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イベントレポート

【2009/6/11(木)ESD公開研究会<開発教育・ESDにおける国際交流・協力の成果と課題>
地球市民教育の日韓交流の歴史と課題~地球の木の取り組みから~】

田中治彦(ESDRC)
日時: 2009年6月11日(木)18:30~20:30
場所: 立教大学 池袋キャンパス 12号館 第一会議室 
題目:

「地球市民教育の日韓交流の歴史と課題~地球の木の取り組みから~」

講師:

丸谷士都子氏(NPO法人地球の木 理事長)

司会:

田中治彦(ESDRC)

主催:

立教大学ESD研究センター

協力:

(特活) 開発教育協会(DEAR)

    

1.研究会のねらい
田中治彦(ESDRC)
 ESD研究センターアジアチームの今年度の研究会テーマは、日本とアジア諸国とのESD・開発教育の交流の歴史を総括し、今後のアジアにおけるESDの普及を展望することである。
  これまでアジアチームは、DEARとの協力関係のもと、ESDの調査・研究を行ってきた。第一に、持続可能な開発のための教育(ESD)の10年の推進にあたり、DEARでは学校教育をターゲットとしたESDカリキュラム開発を行い、地域と世界をつなげる視点を掘り下げた。第二に、途上国だけでなく、日本の地域課題に向き合う視点を強めるために、昨年度はこのESD研究会で「(地域に向き合う)ファシリテーション」をテーマとした。従来の教室内のワークショップの運営進行としてのファシリテーションから一歩踏み出した。
  第三に、アジア各国における参加型開発、参加型学習の相互交流、環境教育などを通してアジア諸地域との交流を行ってきたということである。2009年度は全5回の研究会を以下のテーマで開催する予定である。
1)日韓地球市民交流(韓国)
2)PRA(参加型農村調査法)の導入(ネパール)
3)コミュニティ・オーガナイジング(マレーシア)
4)北タイにおけるNGOスタッフ養成プログラム開発(タイ)
5)イギリスの開発教育の状況、EUの進めるグローバル教育(イギリス・EU)
今回は、日韓交流についてNGO「地球の木」の丸谷士都子氏にお話しいただいた。

2.日韓地球市民交流について
丸谷士都子(地球の木)

  地球の木というNGOは横浜にあり、丸谷氏は理事長を務めて7年目になる。地球の木は、生活クラブ生協神奈川の組合員などで設立された。開発教育にも関心をもち「マジカル・バナナ」という教材を製作した。
  韓国で交流した団体は、「地球村分かち合い運動」である。主要事業は、ベトナム・モンゴル・イラクなどへの国際協力活動である。またスタディツアーなど若い人向けのプログラムや学校の国際理解教育への講師派遣を行っている。その中で、主婦がベトナムやモンゴルについての10日間の講義を受けたのち、 現地を訪問することで「名誉教師」を養成するプログラムを行う「地球市民学校」の女性たちが直接の交流相手となった。
  KOREAこどもキャンペーンで地球村と知り合ったのがきっかけである。「主婦が講師となり国際理解教育を行う」という共通点から互いに関心を持ち、2002年に地球の木が韓国の事務所を訪れ、2003年には、実際に事務局長の朴明姫さん他3名の方々が地球の木を訪問。2005年6月に第1回の交流を行った。JICA横浜でワークショップを行い、双方の活動紹介、地球の木の「識字」のワークや開発教育教材「地球の仲間たち」を学んだ。日本国際ボランティアセンター、オルタートレード、開発教育協会などのNGOや、地球の木が出前講座を行っている平楽中学校などを訪問した。
  2005年10月に韓国を訪問し、第2回目の韓日地球市民教育交流を行った。日本と韓国の教育事情の報告や、開発教育教材「レヌカの学び」、「マジカル・バナナ」を行い、DEARの活動紹介も行った。韓国の先生方は熱心で、議論も活発、ワークショップにも率直な感想を述べた。地球村分かち合い運動は、「モンゴルの箱」というワークショップを行った。さらに、ユネスコの人が環境系のワークショップを行った。このときはホームステイをし、韓国の家庭生活を体験した。
  2006年11月には、日本で第3回目の地球市民交流を行い、テーマを「持続可能な開発」とした。地球村のほうで、「開発」という言葉についてイメージ調査をした。韓国では、開発に対して肯定的な答えが日本よりも多かった。次に、DEARの上條直美氏に持続可能な開発について話してもらった。ESDについてお互いにスタートラインに立てた。この時のワークショップの中で、地球村の主婦グループは独立して事務所を持つことを夢として描き、1年後に実行に移した。
  第4回は2008年10月31日~11月2日にソウルで行った。韓国の開発教育と日本の開発教育の進展について話し合った。「ケータイの一生」ワークショップと地球の木のネパールでの事例を披露した。独立してできた「地球村の人々」からは、100人村の韓国版の作成と実施の報告とビデオを使った事例報告があった。
  韓国の開発教育の現状と課題であるが、地球村の人々会長の金銀姫さんの資料によれば、「内容の不足」「文化紹介にとどまっている」「教育活動家と企画者の不在」「教材のマニュアル化が足りない」「NGOが開発教育にお金がかけられない」「地域への広がりの不足、おもに首都圏中心」などの課題を抱えている。
 地球村分かち合い運動から独立した「地球村の人々」は、資金不足などの問題もあり結局解散してしまった。開発教育については他のNGOが関心を寄せているので、今後どのような形で韓国で開発教育が再開されるのか見守っていきたい。

3.補足(田中)
  2002年7月に立教大学東アジア地域環境問題研究所の招きで地球村分ち合い運動の全定根氏が短期留学した。全氏は関東と関西のNGOを20団体ほど回って調査し、開発教育についても研究した。直後の9月には、田中を含めて開発教育協会のメンバー4人が韓国を訪れて、NGOや関係団体を訪問して開発教育について説明した。
 ESDについては前のノムヒョン政権のときに大統領府直轄で持続可能な開発に関する研究所が設立されて、ESDについても研究していた。しかし、政権が代わり現在ではESDに関する政府の動きはほとんど見られない。

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