現代研究会
筆者は2018年4月から2023年3月まで5年間にわたり私的な研究会を主宰した。名称を現代研究会と言う。通常の研究会は研究者のみによって構成される。(あるいは非研究者のみによって構成される。)この研究会の特徴は研究者と非研究者が混在していることである。筆者は大学という特殊な職場環境にいたが、在職中その世界の偏狭さ、不自由さに辟易していた。もっと自由な伸び伸びとした学びの場、議論の場はないのか。この研究会の趣旨は学者・研究者と一般の人々が分け隔てなく混じり合い、自由意志を持って研究し、対等な立場で議論することであった。それによってより大きな学びの場が形成され、創造的な活動ができるのではないかと思ったのである。研究会は志を同じくする創立メンバーによって、一年の準備期間を経て、2008年4月に出発した。初期メンバーは8名であった。その後メンバーは徐々に増え、時期によって増減はあったが、最終的に16名となった。
現代研究会は順調に大過なく継続し、結果として大成功であった。これは何よりも構成メンバーの熱意と努力によるものである。しかしまったく問題がなかった訳ではない。まず初期の段階においては構成メンバーが少人数であったため、時には研究会の開催が困難なことがあった。しかし二年目からは新メンバーの加入により参加者数も増え、また活動内容も多様化されて、徐々に改善されていった。だがせっかく軌道に乗りかけた頃に今度は新型コロナ感染症(Covid-19)が起き、対面での開催が困難となった。第二の危機である。以後、研究会は基本的にZoomによって、またコロナ以降はハイブリッドで開催されることになる。これには長所・短所の両方があった。オンラインによって遠くに住む人の参加が可能となり、結果として参加者数は増えた。しかし対面ではないので、研究会としての熱量は低下したかもしれない。最後に、研究者メンバーと非研究者メンバーの意識の違い、参加意義の問題が存在した。これは解決されるべき問題であり、現代研究会ではその解決を参加者の責任感と人間性に任せたが、問題がなくなったわけではない。こうした開かれた研究会が、より社会的に評価される土壌が必要である。
どういうテーマが議論されたか。最初の二年間は半期を専門研究(自由研究)として、残りの半期を統一テーマとした。統一テーマとして地域創生を取り上げた。次の二年間はすべて統一テーマとし、宗教について集中的に議論した。最終年はすべて自由研究(専門研究)とした。詳細は下記の通りである。
2018年度
前期:専門研究
後期:地域創生 16研究発表
2019年度
前期:専門研究
後期:地域創生 22研究発表
2020年度
前期:宗教
後期:宗教 26研究発表
2021年度
前期:宗教
後期:宗教 31研究発表
2022年度
前期:自由研究
後期:自由研究 30研究発表
具体的にどういう研究発表があったのか。以下の研究会サイト(Theme)を参照していただきたい。
また最後の二年間に、研究会の成果を形あるものとして残すために、出版プロジェクトを実施した。テーマは、議論の末、宗教に決定した。合計12名の執筆者によって13の論稿・エッセーが書かれた。研究会活動の結晶とも言える 『現代宗教論―歴史の曲がり角におけるスピリチュアリティ』 は2023年2月20日に三恵社から出版された。