関しては、必修科目化や専門性を超えた学際的なカリキュラム設計の具体例が米国およびドイツから紹介された。最後に、阿部治ESD研究センター長より本シンポジウムを国際的なHESDの連携の契機としたいという発言がなされ、シンポジウムを終了した。

 

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