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研究紹介 (宇宙グループ)

宇宙グループでは、宇宙物理学・宇宙論といった研究分野において、理論的な手法を用いた研究が日々行われています。

私たちのグループの特徴は、一般相対性理論や修正重力理論といった重力の基礎理論に基づいて、宇宙物理学・宇宙論における研究対象へとアプローチしている点です。近年、こうした研究が推進できるグループとして、国内外でも有数の規模を誇るまでに成長しました。この強みを活かしながら、ブラックホールや初期宇宙に関する研究で世界をリードし、多くの研究成果が得られています。 また他大学の研究者との共同研究や研究交流が活発に行われています。

以下では、研究内容の紹介が見られます。

一般相対論とその宇宙物理学・宇宙論への応用 (原田 知広)
初期宇宙・相対論的宇宙論の研究 (小林 努)
ブラックホール・相対性理論 (木村 匡志)
数値宇宙論(平松 尚志)
研究紹介 (素粒子グループ)

ブラックホール・相対性理論(木村 匡志)

ブラックホールは一般相対性理論によって予言される「一度入ると誰も外に出られない領域」であり、我々の宇宙にブラックホールが存在することは観測からもほぼ確実視されています。私はこのようなブラックホール周辺で起きる現象、あるいはブラックホール時空そのものについての理論研究を行っています。

一般相対性理論では時空の曲がりとして重力を記述しています。時空の曲がりが小さいときはニュートン力学と同じになるので、時空がとても曲がっている領域での現象を調べることで一般相対性理論が正しいのかどうかを検証することができます。

一般相対性理論のすごいところは、その理論を用いて宇宙そのものの時間発展を議論できる点です。重要な予言の一つに宇宙そのものが膨張することがあり、これは観測で確かめられています。膨張する宇宙を過去に遡ると宇宙には始まりがあったハズで、多くの物理学者はその可能性を真剣に考えています。どのようにして宇宙が始まったのかに対して理解を深めることは私が物理を研究する大きな動機になります。

宇宙の初期の現象を調べることで宇宙の初期へ理解を深めようというのが素朴な感覚ですが、一方で、宇宙の初期に重要となる物理法則へ理解を深めることで間接的に宇宙の初期を理解してみようというアプローチも個人的にはアリではないかと考えています。宇宙の初期には、時空はとても曲がっていたと考えられるので、逆に時空がとても曲がっている領域の現象を調べることで宇宙を支配する法則へ迫れるかもしれません。時空がとても曲がっていることによる典型的な現象がブラックホールなので、これが私がブラックホールを研究している理由の一つとなります。一般相対性理論でブラックホール周りの現象を説明できるのか?もしできないなら本当はどういう理論が正しいのか?といった疑問へ答えようとすることで宇宙を支配する法則へ迫れると期待しています。

これまでに行ってきた具体的な研究テーマとしては、高速回転ブラックホール付近で起きる超高エネルギー粒子衝突、高次元ブラックホール、特異点解析、安定性解析、修正重力理論、ブラックホールシャドー、時空の対称性、などがあります。私の論文リストはココから見ることができ、PDFと書いてある箇所を押せばタダで論文が読めます。