ESDでは地域を基盤としてさまざまな活動を展開することが多いが、最近は大学生を中心として地域意識が薄い若者が多い。そこで、そのような若者を対象としたESDの手法を開発するための研究会をDEAR-YOUTH(開発教育に関心をもつ若者のグループ)の協力を得て行った。
国際協力の世界ではよく用いられているPLA(参加型学習行動法)を応用した居場所系のワークショップとして、時間・空間・関係の3つの切り口から、自分の位置(アイデンティティ)を確認して、他者・社会・世界とつながるワークショップを5つ行い、参加者からのコメントをもらった。
内容の一部を紹介しよう。「社会関係図」では中央に自分の名前を書き○で囲む。自分が関係している人物(家族、友人など)と団体(学校、サークル、会社、役所、商店など)を心理的に距離が近い順に書いていく。これにより現在の「自分」の位置を可視的にとらえることができ、社会の中での「自分」が明らかになっていく。また「リーマンブラザーズが破綻した」では、一昨年起きたこの出来事から連想すること、その結果起きたできごとを模造紙にクモの巣状に広げて書いていく。そして、自分と関係する項目を各自、線でつないでいく。これにより、グローバリゼーションが進む現在では、世界の片隅で起きていることと自分の生活とがさまざまな形でつながっていることを理解する。
参加者からは次のようなコメントが寄せられた。「社会関係図と原風景マップがおもしろかった。自分のアイデンティティとは何か、子どもの頃は何を考えていたか、など考えるよい機会となった」「リーマンブラザーズの破綻とタイムラインが印象的で、立場の違う人がどのように考えているのかが知れてよかった」「ESDなので、より社会とのつながりを出していくようなワークにした方がよい」など。
今後も授業や集会でこのようなワークショップを試行し、いずれは教材集としてまとめてみたいと考えている。
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