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立教大学ESD研究センターでは、立教大学の学部や大学院の教育に協力しています。

2009年度全学カリキュラム総合B科目:
 「ESD-持続可能な開発と教育 <持続可能な世界はいかにして可能か>」

 

【第6回 開発・国際協力2】
2009年5月27日(水)  担当:田中治彦


  1. 開発プロジェクトの変遷-シャプラニールに見る

 国際協力の現場では何がおこなわれているのか、開発プロジェクトとはどういうものかということについて触れていきたい。具体例として、シャプラニールというNGOに着目する。これは1972年に設立された日本でも歴史のあるNGOであり、代々の事務所長が書いたり区切りの年度ごとにまとめたりした報告書等によって、その活動の変遷を詳細に追うことができる。


『援助から共生へ~シャプラニール・未来をみつめて』(シャプラニール=市民による海外協力の会制作)の視聴

 おもなフィールドはバングラディッシュである。はじめは物資提供などの「援助」だったが、それでは根本的な問題が解決しないとして「協力」へと移行した。現在はさらに、「してあげる→してもらう」ではなく「与える→与えられる」という対等の関係を目指し、「共生」をテーマにした活動をおこなっている。日本でも地域連絡会が出現し、地域の問題や世界の問題まで考え、それぞれをつなげる活動をしている。さらに、ストリートチルドレンの支援など都市部における問題にも着手している。

 当団体は、バングラディッシュの独立戦争期に発生した難民支援に起源をもつ。このとき現地に赴いた若者が、その現状を日本で報告し、資金を集めてノートや鉛筆などの物資援助をおこなった。いわゆる慈善型の援助である。しかし、そのような一時的な援助には限界があることを知り、現地の状況に合わせて支援をするために駐在スタッフをおいて活動をすることになった。そのときに作られたのが、貧しい人や女性を中心とした自助グループ、ショミティである。しかし、対象が偏る支援には反感を持つ人々も生まれた。さらに、自立を目的としていたはずのショミティが、資金や物資の援助が切れるところで活動をやめてしまうようになってしまった。

 こうした出来事への反省から、これまでの支援の方法を変えることになる。これまでは、外部からの進んだ技術や資金を投入するという技術移転型あるいはサービス提供型の開発プロジェクトであった。これらの方法は結局のところ支援者が主導権をもってしまう。その主導権を現地の人々に持たせたのが、新しい手法である参加型開発である。シャプラニールは現在、試行錯誤のなかでこの形の支援をおこなっている。

  1. 参加型開発とは
     支援する側は最初から物資や資金を提示するのではなく、あくまでも現地の人々が自らの課題を発見してその解決のためにプロジェクトを行えるように、側面から支援する形である。これにはPLA(参加型学習行動法)という方法が用いられる。地図作りや季節カレンダーといったPLAの手法は、現地の人々が自分たちの持つリソース(資源)や課題を明確にし、認識するのに有効である。このような開発型も含め、状況や課題に合わせて支援の形を変えていくことが現在求められているということを、理解することが重要である。

 

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