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立教大学ESD研究センターでは、立教大学の学部や大学院の教育に協力しています。

2009年度全学カリキュラム総合B科目:
 「ESD-持続可能な開発と教育 <持続可能な世界はいかにして可能か>」

 

【第1回 持続可能な開発のための教育(ESD)とは?】
 2009年4月15日(水)  担当:田中治彦

1.ESDの起源
 ESDとは、Education for Sustainable Development(持続可能な開発のための教育)の頭文字をとった略語であり、環境問題と開発問題を同時に捉えていくための教育という意味である。Sustainable「持続可能」という用語自体は1980年代の漁業問題で使用され始めた。野生の魚を獲る漁業は、際限なくおこなえばいずれその資源は尽きる。資源を尽かせることなく獲るためにいかに調整するか、と考えたことがSustainableという言葉につながったのである。
ESDの起源は先進国の開発にともなう環境悪化への対応にある。

  1960年代の高度経済成長期、物質的な豊かさを獲得していく裏で深刻な環境問題が発生した。これは日本に限らず欧米の先進国に共通した問題であったため、その解決方法を探る目的で1972年にストックホルムで国連K人間環境会議が開催された。このとき、「開発」は「経済成長」と結びついた用語だった。しかし、開発は貧困からの脱出のために必要であるという認識があり、環境保護と開発推進というそれぞれの考え方は対峙していたため、貧困に悩み経済開発による発展を目指す途上国と先進国との溝は埋まらなかった。アジアやアフリカ、ラテンアメリカなどの地域にとっては、開発によって発展しているにもかかわらず、それによって引き起こされる環境問題について問うことは先進国の贅沢と考えられたのである。

 これを受けて、環境保護と開発推進を対立させたままでは状況は改善されないとし、1987年に発表されたブルントラント委員会における“我々の共通の未来”という報告書の中で、両方の立場を統合した「持続可能な開発(SD)」という概念を提起した。また、1992年にはリオデジャネイロで地球サミットが開かれ、各国首脳が開発と環境について話し合い、SDが国際的な合意を得た。この地球サミットの成果を評価するために2002年にヨハネスブルグ・サミットが開催されたが、あまり具体的な進展が見られなかった。同会議では2005年から2014年までを「持続可能な開発のための教育(ESD)の10年」とし、開発と環境の相互の問題を解決するための教育を推進することが申し合わせられた。

2.SDの二つの公正
 先述のブルントラント委員会で提起されたSDという概念は、「世代間の公正」と「世代内の公正」を目指している。前者は、環境・資源の保全を意味する。現在の世代が資源を使いきってしまい、次世代に汚染やゴミのみが残るようなことを避けようという考え方である。また、後者は南北問題や開発問題の解決を意味する。たとえば、一人当たりの年間エネルギー消費量をみると、インド人一人あたりは日本の12分の1、アメリカの25分の1というデータがある。こうした格差があるにもかかわらず、途上国側に人口の抑制と資源への使用規制をおこなうような取り組み方は公正ではないといえる。「世代内の公正」とは、このような格差の解決を目指すということである。この二つの目的がそれぞれ環境教育、開発教育へと結びついている。これらを融合させて考えていくのが「持続可能な開発のための教育(ESD)」であり、本授業で取り扱う内容である。

 

 

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