社会調査のページ
社会調査法と大学院科目の解説
大学院社会学専攻 調査計画法
「統計的社会調査法とデータ分析」
立教大学 村瀬 洋一
データファイルの例 データ入力方法の説明 グラフ例のエクセルファイル お礼状例のファイル
まずは、以下の2つのテキストファイルを、自分のディスク(USBメモリーや、ホームHドライブ)に保存すればよいです。
se97prct.txt (練習用データ)
s7v1.sps (SPSSプログラム(シンタックス)簡略版)
1.目的 2.文献収集法の課題 3.内容予定 4.社会調査法とは 解説 調査、実験、観察など5つの方法をまず理解する。調査と観察などを混同しないように |
統計分析の解説PDF ◆SPSSシンタックスの基本 資料PDF ここをクリック ◆表とグラフ形式の基本 資料PDF ここをクリック ◆クロス表とグラフ見本エクセルファイル ここをクリック ◆SPSSクロス集計 基礎の基礎PDF ここをクリック ◆SPSSシンタックス 基礎の基礎PDF ここをクリック ◆エクセルを用いた分析 資料PDF ここをクリック ◆平均値折れ線グラフの形式見本 エクセルファイル
|
社会調査工房オンライン 甲南大学 社会調査の思想・倫理・効用 高坂氏 SSJ 社会調査データの入手 社会調査データベースSRDQ 社会調査士とは 社会調査協会 社会調査の道具箱 中央調査報 ネット調査と社会調査について 日本統計年鑑 エクセルファイル 日本政府 社会生活基本調査 日本政府 労働力調査 内閣府 世論調査 データはウソをつく 谷岡氏
統計用語集、SPSSによる分散分析解説 学芸大岸氏 分析法解説 大阪大学 狩野氏 神林氏 統計学講義資料 統計総合情報 群馬大青木氏 数学入門 関西学院丹羽氏 統計リンク集 愛媛大佐藤氏 肩のこらない統計学 関西大学清水氏 SPSS解説
課題1
何らかの社会調査結果が載っている文献をコピーして持ってくる。学術雑誌に掲載されている論文をコピーすること。これを元に、各自の調査項目を考える。
課題2
ProquestデータベースやJSTOR、SAデータベース(sociological abstract)などを使って、自分の研究に必要な、英語文献のリストを作ってください(立教の図書館で使えます。これらやSSCIが無料で使えるのが立教の図書館の大きな特徴です)。最低限、上記3つのデータベースは使いこなしてください。図書館ホームページを見て、どのようなデータベースを使えるか確認してください。また使い方が分からない場合は、図書館でよくきていください。
ただし文献リスト形式は、このホームページ最後に記載の、参考文献リストの形式をよく守ること(日本社会学会『社会学評論』や数理社会学会機関誌『理論と方法』の文献リストと同じ形式。これらの雑誌を見て形式を真似する)。またリストには、American Sociological Review やAmerican Journal of Sociology など審査制学会誌の目次をよく見て、ここ数年以内の新しい論文を必ず含むこと。形式によく注意して整備した文献リストを作成する。まずは、図書館ホームページにある、各種の雑誌文献データベースを使いこなせばよい。
その他
1)海野・原(2004)を用いた社会調査の実習 テキストを用いて、無作為抽出法やエラボレイション、コウディング、 評定法、尺度構成法などの実習を行う 最後に、偏りのない質問文や、よい調査票の作成法を学ぶ 2)分析ソフトSASかSPSSを用いた社会調査データの分析実習 3)計量社会学に関する学術論文を読み討論 4)調査票を作成し本格的な社会調査に参加 希望があれば、SPSSシンタックスやロジスティック回帰分析などの実習も行います。
現実社会から直接、大量のデータをとる場合は、調査を行う。経済学や法学では、学者が自分で大規模な調査を行うことは少ない。なお、研究者によっては、文書や映像を集めることまで調査ということがあるが、「社会調査」とは、人間の意識や行動についての情報を、人間から直接収集することを言う。
統計的調査法の種類は以下がある(原・海野.2004.『社会調査演習』1章などを参照)
とくに職業分類や産業分類の理解は重要である。日本には、国勢調査の職業分類とは別に、労働省や総務省(旧行政管理庁)の職業分類がある。国際標準職業分類も存在する。日本の調査では、国勢調査の分類が、全国サンプルの結果と比較可能で使いやすいだろう。
金融業、サービス業などの回答が職業だろうか。銀行勤務でも、事務員やガードマンもいれば、コンピューターの操作をする人もいる。また、的確に調査しないと、多くの人が専門職と答えるが、大卒以上の資格を持たない職は、ふつうは専門職と分類しない。機械修理の熟練工などを的確に分類することは、以外に難しい。また、管理職とは何かという定義も、調査によってまちまちでは問題である。社会調査においては、職業だけでなく、地域の都市度、産業構造、学歴などの社会的分布を正確に把握することが、きわめて重要なのである。以下に、職業の4次元だけは解説しておく。
職業の4次元 安田三郎・原純輔.1982.『社会調査ハンドブック 第3版』p.87より
職業が社会調査において重要である理由は、職業が社会的地位と役割を表すからである。職業には貴賤がないが、職業について調査することは重要である。なぜならば、高収入の職とそうでない職が存在するし、時代によって人気がある職とそうでない職もある。また、社会的影響力の違いもあり、巨大な現代社会の中で役割分業を行っている。これらを正確に把握するためには、職業を狭義にとらえるだけでは不十分であり、以下の4次元を調査し、これらを総合的に把握する必要がある。
1)産業 −従業先の企業の分野。金融業、製造業など
2)従業先の規模 −大企業かどうかは、日本では極めて重要
3)狭義の職業(本人の仕事内容) −本人自身が何をやっているか
4)従業上の地位 −自営業か、常時雇用か、臨時雇用(パート、アルバイト、派遣社員など)
これらの他に、役職、つまり係長、課長、部長などの組織内の職位も測定することが多い。通常、日本では、課長以上を管理職とする。しかし国際的な職業分類では、部下が数人いれば管理職扱いにすることが多く、日本での分類と食い違うことが多いので注意が必要である。
安田三郎の「SSM総合職業分類」は、狭義の職業、従業先の規模、従業上の地位を組み合わせたものである。1.農民、2自営業、3.専門的職業、4.管理的職業、5.大企業ホワイトカラー、6.中小企業ホワイトカラー、7.大企業ブルーカラー、8.中小企業ブルーカラー、9.農林漁業賃労働者、の9カテゴリーからなる。
原純輔の「新総合職業分類」
安田の分類を元に提案したもの。01 ノンマニュアル自営業、02 マニュアル自営業、03 専門的職業、04 管理的職業、05 大企業事務職、06 中小企業事務職、07 中小企業販売職、08 大企業の熟練的職業、09 中小企業の熟練的職業、10 大企業の半熟練・非熟練職、11 中小企業半熟練・非熟練職、12.農林漁業的職業、の12カテゴリーからなる。
以下は1995SSM調査B票用の総合職業分類作成シンタックス。SSM旧8分類を作った後で実行する。
/***** SOGO SYOKUGYO BUNRUI *****/ COMPUTE JOBY=99. COMPUTE JOBA=Q4A. COMPUTE JOBD=Q4D. COMPUTE JOBE=Q4EJOB. IF (JOBE EQ 6 OR JOBE EQ 7) JOBY=11. IF ((JOBY EQ 11) AND (JOBD EQ 9)) JOBY=9. IF ((JOBY EQ 11) AND (JOBD EQ 10)) JOBY=9. IF (JOBE EQ 5) JOBY=10. IF ((JOBY EQ 10) AND (JOBD EQ 9)) JOBY=8. IF ((JOBY EQ 10) AND (JOBD EQ 10)) JOBY=8. IF (JOBE EQ 4) JOBY=7. IF (JOBE EQ 3) JOBY=6. IF ((JOBY EQ 6 OR JOBY EQ 7) AND (JOBD EQ 9)) JOBY=5. IF ((JOBY EQ 6 OR JOBY EQ 7) AND (JOBD EQ 10)) JOBY=5. IF (JOBA EQ 5 OR JOBA EQ 6) JOBY=2. IF ((JOBY EQ 2) AND (JOBE GE 1 AND JOBE LE 4)) JOBY=1. IF ((JOBY EQ 1 OR JOBY EQ 2) AND (JOBD EQ 8)) JOBY=4. IF ((JOBY EQ 1 OR JOBY EQ 2) AND (JOBD EQ 9)) JOBY=4. IF (JOBE EQ 2) JOBY=4. IF ((JOBY EQ 4) AND (JOBD EQ 1 OR JOBD EQ 2)) JOBY=1. IF (JOBE EQ 1) JOBY=3. IF (JOBE EQ 8) JOBY=12. IF (JOBE EQ 9) JOBY=96. IF (JOBE EQ 10) JOBY=98. IF (JOBE EQ 99) JOBY=99. COMPUTE SOGOJ=JOBY. RECODE JOBY(6,7=6)(8,9=7)(10,11=8)(12=9). COMPUTE SOGOJK=JOBY. COMPUTE SOGOJKB=JOBY. RECODE SOGOJKB(4=5)(5=6)(6=7)(7=8)(8=9)(9=10). IF ((JOBY EQ 4) AND (JOBD EQ 9 OR JOBD EQ 10)) SOGOJKB=4. COMPUTE SOGOJ7=SOGOJK. RECODE SOGOJ7(5,6=5)(7,8=6)(9=7). VALUE LABELS SOGOJK 1 '自営ノンマニ' 2 '自営マニ' 3 '専門' 4 '管理' 5 '大W' 6 '中小W' 7 '大B' 8 '中小B' 9 '農業' 96 '無職' 98 '学生' /SOGOJ7 1 '自営ノンマニ' 2 '自営マニ' 3 '専門' 4 '管理' 5 'ノンマニュアル' 6 'マニュアル' 7 '農業' 96 '無職' 98 '学生'.
必ず予備調査を行い、分かりにくい質問などについて、大学外の回答者に指摘してもらい、質問内容に問題がないか調べて修正することも重要。
調査主体がどこか、なぜこの調査をしているかを、調査対象者に事前のお願い状などで説明しないと、調査の際に苦情が多いなど、問題になることが多い。事前のお願い状はとても重要である。どのように対象者を選んだかについても、丁寧に説明すること。
◆黙従傾向(yes tendency)
質問文の文末を「〜賛成ですか」とすると、面倒なので「賛成です」と答えてしまう人が増える傾向が出る。賛成ですか、賛成ですか、が続くと、どうしてもそのような傾向は出るものである。文末は、「〜どう思いますか」あるいは「賛成ですか、あるいは反対ですか」という形にして、質問するべきである。
悪い例
・あなたは、現在の社会では、貧富の差が大きすぎると思いますか。
改善例
・あなたは、現在の社会では、貧富の差が大きすぎると思いますか、思いませんか。
◆ダブルバーレル質問(double barreled question 双身銃の質問)
1つの質問文なのに、実質的には2つの内容を含む文になっていると、回答者が回答に迷うため、回答が一貫しない結果になってしまう。このような質問は避けるべきである。
悪い例
・あなたは家族の信頼と尊敬は必要だと思いますか
信頼は必要だが、尊敬は必要ないと考えている回答者は、答えることができない。
・あなたは海外への技術支援や経済支援は、今後さらに増やすべきだと思いますか
技術支援には賛成だが、経済支援を増額することに反対している回答者は、答えることができない。
改善例 2問に分ける
◆曖昧な言葉
複数の意味があるような言葉や、概念が曖昧な言葉は、質問文に入れてはいけない。
入れる場合、必ず、詳しい説明や定義をつける。
悪い例
・スポーツ選手は年収が高いと思いますか
スポーツ選手として、野球かボクシングか、何を思い浮かべるか人によって違うと、回答が変わる。
・あなたは友達が何人くらいいますか
友達として、毎日会う人か、知り合い程度の人か、どのような人を思い浮かべるか、回答者により定義が異なる。そのため回答が一貫しない。
・あなたは環境問題に興味がありますか
環境問題として、身近なごみ問題か、地球環境問題なのか、回答者が何を思い浮かべるかにより、回答が変わってしまう。
◆個人的質問と一般的質問
回答者個人の意見に関する質問と、世間一般についての回答者の意見を求める質問は、明確に区別しなければならない。
例 個人的質問
・あなたは、結婚したら子供を作りたいと思いますか、思いませんか。
例 一般的質問
・あなたは、結婚した人は子供を作る方がいいと思いますか、思いませんか。
これら2つの意味を、曖昧にしてきくと、回答者は混乱する。後者の意味ならば、あなたはの後に「一般に」をつけるなど、明確な文にする。
◆ステレオタイプな言葉
単純化されたイメージ(ステレオタイプ)を含む単語が入っている質問は不適切。
例えば、「偏差値」「封建的」などの単語が、質問文に入っていると、否定的な回答が増えてしまう。
◆キャリーオーバー効果
前の質問が、後の質問に影響を与えることを避ける。似たような質問は、話して配置する。例えば、社会問題に関する質問の直後に、政府の評価に関する質問があった場合、前の質問の記憶により、後の質問の回答に偏りが生じることがある。これも、一種の誘導尋問になるので、避けるべきである。
◆自由回答
意見を自由に記述してもらう質問は、一見おもしろそうに見えるが、無回答や、「とくにない」という記述が、実際にはほとんどである。また、後で数字に直し(コーディング)データに入力するのも手間がかかる。本人の仕事内容を詳しくきくなど、○つけ型の質問(多項選択式)では無理な場合もあるが、研究上、どうしても必要な場合をのぞき、なるべく避けた方がよい。
◆選択肢の言葉
回答選択肢に、非常に、とても、などという言葉があると、そこに○をつけにくくなる。例えば、「非常に賛成−−反対」など、賛成だけに非常がついていると、そこに回答しにくくなり、回答に偏りが生じる。
「賛成−どちらかと言えば賛成−どちらかと言えば反対−反対」などのように、両端には強調する言葉を付けず、両端にも、なるべく回答しやすいような選択肢にするとよい。また、中間選択肢を作ると、面倒なので中間に回答する人が増えてしまう。選択肢には中間を作らない方がよい。
その他、威光暗示効果がある言葉(専門家は○○と言っていますが、あなたはどう思いますか、のような質問)や、難しい言葉(専門家や、一部のマニアでないと分からないような言葉)なども避ける。これらのことに、十分に注意して質問文を作成しないと、予想外の要因のため反対が非常に多いなど、回答に偏りが生じる。
ただ、自分では分かりやすい質問のつもりでも、普通の人には難しいことはよくある。思いがけず、無回答が増えてしまう質問も、よくある。質問文を作ったら、上記の問題がないか注意し、周囲の人に試しに答えてもらうなど、小規模な予備調査(パイロット調査)を行い、適切な質問文になっているかどうか、十分に調べて、質問文を改善することが重要である。
まず初めに、すべての調査票に番号をつける。あるいは、回収者名と番号などでもよい。どの地域で回収したデータか分かるように、データ中に複数の地点がある場合は、地点番号などはあらかじめ決めておく。
無回答は9か99などと決める。
データ入力後、入力ミスがないかどうかよくチェックする。
分析の目的は、データの要約と予測である。単にきれいに要約しただけでなく、的確な予測ができるとおもしろい。まずは、重回帰分析を、多重共線性に注意しつつ実施するのが、よくある有効な分析法である。
分析の際は、まず男女別にデータを分割して、その上で分析するのが、一つのこつである。現実の社会では、意識も行動も、男女で大きく異なるからである。分割した方が明確な結果が出る。分析手法としては、単純集計、クロス集計、基礎統計量の出力や、簡単な統計的検定(関連があるかないかについての分析)の他に、多変量解析(3つ以上の変数を用いた分析)を行う。社会調査では、重回帰分析、分散分析、因子分析がよく用いられる。あまり少人数のデータの場合、分析はできない。とくに因子分析は、社会調査データの場合、結果が不安定になりやすいので、400人以上のデータで用いること。
分析結果を、調査報告書とするか、学術論文や単行本として出版。まずは、目的が明確な文章にすること。報告書や論文は、「目的、方法、結果、結論」の4つの内容からなる。目的と仮説、結論の一貫性に注意。結論とは、結果の要約ではない。結果をもとに、何を主張できるのかを、明確に書くことが重要。分析結果とは、結論の根拠として用いるものである。自分の主張と、その根拠は、明確に分けて書くこと。
予算を確保し、サンプリングのために地区別人口の表を入手すれば、準備完了である。ただし、調査会社に調査実施を委託する場合、調査会社との連絡を十分にする必要がある。
調査会社による補充サンプルの問題
ふつう調査会社は、見かけ上の回収率を挙げるため、調査主体(大学や役所、企業など)には無断で、正規サンプルとは別に補充サンプルを用意する。信用のある大きな調査会社は数社しかないが、それらでさえも、補充サンプルを密かに用いていることは多い。というか、用いないことはまずない。最近も、学問的調査でそのことがばれて、問題になったことがある。
これを避けるためには、対象者名簿は、調査会社でなく、調査主体の大学などが、自分で作った方がよい。そうでなくとも、少なくとも対象者名簿ができた段階で、どの人が正規サンプルで、どの人が補充サンプルかを明確に決めておくことが必要である。
そして、補充する場合のルールを明確にしておけば、調査後に混乱が起きることはない。具体的なルールとして、正規サンプルが転居または死亡と、明確に分かった場合のみ、補充サンプルによって代替する、と決めておけばよい。調査会社の多くは、不在や拒否の場合も補充サンプルを使ってしまうが、そのような場合、無作為抽出とはならなくなるので注意。実際に、対象地に住んでいない場合(死亡や転居など母集団にもともと存在していない場合)のみ、補充サンプルを用いれば、無作為抽出となる。
調査により得られたデータは、普通、男性よりも女性が多めであり、若年層は回収率が低いので、実際の社会よりも高齢者が多い。つまりデータにはゆがみがある。多くの場合、転勤族や、労働時間の長い人、賃貸住宅に住む人、一人暮らしの人は、回収率が低い。低学歴、低収入の人の方が回収率は低い。ただし、現代日本では、高齢者は比較的低学歴なので(大学等に行っていない人が多い)、見かけ上、低学歴の人が多めに見える。実際には、木造アパートが多いような地区は、回収率が低く、下町のあたたかい雰囲気だと回収率が高い、などの現象はない。
だからと言って、調査結果にウエイトをかけると、さらに問題が起きるので、かけないほうが良い。回収率の高いデータを得るのが大原則である。転勤族や、労働時間の長い人、深夜労働の人などは、データ中にかなり少ないので、性別、年齢や学歴でウエイトをかけたところで意味がない。ウエイトかけるとさらにゆがみが大きくなる。調査で回収できた人と、できていない人は、大きく異なるので、回収できているデータをもとにウエイトをかけても、ゆがみが大きくなるだけで、意味がないのである。米国で行われているようなウエイトは、日本で行っても、混乱が大きくなるだけでメリットは少ない。
巻末資料の、調査票や「調査員の手引き」は役に立つ。
その他参考書 大谷信介他編.2005.『社会調査へのアプローチ 第2版 −論理と方法』ミネルヴァ書房. ★不適切な質問文の例が多く役にたつ。職業の測定は記述が不適切。 与謝野有紀他編.2006.『社会の見方、測り方 −計量社会学への招待』勁草書房. ★各種分析法の解説。 原純輔・浅川達人.2005.『社会調査』放送大学教育振興会. ★実践的な内容について、よくまとまっている。 盛山和夫.2004.『社会調査法入門』有斐閣. ★かなり難解だが、私の講義準備用としてはとても有用。院生以上向き。 天野徹.2002.『統計学の想像力 −覚束ない未来のために』ハーベスト社. 朝野熙彦.1996.『入門多変量解析の実際』講談社. ボーンシュテット・ノーキ.1990.『社会統計学』ハーベスト社. 原純輔他編.2000.『日本の階層システム』1〜6.東京大学出版会. 井上文夫他編.1995.『よりよい社会調査をめざして』創元社. ★郵送調査の具体的な実施法の記述は分かりやすい。 石村貞夫.1998.『SPSSによる多変量データ解析の手順』東京図書. 海保博之編.1985.『心理・教育データの解析法10講』福村出版. 狩野裕・三浦麻子.2002.『グラフィカル多変量解析―AMOS、EQS、CALISによる 目で見る共分散構造分析』現代数学社. 岸野洋久.1992.『社会現象の統計学 (シリーズ社会現象の計量分析1)』朝倉書店. 栗田宣義編.1999.『データブック社会学』川島書店. ★日本の代表的な社会調査のデータを紹介した資料集。 内閣総理大臣官房広報室編『世論調査年鑑 : 全国世論調査の現況』大蔵省印刷局. ★毎年発行される。日本での世論調査を集めたもの。質問文など参考になる。 直井優編.1983.『社会調査の基礎』サイエンス社. 直井優他編.1990.『現代日本の階層構造』第1〜4巻.東京大学出版会. 小野寺孝義他編.2004.『SPSS事典 BASE編』ナカニシヤ出版 Rodeghier, Mark. 1996. =西澤由隆・西澤浩美訳.1997.『誰にでもできるSPSSによ るサーベイリサーチ』丸善. 佐藤博樹他編.2000.『社会調査の公開データ 2次分析への招待』東京大学出版会. 谷岡一郎.2000.『「社会調査」のウソ リサーチ・リテラシーのすすめ』文春新書. 渡部洋編.1988.『心理・教育のための多変量解析法入門 基礎編』福村出版. ★分析法について、初心者向けに分かりやすくまとまっている。 山際勇一郎・田中敏.1997.『ユーザーのための心理データの多変量解析法』教育出版. 安田三郎.1971.『社会移動の研究』東京大学出版会. 安田三郎・原純輔.1982.『社会調査ハンドブック(第3版)』有斐閣.
★古いがこれがもっともよくまとまっている。質問文例など参考になる。NHK放送文化研究所世論調査部編.1996.『世論調査事典』.東京: 大空社. ★調査の紹介、調査手法について詳しく記述がある。倫理、著作権についても記述がある。
★必要標本数nと誤差範囲の求め方エクセルファイル
公式を簡単に計算するためのエクセルファイル。
★調査票の見本は冒頭の「練習用データファイルのページ」を見てください。
★調査企画書の見本ファイル 準備中
調査準備には、よい企画書を書いて、周囲とよく相談することが重要です。
★調査費用の計算用エクセルファイル
費用を計算するためのエクセルファイル
エクセルファイルは、リンクを右クリックして「対象ファイルを保存」としてください。
調査の標本数nは、誤差を5%ほど認める場合、400人程度となります(母集団人口により少し変わるが385人前後)。ただし、現実の調査では、結果を男女別に分析したい場合、800は必要なのです。また、当然ながら、男女別や年齢別の分析をすることは多いので、1600は必要となります。回収率が5割ならば、さらにこの倍3200人が必要です。理想的にはこのくらいのサンプル数はほしいところです。
なお、統計的検定の際の帰無仮説とは、簡単に言うと、原因と結果が「無関連」という意味の仮説である。
統計的検定とは、分析の初歩である。これは、関連の有無を見ているだけで、関連の大きさについては言及していない。有無について、1,0で考えると言って良い。関連の大きさについては、検定以外の方法で分析することになる。
質問をいくつか作ろうとしても、基礎項目以外は、なかなかうまく作れないこともある。そのような時は、まず、いくつかの仮説を考えてみるとよい。その上で、必要な質問項目の候補について、自由にアイデアメモを書いてみると良いだろう。また、安田・原『社会調査ハンドブック 第3版』の中には、質問文例が豊富にあり、参考になる。
回収率を上げるためには、とくに以下のことに注意すること。最近は不在が多く、人々のプライバシー意識も高く、治安の問題もあるので、かなり注意しないと回収率は厳しい。
1)事前に対象者へお願い状を送る
対象者の選び方、調査主体、調査の意義等を丁寧に説明。対象者の選び方を詳しく書かないと、なぜ住所を知ったのか、という苦情電話がたくさんくるが、説明不十分なお願い状は多い。
白やクリーム色の紙に、必ず角印を押し、公式文書のような固い文書のイメージにすること。印象がよく信用がある。
できれば手書きで数行、書き添えると良い。
大学の封筒で、連絡先をきちんと書き、インチキ調査でなく、調査主体が大学だということを分かってもらえることが重要。
連絡先電話(携帯でないもの)の他、Eメールやホームページアドレスを書いても良い。
2)調査員の指導
調査員のやる気がもっとも重要である。説明会にて、調査の意義をしっかり説明し理解してもらう。
土日の夜を含めて複数回、訪問するように指導することが大切。
不在のお宅には、繰り返し何度も訪問することを徹底させる。夜8時すぎまでは何度か訪問かないと、とくに単身世帯からの回収は難しい。
3)調査時期
月末、決算期など、人々が多忙で留守がちな時期は避ける。月の後半より前半がよい。
回収率のためには、土日の夜を含め3日間以上は必要。
4)調査員配置
賃貸アパートが多い場所や、土日の夜は、調査員を多めに配置する。
できれば男女1組で。女性は郊外の安全な住宅地が良い。
5)調査本部を設置
調査員へ連絡、苦情受け付け、事故待機、現場を巡回。
当日は、何人かで調査現場を巡回し、調査員の様子を見て励ますとよい。
詳しくは応用調査実習ページ参照 調査が終わったら、結果を数字のファイルにすれば、SPSSなどの分析ソフトで 簡単に分析できる。 以下の例のように、半角数字のみを入れる。数字のみを入れると、 エクセルやSPSSに数字を入力するよりのとくらべ、半分以下の時間ですむ。 注意点 半角数字のみを入れる。余計な空白や、とくに全角空白や余計な改行は入れないよう 注意。その点に注意すれば、とくに難しいところはない。 改ページごとに半角空白を1つ入れる(分かりやすくするためでとくに意味はない)。 データの形式見本(2人分) 1101 32400232 10100011 110113110 22099 9621 4317 1102 13101421 11212111 121114112 12299 9631 4317 この例だと、はじめの4桁はサンプル番号。その後、問1で3、問2で2、 問3で4と答えている。 その他注意点 ・複数回答項目(Multiple Answers)は、○がついているものは1、ついていなければ0と入力 例えば、問1-7まであり、234に○の場合、0111000 と入力 ・無回答は9または99を入力 ・始めにサンプル番号を入れると、どこまで入力したか分かるし、チェックの時によい ・ワードやメモ帳など何で入力しても良いが、保存時はテキストファイル形式で保存する。 保存時に「名前をつけて保存」を選び、保存形式ボックスをクリックして形式を選択する。 ★入力が終わったら、数字の打ち間違いがないか、再度確認する。2人1組で、調査票の数字を読み上げて、ファイルの数字と合っているか確認するとよい。 また、すべてのデータの空白位置がそろっているかどうか注意。 最後に余計な空白や改行マークがないように。 データファイルが完成したら、SPSSやSASのプログラムを書いて、分析する。 応用調査実習やSPSSのページなどを参照。見本のSPSSシンタックスを見て データ定義文を書くと良い。
あなたは1998年04月08日以来 回目のアクセスです。
2002年 3月28日 3482 アクセスを記録
2003年 3月26日 4980 アクセスを記録
2005年 4月 1日 9329 アクセスを記録
All Rights Reserved, Copyright(c), MURASE,Yoichi
ご意見、お問い合わせは、お気軽にどうぞ E-mail : murase rikkyo.ac.jp