立教大学 ESD研究センター
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イベントレポート

【2009/10/30(金)ESD研究会 タイの環境教育・ESDの動向:自然資源の持続的利用について】

  櫃本真美代(ESDRC)
日時: 2009年10月30日(金)13:00~14:20
場所: 立教大学12号館 第1会議室
題目:

「タイの環境教育・ESDの動向~自然資源の持続的利用について~」

講師:

Sansanee Choowaew(マヒドン大学)

主催:

立教大学ESD研究センター

    

 マヒドン大学サンサニー教授をお招きし、タイにおけるESDの現状を発表してもらった。サンサニー教授は、マヒドン大学で修士・博士を教えている。

タイの教育のシステム
 フォーマル-12年間無料(6-3-3)
 ノンフォーマル-政府・民間、大人と子ども、職業教育もある。
 インフォーマル-様々。自分たちで学ぶ。博物館、メディアなど

環境教育は1977年に始まった。全ての教育に取り込まれている。そして、様々なカリキュラムがあり、地域に適した、あるいは重視したカリキュラムになっている。子ども中心、暮らしについてなど。
 様々な活動・実践的な活動が行われ、学習者の思想や想像力を向上させている。
 政府の政策は、第10次国内経済社会開発計画(2007-2011、天然資源の保護など)で、教育省が教育改革を行い、地域別の教育政策を行うことになった。そして、3つ全ての教育(フォーマル・ノンフォーマル・インフォーマル)を重視している。
 1999年の教育改革で、新しい教育法ができた。全ての人・子どもに教育の権利を。2001年に新カリキュラムができて、各地域に新カリキュラムを行うことが求められた。そして、学校だけでなく、地域の人も参加し、地域の問題を取り入れる、参加型の学習が行われることが推奨される。
多くの学校は、総合的・学際的なアプローチをとっている。そして、ESDの考えとして、“足るを知る経済”と連携して、地域の人がうまく自然と向き合って暮らしていけるのかを視野に入れている。
ロイヤルプロジェクトで、田舎の子どもや若者など教育機会のない人へ、健康・衛生など、学校が地域の中心となり、地域の人が中心となって行われている。

ノンフォーマル 例1)
 タイは農業の国。化学肥料による環境破壊をどうやって解決するのか、一緒に考えるもの。そして、子どもたちに農薬の害の恐ろしさを伝えている。
 学校がカリキュラムに統合して、子どもたちにエコシステムを知ってもらう。例えば、有機農業など。参加型アプローチ、解決の方法を一緒に考えていく。

ノンフォーマル 例2)
 ゴミをお金に換える。
 政府と民間団体が連携。
 また、コミュニティリーダーのトレーニングを行い、地域に戻って様々なプロジェクトを行えるようにする。 質を上げるプロジェクト。さらに、他のコミュニティのモデルとなる。
 例えば、害のあるゴミをセンターに持ってきてもらい、物に換えるシステムなど。
 クリーンエネルギーなど。

ノンフォーマル 例3)
 TEIとユネスコが協力して資料を作っている。土砂崩れの防止用。リスクの高いところに配り、自分のことを守るための情報を与える教材。VCD、ポスター、チラシなど。

学校でのESD実践
 各学校は、課題、環境、文化など異なるが、アプローチやプロジェクトは同じ。つまり、SDのための教育としては同じ。総合的なアプローチであり、一緒に地域のことを勉強し、技術を磨き、環境に関する認識を高めるという目的は同じである。

例)コミュニティの地図作り
 外に観察しに行く。デジタルマップを作る。地域の活動には、植林やゴミのリサイクルがある。
積極的に参加している。
 子ども・学生・保護者・地域も一緒に学ぶ。地域の人はただ教えるだけでなく、一緒に問題を見つけていく。コミュニティの人々は、どんな問題あるのか、当たり前のように知っているが、子どもたちが強調することによって、その問題がより一層浮き彫りになり、目を向けるようになる。

例)スパンブリー(田んぼが多い地域)
 環境教育センターと協力している(各県にある)。
 学校の先生が集まり、各教科で何を教えられるのかをブレーンストーミングをした。
 この学校は大事なことに注目している。それは、農業(米・田んぼ)。なぜならタイは農業の国だから。
 そして、子どもに生物多様性や生態系を教えている。

 化学-普段は化学室でPHとかを計ったりするのが、このカリキュラムでは実際の田んぼに入り、観察、体験する。
 物理、数学なども、どう田んぼに関わるのかを先生が提案。
 美術-田んぼの絵や詩、踊りなど。
 タイ語・英語など、田んぼと関係ないかもしれないけど、田んぼに関する論文などを読んだりする。
 文化-地域に伝わっている文化など。
 PC-調査で分かったデータを整理し、環境教育に関するソフトウェアなど。
 ⇒田んぼについての総合的に取り組んでいる。
 このモデルの重要性は、子どもたちが実際に体験できる総合的な学習であること。

 タイバーン-村の人が研究者になる。
 データを集め地域の子どもに見せる、発表する。
 研究者がわからないような植物でも、村人は知っている。どのような種類で効用があるのかなど。これらを発表する。

 ジャンボタニシでナンプラーを作る。作っても作ってもなくならないので、有機肥料を作ることを考えている。

例)プラチンブリープロジェクト
 田んぼについてのソフトウェア、自己学習用。国内の最優秀賞をとった。
 大人が作ったのは人気がないが、子どもが作ったのは、大人にも人気だし、自分たちで作ったということもあり、思い入れがある?

 教育省はESDに向けた戦略・教育を考える機会、ワークショップを行い、普及している。

課題
 環境教育・ESDの教材・方法を考える必要がある。
 学校間・地域間の交流、国家間の交流を考える必要がある。
 まだ、あげてない課題があるので今後検討。
 教育を通して、学校とコミュニティとの間を一緒に働くネットワークが必要。
 プロジェクトが継続していくことが重要であり、そのための支援・技術・政策によるサポートが必要。学校や教育機関のモチベーションを挙げる。
 これまで、単発のものなので、長く続けることが大事であり、教育省・コミュニティのサポートが必要。


まとめ

 教育は大事なツール。
 ESDは教育者だけでなく、他のセクター(市民・メディアなど)も貢献。
 今まで教育を通してよいプロジェクトを行ってきた。それをどう続けていくかの戦を略を考える必要がある。



参加者からの質問

 教育省で教材は入手できる。HPにも載っている。
 卒業後、自分たちの学生や子どもたちに教えることができたならば、それこそSDである。
 地域の中に入って、考えや行動を変えていく。
 HPに掲載しているソフトをCDとかにして配布すればもっと広まるのではないか。
 有機農業は今、タイでは盛ん。農薬による害がどうだったのかを知っているから。有機の製品も好まれているし、高く売れている。
 政府の役割は、有機農業のマネージメントであったり、バイオロジカルコントロールの実践など。
 有機農法-化学肥料を使わないだけでなく、自然のまま、循環する。農薬を使ったら鳥なども死んでしまう。
 対象は、農業学校、農民学校である。

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