地域創生
現代研究会で共通テーマとして取り上げ議論を重ねたものが二つある。一つは宗教である。研究会での議論は最終的に『現代宗教論―歴史の曲がり角におけるスピリチュアリティ』(三恵社 2023年)として結実した。もう一つは地域創生である。これは研究テーマというよりはより実践的課題、社会参加に分類されるものであろう。
現代の日本は危機的な状況にある。出生率の継続的な低下によって人口が減少し、急速に高齢化が進んでいる。近年における物価上昇はひどいものだが、日本経済の停滞のため、給料は一向に上がらず、生産も消費も低迷し続けている。その結果、社会保障制度そのものが崩壊の危機にある。閉塞感が社会と文化を覆い、日本人は活力を失っているようにみえる。このままでは日本は世界の最貧国の一つになってしまうだろう。
この現象は始めに地方社会の過疎化(空洞化)として始まった。いわゆる「地方消滅」である。2014年にこの危機的状況を人口動態的に解析したものとして増田寛也編著『地方消滅』(通称<増田レポート> 中公新書)が出版された。その内容は衝撃的なもので、このままでは近い将来に日本の自治体の半数以上が消滅するという予想であった。(それから11年、その続編を読むと、事態はさらに悪くなっているようである。)
現代研究会ではこの問題を最重要テーマの一つとして位置付け議論を行った。研究会としてできることは限られていたが、それぞれのメンバーが文献調査及び現地調査を行い、現状を報告した。筆者もまた現地調査に基づいて三回ほど発表を行っている。若者人口の流出、高齢化、過疎化に苦しむ日本の地方社会の未来は希望の光が見えない。しかし元気付けられるのは、こうした状況にあっても驚くべき創意工夫と努力によって見事に復活している自治体もあるということだ。また日本の歴史において類似の社会的危機はこれまでにも存在し、そのたびに日本人はそれを乗り越えてきた。筆者の下記のレポートが何らかの参考になればと思う。
参考
日本の地域創生―日本の現状と未来.2018年度現代研究会後期発表1.2018年 9月 22日.
いっぱい世界のふえ世界―地域創生のスピリットを探る.2018年度現代研究会後期発表8.2019 年3月 4日.
2018年度後期発表8 いっぱい世界のふえ世界―地域創生のスピリットを探る―
鳥栖市の日本語教育 ―教科「日本語」と地域創生 2019年度現代研究会発表1.2019年 9月 28日.