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イベントレポート

【2010/3/2(土) 2009年度 Eco OPERA事業 「自然学校は地域を救う」
                     ~ESD(地域を元気にする)拠点として期待される自然学校~】

 櫃本真美代(ESDRC) 
日時: 2010年3月2日(火)14:00~18:00
場所: 立教大学 池袋キャンパス太刀川記念館3階 多目的ホール
題目: 「自然学校は地域を救う~ESD(地域を元気にする)拠点として期待される自然学校」

パネリ
スト:自然学校・事務局

関原剛(NPO法人かみえちご山里ファン倶楽部専務理事)岩片克己(白山神社宮司、NPO法人かみえちご山里ファン倶楽部理事)
辻英之(NPO法人グリーンウッド自然体験教育センター代表理事)
横前明(泰阜村総務課村づくり振興係長)
大西かおり(NPO法人大杉谷自然学校校長)
寺添幸男(大台町役場大杉谷出張所長)
高野孝子(NPO法人ECOPLUS代表理事 /TAPPO南魚沼やまとくらしの学校)
小野塚彰一(清水地区活性化委員会委員)
高砂樹史(NPO法人おぢかアイランドツーリズム協会専務理事)

パネリスト・専門家:

ESDの専門家=阿部治(立教大学社会学部・異文化コミュニケーション研究科教授/ESD研究センター長)
自然学校ネットワークの専門家=広瀬敏通(NPO法人日本エコツーリズムセンター代表理事)
全国の地域再生、実例の研究者=鹿熊勤(フリー・ジャーナリスト)

司会:

川嶋直(キープ協会/立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科特任教授)

主催:

立教大学

共催:

立教大学ESD研究センター

    

 
 阿部治ESD研究センターセンター長から開催趣旨が述べられ、司会による簡単なアクティビティが行われた(以下は質問項目)。
 ①5つの自然学校のうち、名前をいくつ知っていたか?
 ②職業は?(自然学校関係者、教員、学生、研究者、企業、行政、それ以外)
 ③どの言葉に関心を持っているか?(自然学校、地域、パー、ESD、三角、その他)

 この後、5つの自然学校・地域の方々からの発表が行われた。

関原剛(NPO法人みえちご山里ファン倶楽部専務理事)・岩片克己(白山神社宮司、NPO法人かみえちご山里ファン倶楽部理事)
 これまで行ってきた感想、現場の感想が述べられた。
 環境教育に特化した活動ではなく、村人と共に学ぶ活動であり、特に、これまでの生存技術が使われなくなり、それをどう守り、深め、創造していくのかに、焦点を当てている。また、自然学校の地域での存在意義、NPOの役割、内の人と外の人との関わりなども述べられた。この他に、桑取谷の成り立ちから、神社を中心とした伝統や行事が多い地域であること、しかし、それらの多くが国民の祝日法改正などの社会環境により廃止されてしまったことに対する活動についても述べられた。

 

②辻英之(NPO法人グリーンウッド自然体験教育センター)・横前明(泰阜村総務課村づくり振興係長)
 24年前に泰阜村に入った当初は、自然を武器にした産業は無理だといわれていた時代であったが、今では、地域の人にも理解してもらえるようになった。
 NPOの大きな理念、活動で大事にしているものは、地域に根ざすということである。地域で暮らしてきた人たちの営みから学び、次世代の子どもたちに伝えていく、そのことを大事にしている。
 地域で当たり前のこと、シンプルなことにどれだけ村を潤す大切な学びがあったのか、自然学校を媒介に、地域の人もNPOも地域の教育力に改めて気づかされた。
 この他に、泰阜村の紹介が行われ、その中で、グリーンウッド同様、泰阜村も自然を大切にするという同じ方向性を持っているだけでなく、田舎には人を育てる環境が十分にある、と述べられた。

 

③大西かおり(NPO法人大杉谷自然学校)・寺添幸男(大台町役場大杉谷出張所長)
 事業のポイントは、地域に残るものの再評価であり、それを大事にした活動を行っている。しかし、昨今では、地域自体が消えるということに危機感を持っている。地域が消えることによって地域の慣習は失われ、それを引き継ぐものもいない。
 自然学校はお金に関して言うと、お小遣い程度の経済効果しか実はない。スタッフも高齢化し、自然学校だけでは、恐らく無理であろう。
 この後、行政の側から、自然学校と地域調査を行い、地域の人々に話を聞いて回り、自然学校の立ち位置を確認したところ、自然学校に対する批判は一つもなく、もう少し自然学校の方々と関わってみたいという声が非常に多かった、ことが述べられた。大杉谷地域は自然学校が主体となってやっていかなければならないし、行える仕組みを作っていきたいとも述べられた。

 

高野孝子(NPO法人ECOPLUS /TAPPO南魚沼やまとくらしの学校)・小野塚彰一(清水地区活性化委員会委員)
 TAPPOとは田んぼの意味である。きっかけは、保育園の閉鎖、小学生の減少など、栃窪集落のチャレンジから始まった。様々な問題が起こっており、農山村の価値を現代的、社会的に位置づけたい、そして、あんな雪深いところだからこそ、きっと持続可能な社会へのヒントがあるの、との思いからである。
 農山村の価値とは、生き方に関係する。村に息づいている知恵を少しずつ教えてもらっている。
 外から来る人は客でもなんでもない。貢献しあう、学びあう関係である。外から来る人、戦力としてあてにしてはならないと思うが、一生懸命で、パワーがある。
 TAPPOという事業のおかげで、村に活気や元気が出て、明るくなった。それは、若い人、女性、高齢者などに変化をもたらした。

 

⑤高砂樹史(NPO法人おぢかアイランドツーリズム協会)
 小値賀は、島という特別な環境にあり、島の中で全て自活すること、貿易収集、外貨をどう稼ぐかを考えないと、島の存続にかかわる。だからこそ、島ぐるみのおもてなしを行っている。
 5年前は、島の人口は3500人だったが、今、3000人に減ろうとしている。特に、子どもが減っている。子どもを生むにも島外に出なければならないし、島外の学校に通わせて学ばせるような余裕もない。
 島の観光は天候に左右されるため、修学旅行生のほかに、より安定した個人のお客、大人のお客を呼び込むために、江戸時代の鯨漁や酒蔵の名残として、もともとあった古民家の事業を始めた。それにより、NPOから新しい観光まちづくりのグループができた。
 この他に、海外の高校生が訪問するなど、国際交流も行っている。

 
 各自然学校/事務局・地域からの報告を受けて、報告者全員によるパネルディスカッションを行った(以下は質問項目)。
 ①ESD(持続可能な開発のための教育)についてどう思うか?
 ②タイトル「自然学校は地域を救う ESD拠点として期待される自然学校」をどう思うか?
 ③それぞれの地域で、年間で最大何人受け入れることができるか?
 ④Iターンのエピソード、苦労話
 ⑤地元の子どもたちを自然学校で教育することによって、人口の流出を防ぐことができるか?
 ⑥2010年度の林野庁、農水省の予算では、民主党の方針で経済効果が期待できないものは削減される見込みとなっている。こうした流れを止め、山村の良さを持続させていく教育を行うためには一体何が必要か?

 最後に、3名の専門家から、まとめの挨拶が行われ、閉会した。

※詳細につきましては、近日発行予定の報告書をご参照ください。

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